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エネルギー関連:アンモニア・地熱・水素・メタンハイドレート

◉さて、あまり人気のないエネルギー関連の話題を、まとめて書きますね。日本人はエネルギー問題に関心が薄いですが、なぜ無謀な日米開戦に踏み切ったのか、なぜ田中角栄は失脚したのかを考えれば、軽く考えてはいけない問題だと思っています。まずは、アンモニアの話題から。

【アンモニア混焼発電 石炭延命にならぬよう=論説委員・竹川正記】毎日新聞

 2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現と、エネルギーの安定供給確保をどう両立させるか。経済・社会のデジタル化で電力需要の増加が見込まれる中、日本が試練にさらされている。世界では排出量の多い石炭火力発電を廃止する流れが強まっている。だが、発電の約3割を頼る日本は慎重だ。燃料を石炭からアンモニアへ段階的に転換する方法で脱炭素化を探るが、課題は多い。

https://mainichi.jp/articles/20240815/ddm/004/070/012000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、AIによるエネルギーのイメージイラストです。

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■アンモニアの需要は増大■

毎日新聞は、火力発電によるアンモニア混焼さえ、反対の方針のようですが。これは、相変わらずの科学音痴だなぁと。日本の火力発電は、コンパウンドサイクル発電で、二酸化炭素も有害物質も、かなり高レベルで除去できる、スグレモノ。まぁ、欧州が火力発電を目の敵にするので、安易にそれに乗っかっているのでしょうけれども。パリ五輪で、そういう左派の理念選考現実無視の言説が、世界中から批判や疑問を浴びたように。むしろ、ありふれた物質であるアンモニアの混焼は、エネルギー問題の大きな一助になると、自分はこのnoteでも繰り返し書いています。

【三菱商事・出光、アンモニア安く 小口需要家の脱炭素支援】日経新聞

三菱商事と出光興産は西日本で企業向けのアンモニア供給網を整備する。液化石油ガス(LPG)設備を転用するほか、2030年の国内需要の3分の2にあたる年間200万トンを米国などから大量調達し、価格を引き下げる。メーカーなど小口の需要家がアンモニアを単独で入手するのは難しい。企業の枠を超えた供給網整備で地域の中堅中小企業の脱炭素化を促す。

既存インフラを転用
三菱商事は愛媛県今治市で子会社の波方ターミ...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC113G90R10C24A7000000/

こちらの記事は、三菱商事と出光興による、企業向けのアンモニア供給網整備の話題。言うまでもなく、出光と言えば、ガソリンスタンドなど小売の方でも有名な、エネルギー関連企業。そういうところが、小口の需要に備えて、西日本に供給網を築く。それだけ、アンモニアの需要に期待しているのでしょう。言うまでもなく、アンモニアは化学肥料などの材料にもなりますし、燃焼しやすく容積が大きい気体の水素を、より安全でコンパクトな液体の形で運ぶ水素キャリアとしても、かなり優秀ですから。毎日新聞のアップデートを願います。難しいでしょうけれど。

■地熱発電の成功率の向上■

毎日新聞の次は、読売新聞。こちらは、地熱発電について。個人的には、24時間365日発電ができる地熱発電には、期待した部分もあります。日本はこの国土に、世界の活火山の8%が集中する火山大国ですし、八丁原地熱発電所など、実績もありますしね。でもイロイロと調べていくと、普及していないのには、ちゃんと理由があるんですよね。だいたい、火力発電でも原子力発電でも、熱で水を沸騰させ、その蒸気の力で発電するのは、蒸気機関車と同じ原理ですから。でも温泉って、冷戦もあるように、100度に達するような高温のものって、意外に少ないんですよね。

【地熱開発の成功率を科学の力で高めたい】読売新聞

 エネルギーの安定供給と環境保全を両立していくうえで、地熱発電は大きな可能性を秘める。しかし、発電用の熱水を掘り当てるのは難しく、開発の大きなハードルとなる。京都大学工学研究科の小池克明教授(地球資源工学)は、物理探査や化学分析、衛星観測、コンピューター解析など、様々な手法を統合することで、熱水を掘り当てる成功率の向上を目指している。
(中略)
 地熱発電では、高温の蒸気や熱水を生産井から噴出させ、タービンを回す。その熱水や蒸気が地中でたまっている場所は、「地熱貯留層」と呼ばれ、地下1~3キロ・メートルにあることが多い。「層」とは言っても、地下の岩盤に広い空間はない。「熱水がたまっているのは岩盤の中の亀裂です。厚さは数ミリとか数センチ。様々な長さの亀裂が複雑につながり、大局的にみれば面的な広がりになっていると考えられます」(小池さん)という。

https://www.yomiuri.co.jp/column/dreamchaser/20240813-OYT8T50043/

そして、地熱発電は、好適地を探るボーリングに、莫大な費用がかかるんですよね。そして、日本の原発を地熱発電で代替しようと思ったら、全国に八丁原地熱発電所レベルが、単純計算で444個所必要。それだけの地熱発電所の調査のボーリングに、どれだけ必要か。自分が子供の頃も、いろんなボーリング調査はありましたが、思った以上に大掛かりで、費用がかかっていたんですね。でも、京都大学工学研究科の研究は、その好適地の調査の、ハズレの確率を低くする研究。個人的には期待したいですが、地下熱の利用研究にも、期待したいですね。

■大型水素トラックの実証■

そして、アンモニアとセットで重要なのが、水素。トヨタ自動車は、水素エンジンに未来を見ていますが、欧米勢はトヨタを敵視して、EVENT車推しに走ったのですが。そもそも、高緯度地域が多い欧州は、寒冷な気候が多く、EV車は寒波に弱いんですよね。シフトするにしても、ハイブリッド車とかが有効なのに、理念選考で一足飛びに、劇的な変化を求めてしまう。ここらへんは、一神教の文化ですね。上手くすると大改革に成功するのですが、フランス革命のように反動のほうが大きいことが多いので。トヨタは堅実に、まずは需要が高くルート配送など救急体制が取りやすい、大型トラックから着手のようで。

【大型水素トラック、トヨタが実証】ニュースイッチ

 トヨタ自動車は水素を動力源とする大型トラックの運行実証を欧州で実施する。9月中旬にも米コカ・コーラや仏エア・リキードと共同で、燃料電池(FC)技術の効率と重量物輸送の実行可能性を検証する。長距離物流における二酸化炭素(CO2)排出量を削減し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に貢献する。

 水素と酸素を反応させて発電するFCモジュールを搭載した大型のFCトラックをトヨタが提供する。再生可能な資源から生み出した水素をエア・リキードが供給する。実証を通じて車両とインフラの両方を同時に開発・検証する。

https://newswitch.jp/p/42560

さらに「大型トラックを活用した重量物輸送は欧州の貨物輸送の約4分の1を占める。」とのこと。これは、欧州のトラックにも、水素エンジンを売り込む可能性も。というか、トヨタは水素エンジン推しのため、自社の研究成果を公開して、世界全体が水素自動車に向かうように、誘導しようとしていますから。欧州のトラックメーカーとかが、ある時期に水素エンジンにシフトしたら、蟻の一穴になる可能性も。まずはバスとかトラックとかで水素エンジン車と、水素供給ステーションが普及すれば、その先に水素エンジンの乗用車も、見えてきますし。王者は我が道を行く、ですかね。

■メタンハイドレート利用■

そして、メタンハイドレート。メタンハイドレートの燃料利用に成功した、という話題なんですが。日本の深海にあるメタンハイドレートではなく、アラスカにあるメタンハイドレート層から取り出したもの。そういう意味では、深海からの収集と利用というのには、程遠いのですが。でも、自分がサラリーマン時代の読んだ講談社のブルーバックスには、すでにオイルシェールやオイルサンドの利用への言及ってあったんですよね。その後の、新技術の開発と産出量の増加は、皆さん御存知の通り。こういう地道な研究が、メタンハイドレートの利用と研究の、一助になるのは同じかと。

【世界初“燃える氷”メタンハイドレートの燃料利用に成功】テレ朝news

 次世代のエネルギー資源「メタンハイドレート」から取り出されたガスが世界で初めて燃料として利用されました。

 エネルギー・金属鉱物資源機構は13日、アメリカ国立エネルギー技術研究所と共同で行っていたアラスカにあるメタンハイドレート層からガスを産出する試験を先月、終了したと発表しました。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000365768.html

メタンハイドレート自体は、日本の領海や排他的経済水域で次々と発見され、量もかなりのもの。その埋蔵量は12・6兆立方メートルで、日本人が使う天然ガス100年分以上。最低でも120兆円の価値があるとされるのですから、将来的にはやはり日本の重要な財産。何度も書いていますが、核融合発電が商用ベースに載っても、水力・火力・原子力発電は、100年や200年のレベルで、重要な発電方法であり続けるでしょう。そういう意味でも、メタンハイドレートは、研究しておくに越したことはない訳で。そうでなくても、世界6位の排他的経済水域を持つ日本は、海洋開発――特に深海の開発は、未来につながる重要な部分かと。


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