中国の第四世代炉が臨界に
◉中国の超高温ガス炉が、臨界に達したようです。超高温ガス炉は、その名のとおり、超高温が発生する原子炉で、この高温を使って製鉄や水素生成、石炭液化なども期待されます。メルトダウンしづらく安全性が高い第四世代炉に含まれ、出力自体は第三世代炉の3分の1程度と低いですが、コンパクトなモジュール構造で建設を効率化できる、小型モジュール炉(Small Modular Reactor:SMR)に含まれます。
The first of the two high-temperature gas-cooled reactors of the demonstration HTR-PM plant at Shidaowan, in China's Shandong province, attained a sustained chain reaction for the first time yesterday. The reactor is scheduled to be connected to the electricity grid before the end of this year.
【翻訳】中国山東省石島湾にある実証用HTR-PMプラントの2つの高温ガス冷却原子炉の内、最初のものは昨日初めて持続的な連鎖反応を達成しました。 原子炉は、今年末までに電力網に接続される予定です。
中国もこれからは第四世代の原子炉という思いは、日本以上に明確でしょう。大気汚染が、シャレにならないレベルですしね。
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■失われた10年と中国の先行■
以前にも書きましたが、アニメ『ガールズ&パンツァー』で知られる茨城県は大洗町の高温工学試験研究炉 (High Temperature engineering Test Reactor:HTTR)は10年前の時点で、世界トップクラスだったんですが。無能な方の菅総理大臣のおかげで、10年間止まってしまいました。HTTRで採用されているのはブロック型超高温ガス炉で、中国の高温ガス炉実験炉HTR-10で採用されているペブル型超高温ガス炉で、出せる高温には差があります。
日本のそれは2010年3月の時点で、出口温度950℃で50日間の連続運転を達成していたんですよね。中国は2003年1月に原子炉出口温度700℃を達成。日本の方の高温なら、原子力製鉄も可能だったんですが……。ある種の反原発信仰というか原発フォビアに取り憑かれた反原発の人々、あるいはそういう人たちに対してエエカッコしたかった無能な方の菅総理のせいで、より安全な原子力発電の研究さえ止めてしまうという、本末転倒な事になったわけで。
もちろん、多少の安全性は無視する中国とは差が大きいですから、日本の研究が順調に研究が進んでいたとしても、日本が商用実験炉を稼働させるレベルになっていたかと言えば、それはないでしょう。ただ、アメリカは2029年にSMRを稼働との報道があります。もうあと3ヶ月ちょっとで2022年、8年後にはアメリカで稼働してるのですから。地球温暖化の問題を各国が真剣に取り組むなら、原発にシフトは必然と、欧米の環境活動家も認めるところ。
■真剣に環境問題を考えるなら■
日本の反原発運動や環境保護活動が滑稽なのは、文明の恩恵を全身で浴びながら、「たかが電気」と当事者意識を欠いたことを、平気で言ってしまう点ですね。しかし風力発電は、偏西風が安定して吹く環境出ないと難しく。日本では北海道の一部の地域、台風がたまに札幌や旭川まで上陸する日本には不適です。洋上風力発電も、600億円も打ち込んで、けっきょく無理という結論に。当たり前です、ドイツとか樺太とさして緯度が変わらないか、もっと来たです。
太陽光発電も、日本の平均日照時間は約1500〜2200時間で、気象台・アメダスの平均値で約1850時間で、世界平均の約2500時間よりかなり短いです。サンフランシスコやロサンゼルスの3000時間以上と、比べるべくもなく。日照時間が短い秋田県とか、。第四世代の原子炉が優れているのは冷却に水を使わず、ヘリウムや溶融状態のフッ化物塩を一次冷却材として使う点。第3世代の原子炉は冷却水が必要なため、近くに大きな河川や海岸が近いことが条件になります。
また、コンクリートと鉄骨の塊なため、古くて硬い岩盤が必要です。理想は、第三紀以上の古い岩盤。「原発がそんなに安全なら、東京に原発を」とかアホなことを言う人がいますが、関東平野は沖積平野で、岩盤まで3000mもあります。薩摩翼竜が見つかった鹿児島県長島町獅子島が、川内原発の近くなのは、偶然ではありません。泊・福井・福島・伊方・島根・玄海などの原発の近くが、貝化石や恐竜化石などの産地の理由です。
■変わる原発事情■
結果、日本の原子力発電所は冷却水と岩盤という、2つの条件を満たす地域に限られてしまうのですが。ところが、冷却材に水を使わないタイプの第四世代原子炉は、理論上は砂漠でも北極大陸でも、建設できます。また、建築を規格化して一箇所でモジュール化した部材を大量生産して、コストを下げることも可能。超高温ガス炉が、第四世代原子炉の本命とされる理由です。実際、中国はアメリカに先んじて、商用実証炉の臨界に達したわけで。
発電量は前述のように3分の1程度と低いですが、むしろ建設地域を分散させることで、一箇所の原発が止まったら大停電というリスクも回避できます。小型で大きな敷地面積も必要としませんから、それこそ反原発派の理想である「東京に原発を」も可能に。場合によっては、各都道府県の大電力消費地の近くに建設して、原発で村おこしも可能でしょうね。もちろんそうなったら、反対派が狂ったようにイチャモンつけるでしょうけれども。
反原発派はなぜか、二酸化炭素を排出しまくっている中国に、強く言わない党派性を見せることがあるのですが。しかし中国がこうやって、第四世代原子炉の本命とされる超高温ガス炉に舵を切ったら、あんがい素直に原発容認に掌を返したりして。もちろん、他の発電の研究も続けるべきでしょうけれど、まずは安全度が高い第四世代原子炉で安定した発電を目指しその上での研究になるでしょうね。核融合はまだもうちょっと先の話のようなので。
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