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GAINAX倒産雑感

◉自分は、GAINAXとは仕事上もプライベートでも、特に縁はなかったんですが。やはり、いちアニメ好きとしては、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』から始まった数々の伝説も、GAINAXの名前とともにありましたから。OVA『トップをねらえ!』や『ふしぎの海のナディア』に衝撃を受け、代名詞である『新世紀エヴァンゲリオン』まで、それは天狗連の古今亭志ん生や広沢虎造が名人に駆け上がっていくのと例えられるようなもので、それを平成の時代に見たわけで。まぁ、前社長逮捕の時点で、もう終わった組織だとは思ったのですが。

https://www.gainax.co.jp/

お知らせ
 去る5月29日、弊社 株式会社ガイナックスは東京地方裁判所に会社破産の申立をおこない、受理されましたことをお知らせいたします。

 1984年の設立以来、弊社ではアニメーション制作やゲームソフトの制作販売等を行ってまいりました。
 『新世紀エヴァンゲリオン』(現在は株式会社カラーが著作権を保有)などいくつかのヒット作にも恵まれましたが、2012年ごろから見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営により、経済状態が悪化していきました。
 当該経営陣の作った多額の負債により、ロイヤリティ未払いによる委員会除名や貸金訴訟等の窮状に陥る中、地方に当該幹部やその関係者を代表としたガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立され、大量の退職者を出しスタジオとしてのアニメーション制作機能も失いました。それらの会社は弊社との無関係を表明し、経営責任を放棄しています。
 そして、1992年より長くその地位にあった代表取締役から、映像制作に知見のない人物への株式譲渡が当時の経営陣の承認のもと2018年に実施されました。さらに2019年、その人物が代表取締役に就任直後に未成年者への性加害で逮捕されるに至り、多額の負債を抱える中、完全に運営能力を喪失するに至りました。

https://www.gainax.co.jp/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、〝アニメ〟で検索したら出てきたイラストです。

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詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。内実に関しては、もう既に知られたこともありますし、新たに加わった部分もあります。初代社長の岡田斗司夫氏と、山賀元社長、庵野秀明監督の不仲というか対立は、チョロチョロと漏れてきて、

 前代表取締役の不祥事から発した混乱を収拾するため、債権者でもある株式会社カラー様の善意による支援のもと2020年2月に経営陣を刷新し、新体制下で残された様々な資料を確認し実態把握に努めてまいりました。その結果、多額の金融機関からの借入や、アニメーション業界各社への債務不履行、知的財産や作品資料を正当な権利者の許諾なく、上述の経営陣・運営幹部の会社や個人への売却、譲渡等の事実が判明し、それらの正常化に取り掛かりました。

けっきょく、ここらへんのゴタゴタが、『シン・エヴァンゲリオン』の劇場版にも悪影響を与えたでしょうし。不祥事を起こした前代表取締役が、反社会的勢力との関係を疑わせるに充分な経歴でしたし。相手をする方も、そこはかなり大変だったと想像できますし。問題の根源に、おそらくは旧経営陣―コチラも一度、脱税で問題を起こしていますし。初代社長の岡田斗司夫氏も、その知識には敬意を払いますが、行状が清廉潔白かといえば、そんなこともなく。まぁ、積もり積もったものが、こうやって倒産という形になってしまったのでしょう。庵野秀明監督のスタジオカラーからのリリースも、一部転載しておきます。

株式会社ガイナックスからのお知らせに関して

ガイナックス公式サイトで発表された破産手続きに関する表明を受け、弊社の立場からいくつか補足を致したく、ガイナックス社・現経営体制との関係性も考慮した上で、公式サイトにて本コメントを掲載申し上げます。

ガイナックス社は、弊社カラー代表取締役である庵野秀明の元所属会社でありましたが、庵野は2006年にカラーを設立、翌年2007年にガイナックス社を退職し、その後、ガイナックス社の株主の立場となっております。

弊社としましては、かねてよりガイナックス社の経営不振及び負債の存在を確認しておりましたため、経営に対し、庵野より懸念を申し上げたり、経営改善に向けた提案をしておりましたが長きにわたり受け入れられず、そのような状況であっても、当時の経営陣からの申し出を許容し、カラーとして援助的な融資などを行ったこともありました。しかし、ガイナックス社の状況は変わらず、事態はさらに悪化を続け、2019年には当時の代表取締役が法人運営とは関係のない刑事事件で逮捕されるという事態にまで陥りました。

https://www.khara.co.jp/2024/06/07/240607/

たぶん、いろいろ分裂したGAINAXは、今後は整理されたり名前を変えたりして、それぞれが独立して動いていくのでしょう。なんだか、昭和の時代のUWFの誕生と新日本Uターン、新生UWFの大ブームと大分裂などを思い出させますね。UWFは佐山サトルの修斗、前田日明のリングス、高田延彦のUインター、船木誠勝のパンクラスと、いろんな団体を生み出しましたが。佐山氏や船木氏は自分の作った団体から追い出され、リングスもインターも今はなく。そういう意味では、GAINAXの遺伝子は、まだいろんな団体に保存されて、受け継がれては行くのでしょう。

ある漫画家さんと話した時、あの時代に、大阪芸術大学にあれだけの才能が集まって天下を獲ったその軌跡に驚く、と。時代が生んだ、奇跡でしょう。接点はなかったそうですが、島本和彦先生と庵野秀明監督との同学年には、士郎正宗先生もいたとか。集まるべくして集まった、のでしょうね。昭和33年から35年生の、今上天皇陛下の前後の世代、やたらと漫画家とアニメーターに大物が多いんですよね。ウルトラQやウルトラマン、鉄腕アトムのアニメに胸をときめかせた世代ですから。時代が生んだんですよ。

ガイナックスの放漫経営や、けっきょく高畑勲監督の暴走を抑えられなかったジブリなど、経営のプロがいなかったアニメ業界で、スタジオχαράは不動産運用など、どうも経営のプロが入ってる感じ。これは京アニにも感じる。
シン・エヴァを観て思ったのは、そういう旧来のアニメ製作体制との決別の意志。

https://x.com/mogura2001/status/1379233611719659520

この倒産劇で、自分の数年雨のこのポストも、かなりリポストされて驚きました。昭和の時代が種を巻き、平成の時代に花開いたGAINAXが、令和の時代に倒産する。これもまた、時代を感じます。ちなみに、自分のアカウント、けっこう本GAINAX関係者がフォローしてくれてるんですよね。まぁ、警戒してブロックしてくる人も、チラホラいますが。実は、個人的にはGAINAXとの間接的な接点は、ゼロでもないんですが。それは書くようなことでもないので。地方に移った、米子ガイナックスとか、地域密着の新たな形として、期待しています。令和の世に、それぞれが花を咲かせていただければ、アニメ好きとしては、それで充分です。


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