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発電問題4題:高温ガス炉・高速炉・バイオマス発電・潮流発電

◉メルトダウンしづらい構造で、安全性が高いとされる第四世代原子炉の中のひとつである高温ガス炉。中国では一昨年、商用実証炉が臨界に達しました。アメリカとイギリスでは2029年の、商用炉稼働を目指しています。日本はそれよりもだいぶ遅れていますが、それでも実証炉を2029年から製作・建設し、2030年代に運転する構想を掲げていますので。経済産業省が支援に動くのも、必然ではあります。この他諸々のエネルギー関連の話題を、まとめてnoteに。

【次世代原子炉「高温ガス炉」実証見据え、経産省が燃料工場を支援】ニュースイッチ

 経済産業省は2023年度にも高温ガス炉の燃料加工工場の刷新支援に乗り出す。高温ガス炉の実証炉を29年から製作・建設し、30年代に運転する構想を掲げており、燃料加工工場を現在の実験炉向けから実証炉向けに刷新する計画。燃料部品の生産投資も支援する方針で、高温ガス炉の実証段階を見据えてサプライチェーン(供給網)を立て直す。
 燃料加工工場の刷新に伴う設計や建設、新規制基準の対応にかかる費用を補助する方向。現在、日本原子力研究開発機構の高温ガス炉実験炉「HTTR」(茨城県大洗町)向けとして、原子燃料工業(横浜市鶴見区)東海事業所(茨城県東海村)が燃料加工工場を持つ。
 実証炉向けに刷新するにあたり、既存工場を更新するか、新設するかは未定。支援先も今後決定する。総投資額は300億―500億円を見込む。

https://newswitch.jp/p/35767

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、風車の写真です。味わいがあっていいですね。

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■高温ガス炉の可能性■

出力が安定しない風力発電や、夜間に発電できない太陽光発電は、ベースロード電源にはなりえません。そもそも日本は台風が多く、日照量が世界平均よりも低い環境です。再生可能エネルギーに過剰な期待を持つのは、勉強不足と言わざるを得ません。現在の第三世代原子炉は、これから順次認可をされて再稼働したとしても、フル稼働状態になるまで数年かかるでしょう。古い原子炉を入れ替えて行くとしたら、高温ガス炉が、現実的には一択でしょう。

茨城大洗の高温工学試験研究炉(High Temperature engineering Test Reactor:HTTR)は、当時は世界トップの高温を実現していたのですが。無能な方の菅元総理大臣の、一方的な判断によって10年間も止めさせられてしまい。その間に中国に追い抜かれてしまったわけです。その名の通り、高温を利用しての原子力製鉄、水素精製や石炭の液化などなど、可能性を秘めた原子炉だと思いますので。米英と技術協力や研究協力をしつつ、開発していって欲しいですね。

■目指すべきは高速炉■

経済産業省が掲げる次世代革新炉には、革新軽水炉・小型軽水炉・高速炉・高温ガス炉・核融合炉の5つがあります。たぶんこの順番通りに、期待度が上がるのでしょう。核融合炉はまだまだ夢の技術ですから。高温ガス炉も、10年かそれ以上先の技術。すでに技術的には確立している第三世代原子炉の軽水炉の、技術的な改良や小型化が、現実的には5年前後のスパンでできることなのでしょう。

【原発新設 革新炉 「目指すべきは高速炉」】毎日新聞

 政府が昨年末に決定した新しい原子力政策で開発を目指す「次世代革新炉」は、経済産業省の定義では、「革新軽水炉」「小型軽水炉」「高速炉」「高温ガス炉」「核融合炉」の五つに分類される。
 「革新軽水炉」は技術的には従来の大型軽水炉の延長で、東京電力福島第1原発事故の教訓を反映した形で安全性を高める。五つの分類のなかでは一番、実現性が高い。「小型軽水炉」は小型化することで建設が容易になり、大半が工場で生産ができるので品質保証もしやすいメリットがある。こちらも軽水炉という成熟した技術を前提としているため、課題はそれほど多くない。

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20230206/pol/00m/010/005000c

朝日新聞よりも左寄りの記事が目立つ、毎日新聞らしからぬ記事ですが、記事では高速炉推し。高速増殖炉もんじゅを食べる人も多いでしょうけれど。こちらも第四世代原子炉の研究開発が進んでいますおり、ナトリウム冷却高速炉・鉛冷却高速炉・ガス冷却高速炉などがあります。この中の小型ナトリウム冷却高速炉がアメリカで、2026年に商用実証炉が稼働予定です。燃料供給で、長期間安定供給が期待できるので、毎日新聞の記事なのでしょう。

■バイオマス発電は?■

バイオマス発電は完全に、曲がり角に来てしまったようです。これは当然ですね、アメリカなどはトウモロコシの作付面積が日本の国土面積と変わらないぐらいあるわけで。そういう土地ならば、トウモロコシだろうがサトウキビだろうが、バイオマス発電に使う可能性は十分にあるでしょうけれど。山がちな島国で、平地が少ない日本ではバイオマス発電は、現実味が少ないですね。まだ石油生成細菌などの方が、期待できる気がします。

【バイオマス発電の曲がり角 燃料高騰で撤退相次ぐ】日経新聞

バイオマス発電所の稼働停止が相次いでいる。ロシア産木材の輸入減やパーム油の価格高騰が続き、需要が急増した国産材の調達にもしわ寄せが及ぶ。バイオマス発電は2011年の東日本大震災後の再生可能エネルギー開発ラッシュで急増したが、採算悪化が止まらない。存廃の曲がり角を迎えている。
バイオマス発電は木材や家畜ふん尿、パーム油などの動植物資源を燃料とし、資源エネルギー庁によると22年6月末時点で全国560...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC113BX0R10C23A1000000/

個人的には、世界第6位の排他的経済水域の広さを、うまく活かした海洋バイオマスの、生産ができないかなとは思います。ホンダワラを培養してバイオマスにするというのは、現実可能性はともかく、夢あるアイデアだと思います。それは、洋上人工光合成の研究でもいいですし、養生アンモニア合成でも。この広大な海を利用した潮汐力発電や、海洋温度差発電の研究など、まだまだ可能性はあるかなと思っています。

■潮力発電の持つ問題■

そしてこちらは潮力発電の記事。地球は巨大な衛星である月の影響で、潮の満ち干があるわけですが。この潮汐力を利用した発電の研究も昔からあります。干満の差が激しい地域に、人工のゲートを設けて発電するタイプや、海底に直接タービンを設置して、発電する方法などがあります。日本と同じように島国であるイギリスも、潮力発電の研究は進んでいるようですが。建設費の面でかなり問題があり、進んでいないようです。

【新たな再生可能エネルギーとして注目、なぜ「潮力発電」の計画は進まないのか】WIRED

海底に設置したタービンを潮の満ち引きで回転させることで発電する潮力発電は、次世代の再生可能エネルギーとして注目されている。ところが、建設コストの資金不足によって計画は続けざまに頓挫しており、専門家たちは政府による資金投入が欠かせないと指摘する。

https://wired.jp/article/tidal-power-sea-dams/

海底に設置するため、メンテナンス的な部分でもいろいろと、費用がかかりそうですし。ここら辺は期待された地熱発電が、思ったよりも出力が低いことと、メンテナンスに膨大な手間と費用がかかることなどと、重なりますね。イギリスの場合は、海岸線が断崖絶壁の地域は多く、日本の魚の漁業権の問題とかは、また違うのかもしれませんが。潮力発電の場合は、満干の途中で潮の流れが止まるタイミングが1日に2回起きるので、そこの問題もありますけどね。

いずれにしろ、大きなスパンで見守らないと駄目ですね、エネルギー問題は。太陽光パネルの設置義務とかは論外の愚策にしても。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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喜多野土竜
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