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アジアで取り残される日本映画?
◉という記事が、東洋経済オンラインに掲載されていました。世界ではなく、アジアという部分に胡散臭さを感じたら案の定、日本版CNCを導入して、日頃はバカにしているアニメや、漫画・ラノベ・ゲーム原作作品の儲けを自分らに寄越せという、さもしい本音を正当化する内容でした。そのために、韓国映画振興委員会のパク・キヨン委員長を持ち出し、チケット代の3%を映画発展基金としてKOFICが徴収するという韓国の制度を、日本にも導入しようとする。何処かの界隈で聞いた手法ですよね、コレ?
【「アジアで取り残される」日本映画が直面する現実 韓国映画界トップが日本の映画の未来を危惧】東洋経済オンライン
「このままでは、日本はアジアに取り残される」
KOFIC(韓国映画振興委員会)のパク・キヨン委員長と、諏訪敦彦監督(action4cinema/日本版CNC設立を求める会の共同代表、東京藝術大学教授)が日本の映画界に対して、警鐘を鳴らした。
日本映画といえば、今年だけでも是枝裕和監督や濱口竜介監督の作品などが世界の映画祭で高い評価を受けている。
一方で今年5月にアジア7カ国が共同宣言を出した映画制作連携協定「AFAN(Asian Film Alliance Network)」に日本は不参加だった。その背景とアジアにおける日本映画界の現状への危惧を、パク委員長と諏訪監督に聞いた。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、
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■現実の実写邦画界■
日本の映画界は、アニメはもちろん、漫画原作の作品を低く見ています。漫画原作は小説原作より低く見られ、小説でも、ラノベは純文学より下に見られています。ゲーム原作とかも、同じように馬鹿にしていますね。バカにするなら作らなきゃいいのに、オリジナル作品では勝負できないので、映画会社はヒットという実績がある漫画・ラノベ・ゲームなど原作がある作品に頼るわけで。そこに監督や脚本家が忸怩たる思いがあるなら、実績を積んでオリジナル脚本で勝負すればいいのに、それはやらない(できない?)。代わりに、原作レイプと呼ばれる悪しき改変をして、八つ当たりするわけです。実際の興行収入は、こんな感じなのに。
・2021年公開の邦画は490本
・興行収入は1283.39億円
・興収10億円以上は32本(前年21本)
・32本の興収総計は898.9億円
・32本(6.6%)で全興収の約70%を占める
・32本中19~20本がアニメか、漫画や小説が原作
・興収50億円超え3本は全部アニメ
・3本で全興収の約19%を占める
さらに、2020年の邦画界は、こんな感じです。
邦画の人が躊躇いもなく「ジャリ向け」とバカにするマンガ原作や特撮シリーズの映画作品に劇場が依存してることは間違いない。ただ、ラノベ原作(余命10年)、ミステリ小説原作(東野圭吾)、TVドラマの続編とかなら、実写のヒットはある。
— 未識🐟 技術書典15 え03 (@mishiki) November 24, 2023
でも、邦画業界の人はそういうのも嫌いだからね。 https://t.co/UPdJuvEDQd pic.twitter.com/gGvFNVM7hU
邦画の人が躊躇いもなく「ジャリ向け」とバカにするマンガ原作や特撮シリーズの映画作品に劇場が依存してることは間違いない。ただ、ラノベ原作(余命10年)、ミステリ小説原作(東野圭吾)、TVドラマの続編とかなら、実写のヒットはある。
でも、邦画業界の人はそういうのも嫌いだからね。
添付された一覧表も、資料的価値が高いので、転載しておきますね。
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50億円以上のヒットが5本、アニメ4本に漫画原作1本。見やすいように、書き出してみますね。
1位が漫画原作のアニメ
2位が漫画原作のアニメ
3位がオリジナルのアニメ
4位が漫画原作のアニメ
5位が漫画原作の実写映画
6位が特撮実写映画でルーツはテレビ番組
7位がテレビドラマの劇場版
8位が両方ともヒット小説が原作
10位がテレビドラマ。の劇場版
11位が漫画原作のアニメ
12位が漫画原作のアニメ
13位が漫画原作のアニメ
14位が漫画原作のアニメ
15位がテレビドラマの劇場版
16位がゲーム原作のアニメ
17位が漫画原作のアニメ
18位がラノベ原作の実写映画
19位がラノベ原作のアニメ
20位がラノベ原作の実写映画
映画オリジナル脚本の実写作品が、一本もない状態です。
ベスト20の11本がアニメ、テレビドラマの劇場版が3本。シン・ウルトラマンはオリジナルっちゃあオリジナルですけど、元はテレビの特撮番組ですし。これを加えるとテレビドラマ由来が4本ですかね? 数えていて混乱が起きますが。漫画原作作品が8本で、ラノベと小説原作が5本ですよね? そりゃあ実写映画の関係者が、邦画界に誇りを持てないでしょう。
■狙いは日本版CNC■
でも、だからと言ってアニメや、漫画や小説やゲーム原作作品に八つ当たりするのは、みっともないです。八つ当たりする前に、たとえば女性監督の異常な少なさとか、まず反省すべきでは? 清少納言や紫式部の昔から、世界でも稀な女流文学が早くに発達した国なのに、その才能を活かせていないのが映画界です。漫画界は女性の才能をバカにしなかったから、24年組も高橋留美子先生も吾峠呼世晴先生も出てきたのですから。
なのに、コロナ禍の中で映画館が苦しむ中、劇場版の『鬼滅の刃』が大ヒットすると、鬼滅の刃は映画館を救わなかったとか、言葉遊びで悦に入るプロデューサーや監督が登場するのが、日本映画界じゃないですか。バカバカしい。ブラック体質が叩かれるアニメ界でも、部署によっては女性が多かったり、地方に本社を構えて効率化を図ったり、社員を増やす方向で内製化を図ったり、あるいは庵野秀明監督のスタジオカラーのように製作委員会方式に頼らない資金獲得とか、試行錯誤しているところも増えているのに。園子温監督がやらかしたとき、どれほどの自浄作用がありましたか?
それよりも、この記事で諏訪敦彦監督の本音が透けて見えるのは、「パク委員長によると、日本が不参加の理由は、7カ国のような国公立の映像機関がなく、窓口となるカウンターパートナーがいないことにより、連携が取れなかったことだ。」って部分ですね。要は、国公立の映像機関を作って、国に税金からカネを出させて、そこに日本版CNCのような機能を持たせ、予算をほしいままにしたい、ってことでしょうね。あくまでも邪推ですよ、邪推。でも、そんなの民間の窓口で充分ですし、それさえ作ってこなかった自分たちの失態では? そんな人達が日本版CNCとか作っても、利権の巣窟になるのが見えてませんか?
■金の流れは権力に■
CLIP STUDIO PAINTで知られるセルシス社の推計で、日本には漫画家が3000人から6000人いると。そして、ラノベ作家の人数は総勢9082名という数字もあります。推理作家は、日本推理作家協会の会員を合計すると1110人になりました。純文学の作家や、ゲームの脚本家はわかりませんが、漫画家・ラノベ作家・推理小説家・純文学・ゲーム脚本など合計すると、2万人ぐらいにはなるのではないでしょうか? いっぽう、脚本家の総数はハッキリしませんが、Wikipediaの一覧を見ると470人ちょっと。物故者も入っていますし、監督と兼任の人もいますので、400人を割るぐらいでしょうか?
20000対400で、50倍も分母が違ったら、勝てるわけがないですよね? よほど脚本家に優れた人材が集まっているならともかく。いや、自分たちは漫画やラノベのくだらない作品書いてる連中よりも、志の高い天才が集まっていると、ホンキで思っていそうですが……。残念ながら、脚本家が映画界で儲かって億単位の税金を収めてるとか、寡聞にして聞きません。儲かってる業界に、才能は集まるものです。漫画界ですら、ゲームに才能を持っていかれてると、何十年も前から危機感を抱いてるのに。お高くとまりすぎです。
自分たちの儲からない体質を棚に上げて、女性の才能を活かせてなくて、アニメや漫画やラノベやゲームなど、他のメディアのヒット作で食わせてもらってる状態で、さらに上前を寄越せとか、どんだけ傲慢なんだよと思います。寄越せではなく、高尚なオレ様らが使ってあげるから臥して差し出せ、ぐらいの感覚でしょうか? どうぞ、世界どころかアジアから取り残されて、滅びてください。ちゃんとした映画監督はいますから、滅んだ後でそういう人たちで再生すればいいです。庵野監督や原恵一監督のように、実写でも行けるアニメ監督が、穴は埋めるでしょうし。
■狙いはチケット代■
そして、もうひとつの諏訪監督本音が見えるのは、「韓国では映画鑑賞料金(チケット代)の3%を映画発展基金としてKOFICが徴収し、映画界の発展、振興のために業界内に分配する仕組みを2007年からスタートし、2027年までの継続が決まっている。」と、韓国の関係者に語らせることで、いかにも客観性があるように見せかけていますが。慰安婦問題やバスカフェでも繰り返された、韓国の公金チューチュースキームを、日本の映画界にも導入したいのではないか……という疑い。映画のチケット代は、公金ではないですが。
返す刀で「一方で日本においては、諏訪監督によるとaction4cinemaは基金の設立と映画チケット代からの1%の徴収を求めて業界団体と交渉しているが、それさえ実現していない。」とか、いつもの出羽守論法。こんなもん、実現させてはいけません。要は、アニメやその他の原作あり映画だけでなく、洋画の上前もはねたいということです。申し訳ないですが『大怪獣のあとしまつ』みたいな作品を作るために、1%だって払いたくない観客は、多いと思いますよ? 2022年の興行収入は2131億円ほど。1%でも21億円、3%なら63億円。
そうやって徴収したチケット代の1%か3%の集めた金を、いったい誰が・どんな基準で・どの監督に、配分するのでしょうか? そこに妥当性はあるのか? 単にボスザルの、権力の源泉になりませんか? なにしろ日本アカデミー賞って、、ポリコレ疲れを笑いにくるみながら大ヒットした『翔んで埼玉』ではなく、バカみたいな脚本の『新聞記者』に作品賞を含む6冠を渡してしまうような、左重心過ぎて真っすぐ歩けない、邦画業界ですから。
今年なら、『福田村事件』にお手盛りで賞をあげ、監督やプロデューサーの次回作に資金援助とか、やりそうですけどね。文芸作品とか、グレーっぽい画面でボソボソ喋ってたキャラが、急に大声で騒ぎまくるワンパターン作品を、芸術芸術と褒めそやして金を流しそうです。岡崎体育さんがネタにするミュージックビデオより、パターン化された世界。『翔んで埼玉』や『ゴジラ-1.0』に日本アカデミー賞の作品賞を渡して欲しいですが。無理でしょうね。
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