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日本の新たな中南米政策

◉ゴールデンウィーク中の、岸田文雄総理大臣や主要閣僚の、各方面の外遊攻勢は凄かったのですが。個人的には、南米重視の姿勢が、興味深かったです。南米は、これから伸びていくであろう国が多く、資源的にも日本にとっては魅力です。実際、レアアースの輸出規制を中国が仕掛けてきたとき、オーストラリアと並んで、南米が輸入源として、たびたび名前が出てきましたからね。日本にとっては、地球の真裏ですが、非常に可能性がある場所だと思います。

【首相が10年ぶりの新たな中南米政策発表 持続的な経済協力提唱】毎日新聞

 岸田文雄首相は4日(日本時間5日)、ブラジルのサンパウロ大学で講演し、日本としては10年ぶりとなる新たな中南米政策を発表した。グローバルサウス(新興・途上国)として存在感を高めている中南米諸国に対し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化へ協調を呼びかけ、貧困や格差の解消へ日本が貢献する姿勢を強調した。

 また今後3年間で1000人規模の人的交流も打ち出した。中国を念頭に、過度な貸し付けを通じて影響力を行使する「債務のわな」を批判し、持続可能な経済協力の重要性も訴えた。

https://mainichi.jp/articles/20240504/k00/00m/030/211000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、南米ボリビアのウユニ塩湖の写真です。きれいですねぇ。いつか行ってみたい場所のひとつです。

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■南米の可能性とTPP■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。ブラジルが興味深いのは、広大な土地に豊かな資源はもちろんなのですが、2億1339万人という人口。中国のように、人口が多すぎる地域は、それ自体が大きな足枷になるんですよね。貧富の差が大きくなり、国内に実質的な経済植民地ができる感じで。その意味では、面積で米国に次ぐ世界5位のブラジルは、バランスが良いんですよね。アメリカと中国は面積は似たようなものですが、アメリカの3億人に対して、中国の14億人は多すぎますから。これはインドも同じで、ブラジルの半分以下、アメリカのほぼ3分の1の面積で14億人は、多すぎます。

逆に、オーストラリアは人口が約2550万人と、大きさの割にマンパワーが少なすぎるというか。まぁ、砂漠地帯とか多いので、仕方がないのですが。日本は、幕末には2500 万人から2700万人ほどの人口と推計されています。金とか銀の地下資源こそありましたが、資源もない東洋の島国が、植民地にもならずに短期間に西欧列強に伍す国になれたのは、このマンパワー。でも、150年前の日本より少ないオーストラリアの人口は、その領土の広大さと了解の広さからも、プラスにもなればマイナスにもなる要因です。

 また、中国を念頭に「経済的圧力を背景に特定の行動を強いる経済的威圧などは到底認められない」と強調し「相手国の実情を踏まえ、『質の高いインフラづくり』など持続可能な経済協力を推進していく」と提唱。日米欧と中露の対立で機能不全に陥っている国連安全保障理事会の改革についても「具体的行動を進めていく」と表明した。

同上

そう考えると、面積は広いが人口が少ないオーストラリア、面積は世界的には大きいが人口が多すぎるインド、面積も人口もバランスが良いブラジルというのは、日本の今後を考えると、日米豪印戦略対話の絡みと、TPP(環太平洋パートナーシップ協定:Trans-Pacific Partnership)の絡みから、インド・オーストラリア・ブラジルというのは、軸になります。もちろん、それに加えて周辺国との関係も重要に。東南アジアなら台湾やタイやベトナム、フィリピンなど。インドなら、スリランカ。南米なら、パラグアイやアルゼンチン。

■対中国封じ込め政策■

日本とは、ブラジルの日系移民の関係で、縁が深い土地柄です。アントニオ猪木さんも、幼い頃に移民されて、日系ブラジル人というギミックでデビューされたので、アントニオという南米によくある名前になったとか。イタリア系アルゼンチン人の名レスラーの、アントニオ・ロッカから取ったとされますが。アルゼンチン・バックブリーカーの元祖ですね。現在は、先輩レスラーである豊登氏による死神酋長アントニオ、からというのが有力。それはともかく。外遊を、海外旅行で遊んでると勘違いしている人はともかく。今回の動きは、明らかに対中国封じ込めの動き。中国は電磁カタパルトを備えた空母・福建を、試験航海に出航させています。

【中国海軍 3隻目の空母が初の試験航海 米けん制や台湾へ圧力か】NHKニュース

中国海軍が台湾方面などを管轄する部隊に配備するとみられている3隻目の空母が、1日、試験航海を開始しました。対立するアメリカをけん制するほか、今月発足する台湾の新政権への圧力をいっそう強める思惑もありそうです。
(中略)
中国中央テレビは「空母の3隻体制が整えば作戦と訓練、補修を同時に進め重要海域で常に空母を展開できる」と伝えていて、習近平指導部としては着々と戦力を強化し、中国を抑え込もうとするアメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240501/k10014437791000.html

空母福建は、艦載機を加速して発進させるのに、最新式の電磁式カタパルトが装備されており、遼寧や山東のようなスキージャンプ方式ではない、独自設計の正規空母です。個人的には、中国はハコモノに頼りすぎて、空母を運用するための人員やノウハウの蓄積が、イマイチに思えます。清朝も、定遠と鎮遠という、当時最新鋭の戦艦をドイツの発注し、日本を小国と侮っていました。なにしろ清朝は最盛期には、世界のGDPの半分とも3分の1とも言われるぐらい、圧倒的な国力差がありましたし。日本訪問の際には、長崎事件を起こすほど、驕り高ぶっていたのですが。日清戦争の結末は、御存知の通り。

■ロシア崩壊後の世界■

プーチン大統領の指示で、戦術核兵器を扱う部隊による軍事演習の準備を開始したと、ロシア国防省が先日発表しましたが。半分ブラフではあるのでしょうけれども、現状のロシアを考えれば、やりかねない部分も。ウクライナ軍は脅威の粘りを見せていますし、アメリカの下院議会がウクライナ支援予算案を承認、一気に量産体制に入るでしょう。そして、今夏にF-16が投入されたら、ロシアの戦闘機では制空権は維持できないでしょう。そうなったとき、最後の切り札として、使える武器は使ってしまえと、戦術核の使用に踏み切る可能性は、あるでしょうね。戦略核はともかく。

中南米は33カ国に約6億6000万人を擁し、国内総生産(GDP)の合計は約6兆2500億ドルを誇る。ブラジルやメキシコなどが国際社会で存在感を高めている一方、重要鉱物や食糧の確保などを巡って、中国の影響力強化が目立っている。

同上

はっきり言えば、今回の各国歴訪は、ロシアがウクライナから撤退し、プーチン大統領が責任を問われてクーデターが起きたり、内乱状態になり。中国がその混乱に乗じて、怪しい動きをするのを見越して、先手を打ちにいった可能性を、自分は感じていますけどね。まぁ、ただの一般人の感想でしかないですが。でも、政治というのは、あらゆる可能性を勘案して、無駄に思えても手を打っておく必要がありますからね。この成果が出るのは、今夏なのか来年なのか、それとも三年後なのか、それは解りませんが。安倍晋三元総理が打っておいた布石が、いきてくるのは確実だと思います。知らんけど。


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