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論理的思考が高い人ほど「斎藤元彦氏は陥れられた」と考える傾向

◉先日の別noteでも紹介しましたが、非常に興味深い 研究 なので、改めて独立したnoteで紹介を。斎藤元彦 兵庫県知事の、出直し選挙にまつわる部分で、いろんな言説が飛び交っていましたが。「斎藤に投票したやつは、陰謀論を信じる低学歴」というアンチ斎藤知事派の捨て台詞は、どうやら正しいとは言えないようで。

【論理的思考が高い人ほど「斎藤氏は陥れられた」と考える傾向…鹿大・大薗博記准教授らが捉えた〝異変〟 兵庫県知事選〈末尾に出典元リンク〉】南日本新聞

 斎藤元彦氏が再選した11月の兵庫県知事選で、論理的思考が得意な兵庫県民ほどネットメディアの情報を信頼する傾向だった-。鹿児島大法文学部の大薗博記准教授(43)=社会心理学=らのグループが、選挙後に行ったアンケート調査から分析したところ、全国とは異なる結果となった。

 調査は11月21、22日にオンラインで実施し、兵庫県民384人、兵庫を除く全国339人から有効回答を得た。論理的思考力を測る二つのテストのほか、「大手メディアは意図的にネガティブな印象操作をした」「斎藤氏は既得権益層に改革を阻まれた被害者だ」などについて質問した。

https://373news.com/_news/storyid/205945/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■兵庫県民に顕著な特徴?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。鹿児島大学の法学部という、兵庫県やメディア論とあまり関係なさそうな研究者の、分析というのも興味深いです。兵庫県知事選挙が終わった後、そもそものパワハラ疑惑自体が、かなり疑わしいものであったことが、各方面で指摘されており。糾弾した側が今は逆に、けっこうな批判を浴びています。ただ、兵庫県民が斎藤知事が反対派に落とし入れられたと考えた理由は、そもそものマスコミ不信にあるようです。

 テスト結果と質問への回答の相関関係を分析したところ、全国では斎藤氏への評価と論理的思考の関連はあまり出なかった。一方、兵庫県民は論理的思考力が高いほど「大手メディアの印象操作」と新聞やテレビに不信を抱き、「斎藤氏は被害者だ」と考える傾向が弱いながらもみられた。これまでの研究では論理的思考が苦手な人ほど陰謀論的言説を信じやすい結果だったが、逆の傾向となった。

関西と一口に言っても、大阪と京都ではかなり文化が異なっています。よく言われるように、商人の町の大阪と、公家の文化の京都。ただこれは、一面的という指摘もあります。大阪の商人文化は、滋賀県の近江商人や三重県の伊勢商人や松坂商人、兵庫県の姫路商人や津商人など、むしろ大消費地であった京都周辺の地域の方が商業が盛んで、そういう人たちが大阪に進出し、商都を形成したという指摘もありますね。山口組も吉本興業も丸亀製麺も、兵庫が発祥です。実利的な兵庫県民は、そもそもマスコミを鵜呑みにしない、慎重な面があったのかもしれませんね。

■関西人のマスコミ不信?■

大薗准教授のnoteもリンクしておきます。関西で仕事を長期間した人間ですので、関西系の知り合いもそこそこいるのですが。そもそも、新聞やテレビなどをマスコミに対する不信感が、根強くある部分を感じます。関西では 日本維新の会が人気ですが、維新シンパもアンチ維新も、両方とも「テレビがあかん」と言います。テレビが大阪自民や左派の問題点を報道しないという意見と、維新推しで有権者を洗脳しているという意見と、混在しているんですよね。どちらが正しいかは分かりませんが、マスコミ不振がある、ということだけは 断言できるでしょう。

まぁ、論理的思考というのは、オールマイティではありませんから。例えば、福島瑞穂社民党党首。東大法学部を卒業して、難関の司法試験にも合格して、弁護士。世間一般的には、どこに出しても恥ずかしくない、立派な学歴です。でも、あきたこまちRへの非科学的な態度を見ると、とても論理的な思考ができているとは思えません。というか、弁護士時代から珍妙な論語を開陳し、苦笑や失笑を受けること多数。学歴は知性を証明しませんから。群馬県草津町の町議による虚偽告発も、東大名誉教授をはじめとする高学歴フェミニストたちが多数騙され、草津町のおばあちゃんの方が真実を見抜いていましたし。

■本当に陰謀はあったのか?■

兵庫県民が聡明だったのか、たまたま勘が当たったのか、そこはわかりませんが。前知事の長期政権で、保守も革新もズブズブの関係になってしまい、大阪自民で起きたことと同じことが、兵庫でも起きていたと感じている県民が多く。今回の降って沸いたようなパワハラ疑惑に対し、そもそもの不信感があった可能性。斎藤知事追い落としを企んだ側がいたとしたら、自分たちの目論見がついた時に、自分たちの読みの甘さや計画の杜撰さを認めるより、陰謀論に振り回された愚民という構図に押し込んだほうが、気持ち的には楽でしょうね。

 以上が、今回の調査結果の概要である。特に兵庫県においては、「論理的思考が得意な人の方がオールドメディアではなく、ニューメディアの情報を信じ、『斎藤氏は被害者である』『大手メディアは意図的に印象操作した』と考える」傾向が、弱いながらも認められた。これは、「リテラシーが低い人が、SNSに踊らされた」という言説とは逆の傾向と言える。ただし、この傾向をどう解釈するかは、斎藤氏を巡る問題をどうとらえているかによって大きく異なるだろう。

同上




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