エネルギー関連:アンモニア・地熱・水素・メタンハイドレート
◉さて、あまり人気のないエネルギー関連の話題を、まとめて書きますね。日本人はエネルギー問題に関心が薄いですが、なぜ無謀な日米開戦に踏み切ったのか、なぜ田中角栄は失脚したのかを考えれば、軽く考えてはいけない問題だと思っています。まずは、アンモニアの話題から。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、AIによるエネルギーのイメージイラストです。
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■アンモニアの需要は増大■
毎日新聞は、火力発電によるアンモニア混焼さえ、反対の方針のようですが。これは、相変わらずの科学音痴だなぁと。日本の火力発電は、コンパウンドサイクル発電で、二酸化炭素も有害物質も、かなり高レベルで除去できる、スグレモノ。まぁ、欧州が火力発電を目の敵にするので、安易にそれに乗っかっているのでしょうけれども。パリ五輪で、そういう左派の理念選考現実無視の言説が、世界中から批判や疑問を浴びたように。むしろ、ありふれた物質であるアンモニアの混焼は、エネルギー問題の大きな一助になると、自分はこのnoteでも繰り返し書いています。
こちらの記事は、三菱商事と出光興による、企業向けのアンモニア供給網整備の話題。言うまでもなく、出光と言えば、ガソリンスタンドなど小売の方でも有名な、エネルギー関連企業。そういうところが、小口の需要に備えて、西日本に供給網を築く。それだけ、アンモニアの需要に期待しているのでしょう。言うまでもなく、アンモニアは化学肥料などの材料にもなりますし、燃焼しやすく容積が大きい気体の水素を、より安全でコンパクトな液体の形で運ぶ水素キャリアとしても、かなり優秀ですから。毎日新聞のアップデートを願います。難しいでしょうけれど。
■地熱発電の成功率の向上■
毎日新聞の次は、読売新聞。こちらは、地熱発電について。個人的には、24時間365日発電ができる地熱発電には、期待した部分もあります。日本はこの国土に、世界の活火山の8%が集中する火山大国ですし、八丁原地熱発電所など、実績もありますしね。でもイロイロと調べていくと、普及していないのには、ちゃんと理由があるんですよね。だいたい、火力発電でも原子力発電でも、熱で水を沸騰させ、その蒸気の力で発電するのは、蒸気機関車と同じ原理ですから。でも温泉って、冷戦もあるように、100度に達するような高温のものって、意外に少ないんですよね。
そして、地熱発電は、好適地を探るボーリングに、莫大な費用がかかるんですよね。そして、日本の原発を地熱発電で代替しようと思ったら、全国に八丁原地熱発電所レベルが、単純計算で444個所必要。それだけの地熱発電所の調査のボーリングに、どれだけ必要か。自分が子供の頃も、いろんなボーリング調査はありましたが、思った以上に大掛かりで、費用がかかっていたんですね。でも、京都大学工学研究科の研究は、その好適地の調査の、ハズレの確率を低くする研究。個人的には期待したいですが、地下熱の利用研究にも、期待したいですね。
■大型水素トラックの実証■
そして、アンモニアとセットで重要なのが、水素。トヨタ自動車は、水素エンジンに未来を見ていますが、欧米勢はトヨタを敵視して、EVENT車推しに走ったのですが。そもそも、高緯度地域が多い欧州は、寒冷な気候が多く、EV車は寒波に弱いんですよね。シフトするにしても、ハイブリッド車とかが有効なのに、理念選考で一足飛びに、劇的な変化を求めてしまう。ここらへんは、一神教の文化ですね。上手くすると大改革に成功するのですが、フランス革命のように反動のほうが大きいことが多いので。トヨタは堅実に、まずは需要が高くルート配送など救急体制が取りやすい、大型トラックから着手のようで。
さらに「大型トラックを活用した重量物輸送は欧州の貨物輸送の約4分の1を占める。」とのこと。これは、欧州のトラックにも、水素エンジンを売り込む可能性も。というか、トヨタは水素エンジン推しのため、自社の研究成果を公開して、世界全体が水素自動車に向かうように、誘導しようとしていますから。欧州のトラックメーカーとかが、ある時期に水素エンジンにシフトしたら、蟻の一穴になる可能性も。まずはバスとかトラックとかで水素エンジン車と、水素供給ステーションが普及すれば、その先に水素エンジンの乗用車も、見えてきますし。王者は我が道を行く、ですかね。
■メタンハイドレート利用■
そして、メタンハイドレート。メタンハイドレートの燃料利用に成功した、という話題なんですが。日本の深海にあるメタンハイドレートではなく、アラスカにあるメタンハイドレート層から取り出したもの。そういう意味では、深海からの収集と利用というのには、程遠いのですが。でも、自分がサラリーマン時代の読んだ講談社のブルーバックスには、すでにオイルシェールやオイルサンドの利用への言及ってあったんですよね。その後の、新技術の開発と産出量の増加は、皆さん御存知の通り。こういう地道な研究が、メタンハイドレートの利用と研究の、一助になるのは同じかと。
メタンハイドレート自体は、日本の領海や排他的経済水域で次々と発見され、量もかなりのもの。その埋蔵量は12・6兆立方メートルで、日本人が使う天然ガス100年分以上。最低でも120兆円の価値があるとされるのですから、将来的にはやはり日本の重要な財産。何度も書いていますが、核融合発電が商用ベースに載っても、水力・火力・原子力発電は、100年や200年のレベルで、重要な発電方法であり続けるでしょう。そういう意味でも、メタンハイドレートは、研究しておくに越したことはない訳で。そうでなくても、世界6位の排他的経済水域を持つ日本は、海洋開発――特に深海の開発は、未来につながる重要な部分かと。
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