コンサルが見逃す人間力
◉アメリカのコンサルタント会社が、ある企業の人員整理を依頼されて、戦力外の烙印を押してリストラしたら、かえって部署のパフォーマンスが落ちてしまったと。これは、会社勤めの社会人経験のある人には、ピンとくる話でしょうね。いや、団体スポーツなどでもそうですけども。集団の潤滑油となって、雰囲気を高めたりリレーションシップを維持するのが上手い人って、確かにいますね。『ぼっち・ざ・ろっく!』で言えば、伊地知虹夏ちゃんのようなタイプ。日本では時にリーダーとなるタイプだったりしますが。バイプレーヤーとして重要なタイプ。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、コンサルって鹿児島弁で「この猿」って意味なので🙈🙉🙊
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■適時、適材適所■
例えば、アメリカのNASAの研究でも、宇宙飛行士のチームに日本人が入ると、調整役として力を発揮し、ミッションが上手くいくことが多いとか、聞いた記憶があります。オレがオレがという自己主張が強いというか、我が強いタイプが多い欧米では、日本人は蹴落とされがちですが。周囲の状況を見て和を以て貴しと為すの日本文化は、調整役として力を発揮するんでしょうね。欧米出羽守が、日本人のダメなところとして論う自己主張の弱さだって、適材適所で活かす道もある、ということですね。
長嶋茂雄監督の第二期、色んなチームから四番バッターをかき集めてずらっと打線を組みましたが、必ずしも圧倒的な強さを発揮したわけではありませんでした。1番バッターには1番バッターの、2番バッターには2番バッターの役割や適性があり、強打者をずらっと並べるだけでは打線は機能しづらい、という面があるわけです。野村克也監督が、再生工場と呼ばれたのも。適材適所を適時おこなった、というのが大きいでしょうね。
■まずは社長が変われ■
自分がコンサルタントというものに対して、あまり評価しないのもそういう部分ですね。表面上の数字を弄るだけで、本質を見ていないような人間が、どうにも多いような気がするのです。そもそも会社の改善というのは、現場の人間が一番問題点を把握しているモノです。なのに現場の改善案や不満の声が、上層部になかなか上がっていかない、そのような硬直した組織の問題、風通しの悪さこそが、その会社の一番の問題でしょう。
でも依頼を受けたコンサルタント会社は、細かい内情までは把握できませんからね。根本的な問題を改善せずに、表面上の数字だけで能力を判断して、リストラしてしまう。組織としてのチームというものが、分かっていない。本当にそういう部分を把握しようと思ったら、数年かかってしまうでしょうね。そこを短期的に成果を出そうとする姿勢、そこがそもそも会社の上層部の一番の問題なのかもしれませんね。自分自身の問題に無自覚。
広島カープ・西武ライオンズ・福岡ダイエーホークスという3チームを立て直した根本陸夫さんは、全てのチームでまずは監督として現場の問題を把握し、それからゼネラルマネージャー的なポジションに移行して、組織全体の改革に動かれました。きちんとした方法論を持たれていたので、西武ライオンズもうホークスも、常勝チームと呼ばれるような強いチームになりました。
■根本陸夫さんの組織改革■
根本さんは人材の獲得に関して言えば、ドラフト会議での新人・トレードによる外部からの人材・外国人選手による補強の、3本柱で動かれていました。なので根元さん時代の西武ライオンズやホークスは、野球ファンがアッと驚くような大型トレードがありました。そこで獲得した選手といえば、やはり秋山幸二さんでしょ。実力者としてはもちろん高く評価されていましたが、清原和博選手ほど人気選手というわけではありませんでした。
しかし、秋山さんはプロ野球選手の中でも圧倒的な練習量を誇る方で、根本さんがドラフトで獲得された新人選手たちにとって、これほどお手本になる選手もいませんでした。あれほどの一流選手がこれほど練習するのかということで、後輩にも良き影響を与えました。また、小久保裕紀選手のように練習熱心な、リーダーシップのある選手がチームに加わったことで、若手選手達の力が台頭し、20年連続 B クラスというだめチームだったホークスが、圧倒的な人気チームに生まれ変わりました。
また秋山幸二さん後には、コーチや監督という指導者としても力を発揮され、ホークスに貢献されました。選手として一流でも、指導者として一流というのはなかなか得難いものです。選手として全盛期は10年ぐらいですが、指導者は20年30年と、長期的に関わってくるものですからね。そういう、チームづくりという長期的なビジョンで人間を獲得していく。もっとも、会社にとって有害な人間を追い出すのは、根本さんでもかなり苦労されたようですが……。
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