アニメ・マンガ市場の未来
◉全米最大級のアニメイベントである『Anime Expo 2024』に参加した、JETROのレポートが非常に興味深かったので、備忘録も兼ねてnoteにしておきますね。アニメ市場、マンガ市場の未来は、小説市場やゲーム市場とも連動して、日本のコンテンツ産業の大きな柱ですから。北米市場と世界市場と併せて、考えていく必要が今後、増えていくでしょう。できればこれに、アジア市場や欧州市場も加わると、漫画やアニメの未来も明るいのですが。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、AIの未来都市イラストです。
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■世界&北米マンガ市場■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。こちらのポストが、要点をまとめてくれていましたので、転載しますね。JETROの元記事を知る、切っ掛けとなったポストですし。世界のマンガ市場は2023年段階で136億9000万ドルとのこと、本日のレート1ドル=156.07円ですから、2兆1366億兆円。コロナ前の2019年の、映画の世界市場が113億6300万ドル(約1兆4800億円)ですから、これは大した数字です。さらに2030年までに421億ドル=6.6兆円市場へなるという予想も。
さらに、北米マンガ市場は9.3億ドル=約1451億4600万円とのこと。ちなみに、日本のコミック市場は、2023年の販売額で6937億円と、やはり世界最大のマンガ市場だけあって、大きいですね。でもこちらも、2030年までに38.87億ドル=6115億円市場に成長する可能性があるとのこと。3億人もの人口を誇るアメリア市場は、日本市場並みに成長するポテンシャルがある、ということですね。そうなると、世界の漫画市場は日米の二極になり、アメリカ進出する漫画家も、増えそうですね。日本の閉鎖的な商習慣では、最初から北米市場を目指す人間も、いるでしょうし。
■世界&北米アニメ市場■
そして、世界のアニメ市場は2023年で312.2億ドルとのこと。本日のレートで4兆7996億円。巨大ですね。アニメは、テレビ版や劇場版だけでなく、配信でかなり大きな市場になっていますから、今後も成長が見込まれ、強いです。2030年までに600.6億ドル=9兆2333億円市場に。トヨタの単独利益が17兆5755億円ですから、世界最大の自動車メーカーが世界で車を売る額に、近いところまで行くんですね。コンテンツの消費という点で、安価に広く薄くですから、単純な視聴者数は、莫大なことになりそうです。
そして北米のアニメ市場は、2023年で34.6億ドル。本日のレートで5319億円ほど。2030年までに99.4億ドル=1兆5281億円市場へ。ちなみに日本のアニメ市場は、2023年12月に一般社団法人日本動画協会が発表した2022年の市場規模だと、2兆9227億円。日本のほうが5.49倍も大きいです。北米市場は、どうしてもアニメーションを映画の下位互換と見なしているところがあって、PIXARやDreamWorksが結果を残しても、まだまだ子供向けとか、偏見があるのでしょう。
ただ、こちらも才能が、日本から北米へ流れていく可能性が、充分にあります。日本のアニメ業界は、左派に騙されてインボイス制度反対なんて、共産趣味的なことをまだやっていますから。きちんとした経営ができるプロが少なく、どんぶり勘定の経営をやっていたら、せっかく海外などからお金が入ってきても、高畑勲監督のように、莫大な額でも溶かして終わり。そして、ジブリの制作部門解散、なんてことになってしまうわけで。作家性や芸術性は、自分も大事にしたいですが、同時に経営もちゃんとできないとダメな時代へ。
■これからのマネタイズ■
もうひとつ大事な部分、北米アニメ市場は、ネット配信がグッズ商品の売上を上回ったとのこと。これって、ビジネスモデルの転換ですね。日本のアニメも、東映動画などの劇場公開版から、手塚治虫先生の虫プロがTVアニメに可能性を広げたのですが。その当時は、テレビの放映権料に、関連商品の売上が、スポンサーの大きな収入源でしたから。そういう意味では、優れた作品でもスポンサーがつかないと、発表できない。そこを、OVAという形で、作品自体のクオリティで勝負する時代が来たのですが、市場的にはそこまで大きくはならず。でもインターネットが出現して、その延長線上に配信という、新しいビジネスモデルが誕生。
劇場公開した作品も、配信という形で、さらなるマネタイズが可能。しかし、コンテンツとして考えた場合、100分の映画を一本見るのと、25分前後のアニメが1クール12本のほうが、視聴者としても空いた時間で視聴でき、しかも12本トータルで5時間近く、視聴者を惹きつけられるわけで。多分に、インターネットと配信が、テレビ番組や映画作品の、最終的なマネタイズの場になるのでしょう。
■日本が取るべき戦略は■
さて、コンテンツ産業として見た場合、自分は小説にかなり期待しています。そもそも、漫画は話が創れて絵も描けるという、実は特殊な才能が必要です。でも、小説は文字のみでの勝負ですから、才能が出てきやすい面があります。『小説家になろう』や『カクヨム』や『アルファポリス』の存在によって、才能が出てきやすい状況があり、結果的に1万人に近いラノベ作家が出ています。そこから、コミカライズやアニメ化など、コンテンツの種になる面がありますから。
脚本家がどんなに自分たちの才能を高く評価しようとも、天才はそうそう出てきません。そして、分母の数が大きいほうが、才能が出てくる可能性は高くなりますから。それこそ、1万人のラノベ作家と、3000人から6000人の漫画家と、2000人弱の脚本家では、どうやっても絶対数でラノベ作家と漫画家の5分の1以下になるのは必然です。であるならば、小説で種を沢山生産し、その中から生き残った作品を、コミカライズやアニメ化、映画化される作品が、今後も増えるでしょう。これは、オリジナル作品とはまた違う意味で。もちろん、漫画もまたオリジナル・コンテンツの供給地で、小説よりビジュアル化しやすい面も。
日本が、コンテンツ大国として今後さらに発展するには、秋元康氏などに意見を聞くとか、バカなマネは絶対にやってはダメで。才能が出てきやすい場を作ること、これが大事なんですよね。そういう意味では、小説・漫画とアニメの間に、オーディオドラマのジャンルが確立されると、新たな市場になると思うのですが。Amazonのオーディブルのように、聞く小説、みたいな形で、新たな市場が生まれると、それ自体がアニメの前のステップになるような。そのためには、各ジャンルを横断する、プロデュース能力のある人間が求められるんですが。
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