Apple TV 4Kの買い時到来か
◉個人的に信頼しているIT系ライターの本田雅一氏が、新しいApple TV 4Kについて、力の入った記事を書いておられたので、紹介も兼ねて。万能AV機器という高い評価は、ちょっと驚きましたが、なるほどと思える内容です。
【Apple TV 4Kの買い時がついに来た。新リモコンとApple Musicのアップデートで万能AV機に(本田雅一)】Engadget Japanese
Apple TV 4Kが新しくなると聞いた時、「さて次は何をするのかな?」と少しだけ期待をしつつも、あまり気分が乗ってこなかった。数1000円で購入できるこの手の端末がゴロゴロとある中、わざわざApple TV 4Kを選ぶ意味が薄く、日本ではApple TV向けのテレビサービス(ネット経由でライブのテレビ放送を楽しむサービス)が提供されていないからだ。
A10 Fusionを搭載した前モデルのApple TV 4Kの時代から、この製品はあらゆるIPセットトップボックスの中でもっとも応答性がよい高性能な端末で、Apple Arcadeのゲームまで遊べてしまう万能性も備えていたが、一方でゲームを遊ばないのであれば、もっとコンパクトで安い端末はある。
Apple自体は、故スティーブ・ジョブズがこの機器を「趣味だ」と称していたせいもあってこのApple TVをどういう形で進化させるのか、迷走していた部分もありますが。ようやく、方向性が定まりましたね。
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■Apple TVの迷走時代■
もともと、Apple TVはデスクトップ版のiPod的な存在を想定していたフシがありました。何しろ発表されたのが2006年9月12日、コードネームiTVとして発表されましたから。iPhoneの第1世代は2007年1月9日に発表されましたから、すでに開発はされていたでしょうけれども、まさかこんなに世界的に大ヒットするとは、カリスマ経営者ジョブズも確信はしていないでしょうし。成功のモデルケースは、iPodだったのは間違いないでしょう。
テレビ番組を録画して、再生して、インターネットにも接続できて、でもパソコンほど汎用性を高めず、ある意味で受動的な使い方、消費するメディアプレイヤーというイメージでしょうね。それがiPhoneが普及して、動画の再生やらゲームやら爆発的にメディアが拡大しましたから。Apple TVはその流れを横目で見ながら、生産終了にもならず、でもものすごく推されるわけでもなく、なんか地味に進化していった印象です。不思議な製品ですね。
■時代に寄り添うApple TV■
結果的に、その曖昧な立ち位置が、iPodのように一斉を風靡しつつ、静かに主役の座から降りたiPodとは異なり、延命させた理由でしぃう。そして時代は、若者のテレビ離れが日本でも顕著に。テレビという、ある意味で20世紀後半の娯楽の王者であった存在が、インターネットに取って代わられ、ネットコンテンツの一部になってしまったわけで。そういう時代の要請は、確実にあったでしょう。
でもこれは、時代の必然。江戸時代は娯楽の王者であった歌舞伎が、映画という存在が20世紀初頭に普及すると、歌舞伎も寄席演芸もスポーツもニュースも、映画というメディアに飲み込まれてコンテンツの一部になり。その映画も、テレビというメディアのコンテンツの一部になったように。今度は、テレビというメディアがインターネットのコンテンツの一部になっただけ。因果は巡る、輪廻の輪と。
■テレビの今後とApple TV■
それでも、歌舞伎も寄席演芸も生き残り、映画もまた独自の存在感を今も放っています。でも、テレビの独自性って、なんですかね? そう考えると、スポーツ中継とニュースなどの報道、バラエティ番組、ドラマ、アニメーションとなるのでしょうけれど。スポーツはインターネットを使った独自の中継が今後は増えるでしょうし、報道は双方向性という点でインターネットに負けてっる部分も。バラエティは寄席演芸場独演会ほどの濃さはなく、こちらも独自のネット中継が今後は増えるでしょう。
ただ、案外ドラマやアニメは強いかな、と。映画って、100分前後が主流ですが。ドラマやアニメって、1クールでも12本、1時間ドラマなら実質9時間、30分アニメなら5時間弱の尺がありますから、これって意外と独自性ではないかな、と。劇場版アニメでは興行的な失敗が多かった高畑勲監督が、TVアニメでは評価が高いのは、映画の尺では高畑監督が描きたかった庶民の生活に時間を割けませんが、テレビならそれが可能だったからですしね。
Apple TVはApple TVで、テレビとネットを横断するメディアプレーヤーであり、スマートスピーカーとかパソコンも呑み込んで、進化する可能性を、自分は感じていますけどね。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ