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マンガ図書館Z停止の衝撃

◉赤松健先生がJコミとして立ち上げた、マンガ図書館Zのサイトが、停止してしまいました。14年にわたり活動し、絶版になった作品を読者に共有し、マネタイズするという画期的なサイトだったのですが……。しかもどうやら表現の自由を、いち私企業が踏みにじった疑いが。コレは根深い問題に発展するでしょう、確実に。

現在(11/5 19:00)、マンガ図書館Zのサイトが非常に繋がりにくくなっています。
サイトの停止のお知らせについては以下のページを直接参照ください。
closing.mangaz.com

皆様の大きな反響に大変驚いています。
応援お待ちしています。

#マンガ図書館Z
#Jコミ
https://closing.mangaz.com/

https://x.com/Manga_Z_/status/1853741691754144133?t=GRO9w92eRc9OKF-4zMHV_w&s=19

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、マンガ図書館Zの告知ページのスクリーンショットです。


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■赤松健議員のコメント■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。この件に関しては、赤松健議員がX(旧Twitter)でも言及されていました。とても重要な内容かつ、非常に簡潔に問題を整理されていますので、備忘録も兼ねて下記に転載しておきます。

「マンガ図書館Zのサイト停止に関するお知らせ」について
closing.mangaz.com

私が14年前に立ち上げたJコミ、現在の「マンガ図書館Z」が、11月26日でサイトを停止する決断をいたしました。私は既に経営からは退いていますが、今回のお知らせの文章は私が代表して書いたものです。
まず当サービス自体の説明ですが、マンガ図書館Zは絶版マンガを中心に電子書籍を無料で配信し、広告収益を作者に還元する広告収益型のサイトです。そしてサーバ代などは有料のプレミアム会員費が主な出所となっていました。

今回、サイト停止の直接的な要因は、決済代行会社が「クレジットカード決済以外の決済手段も含む、決済サービス全体での解約」を通告してきたためです。クレジットカードはJCBを含む全てのカード会社が突如使用不能となり、他の決済方法も(ビットキャッシュ以外)全て使えなくなりました。おまけに、既に過ぎている月の支払いまでも留保となり、その期間(今後も)のプレミアム会員費が全く入らなくなったため、サーバ代さえ出ない状況に陥りました。
そこでマンガ図書館Zの運営スタッフで検討した結果、「ビットキャッシュ収益だけで運営するのは不可能」「替わりの決済代行会社を見つけたとしても、また同じ現象が起こる可能性がある」「一部の作品だけ削除して凌ぐのは避けたい」という判断から、サイトの停止を決断するに至りました。

通告から支払留保までの期間があまりに短く、「決済サービスをおさえる企業に屈する」形になったことを深くお詫びいたします。

しかし今回、

・どのような根拠で決済サービスの停止を宣言してくるか
・どれくらいのペナルティが来て、どれくらいの期間それが続くか
・具体的にどのような回避策があったのか

など(当事者ならではの)正確な情報が得られましたので、より正当な調査やヒアリングに結びつけることができると思います。昔、アップルの電子書籍アプリで「ラブひな」がBANされ、後に復活したことがありましたが、その時の経験は現在でも「表現の自由を守る」ための「具体的な体験例」として度々引用しており、有効に使っております。

近年、これまでにない「強い条件」や「強いペナルティ」が決済サービス側から発せられており、これらを放置すると電子書籍のみならず、日本のコンテンツ業界全体の問題となってくるのは確実な状況です。「実際に閉鎖に追い込まれた側」として、より正確な対抗策を打ち出してまいります。皆様のご支援を何とぞお願いできればと思います。

https://x.com/KenAkamatsu/status/1853771600828809490?t=ohPZVMjSb2qy4n0anv0UuQ&s=19

いちばん重要なのは、〔決済代行会社が「クレジットカード決済以外の決済手段も含む、決済サービス全体での解約」を通告してきたため〕という点なのですが、クレジットカード会社そのものではなく、決済を代行する会社による、独断であるという点ですね。クレジットカード会社による言論規制問題自体は、山田太郎議員がVisaの米国本社へ往訪し、現地の担当者から「取引については、合法、非合法の法的判断は行っているが、合法であるコンテンツなどに対する価値判断は行っていない」との言質を得ていましたが。代行会社による規制とは……。

■山田太郎議員のコメント■

その山田太郎議員も、この件に関して言及しています。アクワイアラという、耳慣れない単語が登場しますが、漠然と「決済代行」という単語は知っていても、仕組みに関しては知らない人が多いでしょうね。自分もよくわかっていませんから。その点でも、分かりやすい解説になっています。

今回の解約の対象は、特定のクレジットカードの国際ブランドではなく、決済サービス全体とのこと。

クレジットカードを利用する加盟店は国際ブランドと直接契約するのではなく、アクワイアラと呼ばれる会社と加盟店契約を締結します。

そして、実際の加盟店契約は決済代行会社を介して行われることが少なくなく、事務管理・経理処理の観点から複数のアクワイアラとの契約・管理をする決済代行会社が使われます。

マンガ図書館Zのサイト停止は、そのような決済代行会社から決済サービス全体での解約が通告されたためのようです。

現時点では、決済代行会社の判断なのか、アクワイアラからの指示によるものなのか分かりません。

今後、表現の自由、コンテンツ取引の自由を守って行く為には、特定の国際ブランド(本社・支社)との交渉だけではなく、国内だけでも数多く存在するアクワイアラや決済代行会社と交渉していく必要があります。

「リアルで自由に取引できるコンテンツはオンラインでも自由に取引できる」、そのような当たり前を実現するため、引き続き全力を尽くします。

今回の件、マンガ図書館Zを立ち上げた赤松健さんがより正確な情報を持っているとの事なので、力を合わせて対処していきたいと考えています。

https://x.com/yamadataro43/status/1853794790770684228?t=e8faWas3rGEImCHeU6NrWw&s=19

このような、私企業による検閲同然の表現規制は、長らく問題になっているのですが。アメリカのVisaカード本社からの言質で、ひと安心していたら、多くの会社がアクワイアラや決済代行会社と契約しており、そこが独自に動いた可能性。赤松健議員の〔通告から支払留保までの期間があまりに短く、「決済サービスをおさえる企業に屈する」形になったことを深くお詫びいたします。〕と合わせて考えると、不意打ちに近い形で、仕掛けられた疑いがありますね。

■SOW先生の連続ポストも■

この件に関しては、SOW先生の連続ポストが、問題点をうまく洗い出していると思いますので、こちらも転載しておきます。ちょっと…いや、かなり…とても長いですが、ポリティカル・コレクトネスの持つ、本質的な問題点についての考察ですので、あえて全部を転載しておきます。

今回のマンガ図書館Z周りの騒動、「アダルトコンテンツを扱っていたので支払い代行会社に拒絶された」的なのを、「なら全年齢版だけやればいいじゃないか」的に思うかもだが、多分そんな単純な問題ではないのだろうなと。というのもーー

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853798415635038443?t=8DPYFkNwkGYqWHtvjgDesA&s=19

この場合の「アダルトコンテンツ」を、いわゆる「エロ」だけではないのよな。
ここらへんの基準って、年々変わってて、昔なら全年齢の内容が、今では18禁指定になっているものは数多い。アマゾンのKindleとか、昔のマンガ、そうなってるの多いのよ。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853798801116664004?t=-1KJOCrPvnZWPjXH08n8UA&s=19

80年代90年代なら全年齢だったそれが、今では問題とされてしまうので、アダルト扱いにしていたようなのも多い。エロ描写だけでなく、グロ描写、他にはいわゆる「犯罪を助長させる」ようなのも含まれる。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853799089365975360?t=VySYuhJVzs2kB3_gazxw3A&s=19

マンガ図書館Zがどこまでだったかは私は把握していないが、他の例を上げれば、「未成年の飲酒喫煙」「出血描写」「犯罪、特に強姦を連想させる描写」などは、いろいろかなり厳しくなっている。
実はラノベでもけっこう言われるんだよ。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853799472389918825?t=d2omyqViGGKXeSFpG0IOEA&s=19

だから例えば、「幽遊白書」で、幽助が「タバコの火」を使って勝利するシーンや、「ハガレン」でランファンが己の腕を切り落とす回でさえ、「非全年齢」指定になる可能性は、0ではない。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853799780981628976?t=KwIvY1x-o3O_CMyv8uAFdA&s=19

実際、「ベルセルク」はその昔、一部書店で撤去騒動があったくらいだし、某マンガは当時起こった犯罪と酷似していると、一時売り場から消えたこともある。それらが、より起こりやすいのが昨今だ。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853800093532738044?t=l_HVRRMLEc7TZXFfxV7FyA&s=19

そして重要なのはここからで、これらの基準は今後強まることはあっても、緩むことはない風潮だ。どうしても掲載したければ、その部分を性器や乳首をぼかすのと同様に黒塗りにしろとさえ言われかねない。
実際、TVアニメだが「テラフォーマーズ」や「アカメが斬る!」では同様の処置がされた。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853800506495553779?t=5vcaAHX_yyEII-BmtjC4Rg&s=19

つまり、今回、マンガ図書館Zは、その運営上、「昔の漫画」が多いため、黒塗りや部分カットなどの作家性を損壊する「加工」を避けた結果、現行の基準ではアダルト作品に分類せざるをえなかったところもあったのではなかろうかと。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853801080762851670?t=TTAUwOEMJqdkziAJTSMhPQ&s=19

80年代や90年代では問題のなかったそれが、20年代では制限付きとなった。
そして、これらの厳しさは年々上がるということは、今後、00年代作品、10年代作品も、「そうなってしまう」可能性があり、それを守ろうとやむなく年齢基準を上げれば、

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853801343049412780?t=2c2N_S4W7pnAymh6kzHXvw&s=19

十把一絡げに「けしからんサイト」と判断し、決済代行会社を経由しての「切り捨て」が発動してしまうという危険が、「今後も十分起こり得る」ということでもある。ゆえに、どこかで一線を引いて、無制限に代行会社判断で切り捨てができないようにするのは、急務と言えよう。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853801706435555539?t=cIRFLx9m1J52XzzOSzwG5w&s=19

その昔、表現規制問題において、大きな事件となった裁判があるのだが、それに関連して、「少年ジャンプだって規制対象になる」とさえ言われたそうな。
20年前の笑い話が、今はご禁制になる時代なのだ。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853802762120946156?t=Jtt9w4Ze-oDAbqMJe1zF4g&s=19

要は「問題があるからだめになった」ではなく、
「問題に”された”のでだめになった」なのだ。
これはあまりにフェアではない。

https://x.com/sow_LIBRA11/status/1853803615963492366?t=Dt1FsCH0VpKUZ5iAXivVDA&s=19

価値観というものは時代とともに変化します。それは、あくまでも 相対的なものです。現在の価値観が未来で否定されることもあれば、逆に現在は悪とされる価値観が未来では善される可能性もあります。女性の参政権が認められたのは、多くの国で第二次対戦後ですし。マルキ・ド・サドは、子孫が恥じて改名するほど、背徳的な小説を書きましたが。現在はその生原稿が、フランスの国宝扱い。エロの商業目的で制作された浮世絵の春画は、今では世界の博物館で収集対象になるほど。しかし、ポリコレ棒を振り回す人たちは、自分たちの価値観は絶対的に正しく、永遠不変であるかのような傲慢さを感じることが、しばしばあります。

そんなものに、振り回されて文字通り焚書などされたら、文化は容易に消えてしまいます。

■ポリコレの根深さと問題■

行き過ぎたポリティカル・コレクトネスは、黒人奴隷と差別に対して反対し、当時としてはとても先進的だったマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』さえも、標的にします。黒人への軽蔑的表現とされる〝ニガー〟が200回以上登場するため、人種差別主義が含まれていると主張する団体の要請で、学校放送から取り除かれているという現実があります。まさに言葉狩り。1885年2月18日に初版が出版された作品に、現代的な価値観音を持ち込む 愚かさ。

他にも『大草原の小さな家』のシリーズで知られるローラ・インガルス・ワイルダーも、アメリカ図書館協会が1954年に児童文学を対象とするローラ・インガルス・ワイルダー賞を設けたのですが、その保守的な価値観への批判が集まると同協会は、2018年に児童文学遺産賞(Children's Literature Legacy Award)に改名してしまいます。ローラ・インガルス・ワイルダーは1867年の生まれです。日本で言えば慶応三年、江戸時代の生まれです。現代と価値観が違って当たり前でしょうに。

日本でも、手塚治虫先生の作品などが、これでやられましたが。名作『はだしのゲン』もまた、保守側の申し立てで、閲覧制限がかけられそうになりましたし。思想の左右を問わず、表現規制は起こり得るわけですから。右も左も、そういう圧力に対しては慎重であるべきなのですが。かつては表現の自由を尊重していたはずのリベラル陣営が、率先して表現規制に走るという、笑えない現実もあります。自称リベラルがキリスト教系の保守団体のようなことを言い出す、鵺化が止まりません。

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