土田よしこ先生逝去
◉代表作の『つる姫じゃ~っ!』は、直撃世代ではないですが、小学校のときも連載が続いていたので、テンポの良いギャグと、ときどき挟まれる人情噺を、楽しんで読んでいました。個人的には、お寺を舞台にした『ぼんぼりボンボン』も好きでした。こちらもギャグマンガンですが、ちょっとした人情噺が上手く挟まっていて、面白かったですね。
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昔、あるベテラン女性漫画家さんに「少女誌にコメディ漫画は数多あるけれど、ギャグ漫画は土田よしこ先生だけかも」と、話のついでに出たことがあります。『つる姫じゃ~っ!』の連載開始が1973年、実はこの年、少年漫画の金字塔である『あしたのジョー』の連載が終わっています。そしとその前年、1972年に『ベルサイユのばら』や『ポーの一族』の連載が、『風と木の詩』が1976年に始まっています。その意味では、24年組を始めとする少女漫画の快進撃が、あしたのジョーと入れ替わるように始まったのは、とても象徴的な出来事です。
ストーリー漫画だけでなく、ギャグ漫画でも金字塔と呼べる作品が始まったのですから。与えたインパクトは、まさにメガトン級(昭和的表現)かと。その結果、1976年には室山まゆみ先生が、同じ頃に古賀アンナ先生も出てきて、少女漫画の幅を広げたように思います。山上たつひこ先生の『がきデカ』の連載開始が1974年ですから、土田先生の新しさが、いかにすごかったか。幼稚園生の自分は間に合いませんでしたが、そのインパクトは同業者はもちろん、小中学生の読者に与えたインパクトは、大きいですね。だって、今読んでも面白いんですから。
今は、完全復刻版がAmazonの電子書籍でも手に入り、本当にありがたいですね。ギャグの切れはさすがですし、今見ると落語のテンポなので、読んでてシックリ来ます。小学生の頃には分からなかったネタも、今だと理解できますから、新鮮です。50年経っても笑えるって、すごいですね。自分も今だと、家老とのちょっといい話とか、そっちの良さが心に響きますね。素晴らしい作品は、年齢ごとの発見がある、ということですね。夏目漱石の小説のような、息の長い作品です。
後にヤングジャンプで『待ったなし!!よしこはOL』を連載するなど、少女誌や少年誌の枠を越えて、面白い作品を描ける人でした。シンプルな線で、でも表情豊かでポーズも千変万化。今は、何か書き込んだ絵や写実的な絵をありがたがったり、高級と見做す風潮がありますが。自分は賛成できません。手塚治虫先生がおっしゃるように、デフォルメ化されて記号化された絵は、むしろ経年劣化に強いんですよね。劇画調の緻密な絵のほうが、かえって古さを感じたりすることもあります。『つる姫じゃ~っ!』は時代劇ですから、なおさら古くなりづらいですし
できれば、昔の作品も読み返したいですね。『ねばねばネバ子』とかも。時代を切り開かれたギャグ漫画家、土田よし子先生のご冥福をお祈りします。合掌