見出し画像

パラケラテリウムの新種発見

◉パラケラテリウム、サイの仲間で史上最大の哺乳類とも言われています。インドリコテリウムとバルキテリウムが同じ仲間と思われていたのですが、現在は同じ種だということで、パラケラテリウムで統一されています。

【古代の巨大サイ「パラケラテリウム」、新種の化石発見 陸生哺乳類で最大】CNN

(CNN) 中国科学院は18日、国内で活動する古生物学者のチームが、巨大サイ「パラケラテリウム」の新種の化石を発見したと明らかにした。パラケラテリウムは史上最大の陸生哺乳類とみられている。
新種の学名は「パラケラテリウム・リンシャエンセ」。中国科学院古脊椎(せきつい)動物古人類学研究所の鄧濤氏率いる米中共同チームが命名した。化石は2015年に見つかっていた。

トップの画像はWikipediaより、Tim Bertelink - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49013380によります。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■史上最大の哺乳類?■

記事ではゾウ6頭分とありますが、これは体重30トンとも推測されていた時代の情報。アフリカゾウが7トンから10トン、アジアゾウが5トンから7トンですからね。アジアゾウなら、たしかに6頭分ぐらいはありますが。現在は身体は馬やキリンのようにけっこうホッソリしていて、そこまで重くなかったという評価に。古代ゾウのナルバダゾウが、24.3トンと推定され、それに次ぐ大きさとされています。それが下記の比較図です。こちらもWikipediaから。

画像1

ナルバダゾウは野尻湖のゾウでおなじみのナウマンゾウと同じ仲間で、肩高───肩までの高さ───が5.2メートルとされ、この点でも肩高4.8メートルのパラケラテリウムよりは微妙に高いです。やはり、ゾウの仲間が哺乳類としては地上最大。ただし、パラケラテリウムは写真のように、馬のように首が長いですからね。パラケラテリウムの体長7.4メートル、見た目の骨太さや重量感はともかく、大きさは史上最大と呼んでも良いのでは?

■体型からの疑問■

こういうのは、研究者は自分が発見した化石が、史上最大とか史上最長とか、記録に残るような称号がほしいんですよね。恐竜化石も事情は同じで、最初は40メートルだ52メートルだと言われていた巨大恐竜が、いつの間にか30メートル台になってた、なんてのはよくある話です。ティラノサウルスも、自分が小学生の頃は15メートルと書かれていたのですが、現在では最大全長は約13メートル、普通の個体は11~12メートルと、減っていますしね。

やはり、重い体重を支えるには、ゾウとかゾウガメとか、太い脚が必要ですから。加えて、ゾウの場合は人間と同じで、膝関節をロックできるので、少ない労力で重い体重を支えられるんですよね。だから、踵から体幹部まで、足が垂直。それに対して、復元図ですがパラケラテリウムは斜めになっていて、体重がかかる構造になっています。これでは、難しいでしょうね。サイヤカバでも、こういう足の形にはなっていません。キリンだって、もっと直線的です。ここらへんは、復元図が刷新される可能性大。

■サイと意外な仲間とは?■

さて、馬みたいな体型のパラケラテリウム。サイの仲間ですが、そもそもサイも馬も同じ奇蹄目の仲間です。先祖をたどれば、実はつながっているんですよね。かなり古い時代に分岐していますが。始新世中期から中新世前期(5580-2200万年前)にかけて北米にいたヒラコドンは、馬の先祖ですがサイの先祖でもあります。始新世後期にユーラシア大陸で誕生したのが、サイの先祖。そう言われてみると、サイと馬って顔がにているんですよね。

これは重要で、ヨーロッパのユニコーンって、アジアのサイの伝承が間違って伝わったらしく、サイのツノがユニコーンの原型。北極海のクジラの仲間のイッカクの角(正確には牙が伸びたもの)が、ユニコーンの角のイメージを補強したようですが。ヨーロッパにはエラスモテリウムという、巨大な角を持つサイの化石も出ていますから、いろんなイメージが混交したのでしょう。ちなみに、コウモリもサイや馬と同じ奇蹄目なんだそうで。このため、サイや馬やコウモリを含む〝ペガサス野獣類 Pegasoferae〟という分類の提案もあるとか。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

いいなと思ったら応援しよう!

喜多野土竜
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ