銃剣は必要か?
◉元フランス外人部隊兵の、退役おっさん FELLA(さん付け不要)さんが、興味深い内容を𝕏(旧Twitter)で、ポストされていました。銃剣は必要か、という問いに対する考え。銃剣は扱ったことはありませんが、多少は武術をかじった身として、雑感を。
ヘッダーはWikipediaのフォトギャラリーより、銃剣の写真です。
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■槍術と現代スポーツ■
現代武道のひとつである銃剣道って、ほとんどの日本人は見たことがないでしょうに。尚武の地である鹿児島では、自分が小学生の頃は秋には毎週どこかで武道大会が開かれており、剣道や柔道はもちろん、弓道や相撲なども一緒に開かれていましたが。銃剣道は護国神社などの大きな武道大会でないと、なかなか見ることはできませんでした。そういう意味では銃剣道は、スポーツ化された現代の槍術なんですよね。剣術や柔術、弓術、薙刀術などは、スポーツ化して生き残ったけれど、長兵の王であった槍術は、伝統武術としてしか生き残れず。銃剣道に集合され、命脈を保っている面があります。
でも、当初は採用していたフランス式銃剣術を廃して、新たに制定した銃剣道を陸軍はした結果、現代の銃剣の使い方とは乖離したモノになってる面もありそうです。
確かに 日本の武術は非常に、洗練された部分があり。だから 柔道は世界中で愛好されています。それは槍術も同じ。しかし槍というのは、2メートルとか3メートルもある、長大なポールウェポンですから。現代の自動小銃の大きさも形状も重さも、明治の頃に開発された村田銃の頃とは別モノですしね。合理性を追求する現代の軍隊としては、自衛隊銃剣術として、独自の銃剣術を制定するべきなんでしょうね。
■自衛隊と銃剣道■
昔、陸上自衛隊の人に聞いた話ですが、弾丸が尽きても最後は銃剣でも戦うという、ある意味で陸軍軍人の誇りというか、徹底抗戦の象徴的な意味もあるようで。確かに、現代の兵隊といえば 自動小銃がメインウェポンですが。手榴弾やナイフも携帯していますし。弾薬が尽きても、ゲリラ戦では銃剣は立派な武器。間違いなく ナイフよりは強い。日本刀が武士の魂と呼ばれた伝統ではないですが、そういう象徴性って、軍隊で戦う人間には大事かもしれません。もちろんそれは、弾薬が尽きても銃剣で戦え、という精神論的な意味ではなく。
銃剣道自体は、上記のウィキペディアの記述ように、現代のスポーツ武道としての側面と、軍隊の実践的技術という側面の狭間で、揺れ動いてる面があるようですね。競技化すれば普及しない、でも競技化すると実技の本質が失われて、試合に勝つために最も有効な技術が発展して、奇形化してしまう。柔道では、抑え込みに対抗するために、亀と呼ばれるうつ伏せでのガードが発達しましたが。グレイシー柔術の出現で、それが 打撃ありの状況では、脊髄を敵に晒す危険な姿勢という部分が、可視化されてしまったように。これはスポーツ武道の持つジレンマ でもあります。
■明治と令和の銃剣比較■
ちなみに村田銃は、1880年(明治13年)に日本軍が採用した、最初の国産小銃です。全長1294ミリと、四尺棒ぐらいの長さがあり、さらに先に1881年(明治13年)に制式化された十三年式村田単発銃用銃剣が着きます。剣長が710ミリ、刃長が570ミリと、結構な長さです。日本刀の脇差は、だいたい刃渡り一尺以上二尺未満ですから、一般的な脇差よりも十三年式村田単発銃用銃剣は、大きめですね。ヤクザが使った長脇差に近い長さです。装着すると八尺近く、そういう意味では槍に近い技術が必要なんだろうなと、自分でも想像がつきます。
そしてこちらが、現代の20式5.56mm小銃です。2020年に陸上自衛隊に部隊使用承認された、自動小銃です。長さは最大で851ミリとのこと。村田銃よりも443ミリも短く、三尺に届かない。二尺八寸ぐらいでしょうか。コレに、ナイフに近い長さの銃剣を装着した場合、全長 でも四尺に届かない感じでしょうか。
自分は、素振り用の赤樫の四尺棒を愛用していますが、これは剣道の竹刀が三尺八寸で、ほぼ近いので。でも、四尺棒は基本的に、機動隊などが使用し、警杖術として学ぶものですから。ベースは剣術に近く、突き技よりも打撃技が、重視されますから。でも、銃剣は切る機能はほぼないんですよね。突き技専門。昔で言えば枕槍や用心槍と呼ばれた、短い槍の短槍術に近い技術が必要なのかもしれません。でも、そういう技術が、伝統的な槍術流派に、どこまで残っているか。日本武術の伝統は取り入れつつ、あなたに再構築すべき時期なのかもしれませんね。
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