中国で絶滅したサンショウウオを日本で再発見
◉オオサンショウウオ、京都の鴨川で大雨の後、たまにウロウロしてるのを、発見されますが。恩賜上野動物園の爬虫類館とか、巨大な個体がいて、その存在感に圧倒されます。さすが、世界最大の両生類、生きた化石。ゴジラかと。ただ、近縁のチュウゴクサンショウウオやチョウセンサンショウウオとの交雑が、問題になっていたのですが。なんと調査したら、中国で野生種は絶滅したと考えられていたスライゴオオサンショウウオが、発見されたとか。驚きです。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、サンショウウオのイラストです。
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■シフゾウの再発見■
あくまでも、野生の個体が絶滅しただけで、スライゴオオサンショウウオの飼育されている個体は絶滅していないようですが。しかし、こういう事例を聞くと、四不像(シフゾウ)という珍獣が、一度は中国本土で絶滅し、イギリス貴族のベッドフォード公爵ハーブランド・ラッセルが、広大な所領で放し飼いして、絶滅していなかったという、逸話を思い出します。日本の風土はよほど、オオサンショウウオ類にあっているのか?
もともとシフゾウは、清朝の皇帝の狩猟園である北京の南苑でのみ、生き残っていたそうで。動物愛護団体の中には、動物園は動物を奴隷のように閉じ込める施設で廃止すべきだ、なんて極論を言う人もいますが。実際は種の保護や研究において、大きな役割を果たしています。南苑は狩猟場ではありますが、権力者が特別に保護している空間という意味では、その機能は動物園に似ています。
■動物園の機能と役割■
日本でも江戸時代、御狩場と呼ばれる将軍専用の狩猟用の地域がありました。これは徳川家康が鷹狩りを非常に好み、その伝統が受け継がれた面もあります。また、丹頂鶴 なども狩猟が禁止や制限され、江戸時代の浮世絵などを見ると三河島の辺りに、冬場は丹頂鶴が越冬のために飛来していたことが分かります。ところが明治維新以降はこれがなくなったため、東京の丹頂鶴は早々に絶滅してしまいます。
Wikipediaでは、編集合戦の末に消されてしまいましたが、佐渡島のトキも自然繁殖にこだわる地元の保護団体の強硬な態度が、人工繁殖に方針転換することを妨げ、結果的に国産のトキは絶滅してしまいました。早々に 人工飼育に取り組んでいた中国では数を増やし、それをもらい受けた日本でも現在は、人工繁殖で野生に放鳥できるほど回復し、現在は600羽ほどいるそうです。
■今後の動物保護は■
ヒステリックな環境保護活動に、自分が賛成できない理由のひとつです。今回のスライゴオオサンショウウオの再発見は、怪我の巧妙と言うかヒョウタンから駒 と言うか。本来は環境保護としてやってはいけないことで、かえって絶滅危惧種が保護されてしまうという逆説(パラドックス)。二宮尊徳の提唱した一円融合の思想の、実例のような話になってしまいましたが。世の中はわからないものですね。
ただ、オオサンショウウオの遺伝子交雑の問題は、やはり日本固有種を守る意味でも、大事なことです。しかし 野生下での交雑は、避けられない面があります。全固体を捕獲して隔離するのは事実上、無理ですから。であるならば、国産の個体は動物園や研究所などで飼育して、保護するしかない面はありますね。そういう意味でも動物園の機能というのは重要です。そうやって飼育した個体の展示によって利益を得て、研究や保護を維持できるのですから、一石二鳥。
頭の悪い人のために釘を刺しておきますが、だからと言って 動物の保護は動物園だけでやればいい、などと言った極端な保護論は、一言も言っていませんので。それはけっきょく、野生でだけ保護しろと言っていた、トキの保護団体と、ベクトルが違うだけの同じ穴のムジナですから。野生と人工、その両方をバランスよく、イデオロギーにとらわれず効率を考え、賢く保護することが大事です。
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