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五島列島に空飛ぶ船?

◉九州の話題が目に入ったので、ご紹介を。鹿児島出身で、福岡にも2年住んじゃうことがあるので、九州の話題は積極的に取り上げています。大分県では、ホバークラフトの航路が再開されましたが。長崎県の五島列島と本土の航路で、水面すれすれを飛ぶことによって生じる揚力を利用した、地面効果翼機(WIG)を売り込もうという動きがあるそうです。船なのか飛行機なのか、ちょっと微妙なところがあるのですが。高速かつ大型化が可能なんですよね、地面効果翼機って。

【五島で“空飛ぶ船”計画 シンガポール企業がデモフライト検討 実用化へ可能性探る】長崎新聞

 揚力を利用した地面効果翼機(WIG)の日本市場参入を目指しているシンガポールの総合エンジニアリング企業「シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング(STエンジニアリング)」が、五島市で導入に向けた可能性を探っていることが2日までに分かった。

 同社などが実用化を目指しているWIGは、地表や水面近くを飛行することで生じる揚力を利用して効率的に移動し、“空飛ぶ船”とも呼ばれている。従来の船舶よりも少ないエネルギーで高速移動でき、燃料コストの削減も期待されている。

https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=f6f7c4250e854f7eb2c4994a74b6718c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、五島列島の大瀬崎灯台だそうです。


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■地面効果翼機とは?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。最初に思ったのが「これは……カスピ海の怪物?」でした。エクラノプランは、ソ連で開発された地面効果翼機 (WIG) の総称で、その巨大さゆえ別名が〝カスピ海の怪物〟だったのです。なにしろ大型のエクラノプランであるKMは、全長92メートルで最大積載時の離床重量は540トンという、まさに怪物的に大きな機種でしたが。ジャンボジェットの代名詞であるボーイング747-8が76.4メートルですから、いかに大きいか。中には100メートルの機体も、KMにはあったそうですから。まさに〝カスピ海の怪物〟です。

Wikipediaよりエクラノプラン

ウクライナ侵攻で失われた、世界最大の航空機のひとつでもあったアントノフ225ムリーヤは、最大ペイロードが250トンですからね。スペースシャトルを上部に乗せて運べるぐらい、巨大でした。実物を見たことがある人に言わせると、まさに空飛ぶ要塞、『未来少年コナン』のギガントか。それと比較しても、水面の上を飛ぶ地面効果翼機とはいえ、エクラノプランがいかに巨大な飛行機か、よくわかりますね。ある意味で、飛行機のスピードと船の大輸送力を、併せ持っているのが地面効果翼機と言えそうです。

Wikipediaよりアントノフ225

■速さと輸送力の問題■

自分が子供の頃は、水中翼船やホバークラフトが登場して、科学の未来を感じたものです。船というのは、マンモスタンカーなどの模型を見れば、一目瞭然ですが。あの400メートル級の巨体に対して、スクリュー はとても小さいんですよね。海水の浮力によって実に効率的に、少ないエネルギーで荷物を運べるので。未だに世界の運輸の中心にあります。でも、スピードが出ないのが弱点。海上自衛隊の現役艦艇で最も速いのは、ミサイル艇はやぶさ型で、最大速力は44ノット(時速約80キロ)ですから。

ジャンボジェット機のボーイング747-8の時速914キロはもちろん、リニア新幹線の600キロや新幹線の300キロにも遠く及ばず。水中翼船は、水中の翼によって水の抵抗を減らし、高速で航行できる船でしたし、ホバークラフトも速度と多様な運用を追求した船舶でした。日本でも、地面効果翼機の研究開発はなされていたのですが、あまり話題になりませんでしたね。先述のエクラノプランは、水上数メートルの高さを時速400キロ以上で巡航することが可能でしたから、新幹線以上に早く、輸送能力も大型飛行機以上ある、とてもユニークな存在ですね。

■災害有事のバッファ■

日本地図を見ると、日本の大きな離島 となると、議員 沖縄本島や 奄美大島 以外は、意外と本土に近いことが分かります。で、沖縄ぐらいの距離だと、飛行機の方が早くて便利ということに。けっこうな運輸需要があり、でも本土と遠からず近からずの距離の離島となると、対馬・佐渡島・五島など、実はかなり限られているんですよね。そういう意味では、五島の航路に地面効果翼機というのは、なかなか面白いポイントをついているなと、思った次第です。

Wikipediaより

個人的には、豊後水道の愛媛と大分とか、瀬戸内海の航路とか、もっと導入できそうな地域もありそうな気はします。福岡と対馬・対馬と釜山を結ぶ航路とか、距離的にも需要的にも、ありそうですし。まぁ、比較的波が穏やかな内海の方が、向いてるのかもしれません。鹿児島県の錦江湾を横断する垂水フェリーとか、向いていそうな。まぁ、利用人数が少ないのでペイしないでしょうけど。

令和六年度能登半島地震で、おおすみ型補給船と大型 ホバークラフトが、大活躍しましたが。エクラノプランも、元々は軍事目的のために開発された機体でした。軍事用と民間用、両方があればいざというときの災害対策にも投入できますし。経済効率だけを考えれば、もっと安価な輸送手段はあるのでしょうけれど。地震や津波などの災害や、有事に備えての官民のバッファは、必要だなと。エクラノプランの圧倒的な輸送力を見ると、日本のように 四方を海に囲まれた島国こそ、こういう機体が必要なのではと思ったりします。


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