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薙刀の変遷

◉ちょっと前の記事ですが、薙刀について興味深い内容だったので、ご紹介を。薙刀に関して言えば、武術の世界では近代最高の名人・園部秀雄師範が、他流試合でその実力を発揮し、なだたる剣豪を打ち破って実力を証明。秀雄というお名前で、男性と勘違いされる方もいらっしゃるでしょうけれど、これは武道名というか、直心影流薙刀術の宗家としての名乗り。撃剣興行では美人剣士として人気で、でも生涯に二敗のみという達人(その内の一敗は御本人は認めず)。体力で劣る女性がこの実力ですから、武術としての薙刀は、疑いなく優れた技術体系です。

【【武器の歴史】なぜナギナタは戦国時代の合戦から姿を消し、女性の武芸となっていったのか?】Yahoo

日本の歴史における合戦の絵をみたとき、それが何時代の戦いなのか?判断材料の1つとしては、兵や武将が扱う武具があります。

もちろん他にも時代ごとの違いは多々ありますが、この記事では武器・・それも鎌倉時代の前後には主力であった、薙刀(ナギナタ)の変遷にフォーカスしてお伝えします。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/05c169b374b1e4e7d0dcf51745a4fb36ea47620a

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、新潟県立歴史博物館の写真だそうです。薙刀で検索したら、出てきました。


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■薙刀最強説?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。薙刀自体は、女性の武術というイメージがどうしても強いですね。戦場では足軽による集団戦が主流になると、2メートルから8メートルほどもある長大な槍が、どうしても長兵(ポールウェポン)の王座に就き。でも、江戸時代はかの春日局が、江戸城大奥に侵入した盗賊を、薙刀で一刀両断にしたという伝承もあり。室内で使うポールウェポンとしては使いやすく、非力な女性でも男性に対抗し制圧できる武器として、普及したようで。

薙刀がすごいと思ったのは、子供の時にテレビで見た、クジラの解体作業。そこでは、薙刀にソックリな鯨包丁という、解体用の刃物が使用されていたのですが。巨大なクジラの腹を、鯨包丁でスーッと引くと、分厚い皮膚と皮下脂肪と筋肉を、まさに チーズのように切り裂いて、内臓が飛び出してきたシーンに驚き。人間の力を伝える刃物としては、本当に効率がいいのでしょう。今でもYouTubeなどで、クジラの解体作業を見ることが可能ですが。肉から骨まで、切れる切れる。なるほど、熟練者が使えば牛や馬の首でも簡単に両断できちゃうでしょうね。

で、スポーツとして薙刀と剣道が他流試合をすれば、面・胴・小手の剣道に対し、脛まで打突対象の薙刀は有利。高校生レベルだと、男子剣道部員と女子なぎなた部員の対抗戦は、互角か剣道が少し優位のようですが。前述のように園部師範クラスになると、剣道では対抗は難しいでしょうね。自分もいちおう剣道は有段者ですが、やはりポールウェポンに勝つのは至難の業。薙刀 に対抗できるのは、もっとロングレンジの槍ぐらいでしょう。

■武術と競技化■

明治維新で、武士の世が終わり。日本の武術は古臭いものとして、絶滅の危機に立たされたのですが。西洋体育を取り入れた嘉納治五郎の講道館柔道のように、競技化・スポーツ化することで 生き残った面はあります。もちろん競技化は「そのルールで勝つための技が発達し、技術の本質が損なわれる」という問題点はあるのですが。技術が洗練され、発展するのもまた事実です。柔道は、その実戦性から、競技人口は日本よりも フランスの方が多い ぐらいですから。使える技術は世界中で認められるもの。これは、警棒術や警杖術として剣道の技術も、未だに生きているわけで。それは薙刀も同じ。

その後、明治維新を経て近代になると、政府が武道や競技として奨励したことや、あるいは伝統芸能の側面でも、ナギナタは受け継がれて行きました。

現在でも学校の部活動で存在するほか、音楽などリズムに合わせて演武する“リズムなぎなた”といった分野も誕生しています。

道場に、一丈の棒があり、それを自己流で素振りに使うことがあるのですが。ポールウェポンは体感部を安定させるのにも役立つんですよね。重心が安定しないと、槍や薙刀はうまく使いこなせませんから。剣道をやっていた身としては、赤樫の四尺棒での素振りがしっくりくるのですが。長い棒はアントニオ猪木 さんの闘魂棒ではないですが、いろんな運動に利用できるんですよね。そうそう、剣道では中段の構えがほとんどで、たまに上段なのですが。薙刀では、八相の構えが多用され、そういう部分でも、武術の本質的な部分が生き残っているなと、つくづく思います。

■伝統を現代に■

ただ、近年は小学校やコンビニなど、暴漢対策で刺叉を用意している場所は増えています。やはり、ポールウェポンは強盗や不法侵入者に対しても、有効ですから。自分は前から主張していますが、薙刀術の応用としての刺叉術を制定し、研修と認定を制度化できれば、現代の実戦武術として、男性も含めた新たな需要が生まれると思うので。突く・打つ・薙ぐ・払うの技術を有する、薙刀ならではの技術体系が生きるでしょうし。近代化と共に無料の長物と思われていた武術が、再評価されて欲しいですからね。

刺叉は、相手が先端部分をつかむと、力任せに 押し返すことが可能なんですよね。形状的に、力が伝わりやすいので。ただ、そこら辺も含めて、組技への対応を含めた、警備刺叉術を、研究していくのも薙刀の新たな役割ではないかと。先日も、槍術の伝統を受け継ぐ軍隊の銃剣術と、銃剣道との乖離について言及しましたが。伝統の保持としての古流とは別に、伝統を現代には、あらゆるジャンルで通用することだと思うので。もっとも最近は、ハイテク刺叉も次々と開発されていて、その面でも技術は日進月歩 なのだなと。


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