鮫肌は高速でも低速でも安定
◉ホホジロザメに関する遊泳能力の研究が、ナゾロジーに上がっていました。サメの皮膚は鮫肌と呼ばれる、ザラザラしたもので、高級な寿司屋だとワサビをおろすのに使われたり、日本刀のさやの表面に巻かれたりしますが。これが水中で高速遊泳するのに、役立っているというのはよく知られた話。でもそれだけではなかったようで。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、サメのイラストです。
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■鮫肌は歯がビッシリ■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。自分たちがプールや海で泳いでも、水が体にまとわりついてくる感覚って、ありますよね? サメのザラザラした皮膚はこの水のまとわりつきを軽減し、高速で泳ぐことを可能にすると。実際、この機能を取り入れたスイミングウェアでは、記録がアップして多くの選手が取り入れていましたね。この表面のザラザラ、実はサメの歯と同じ構造なんだそうで。軟骨魚類のサメは、この皮膚のザラザラの進化系として、強靭な歯が生まれた可能性。
実際にサメの歯って、死ぬまで生え変わるんですよね。自分たち哺乳類は、乳歯と永久歯の2回しか歯が生え変わりませんが、サメは最前列の歯の後ろに何列も予備の歯が控えていて、最前列の歯が一本でも欠けると、予備の歯が最前列の歯を押し出して、入れ替わるそうで。全身の骨が軟骨のサメは、よほど条件がよくないと、化石に残らないのですが。硬い歯だけは残るんですよね。で、この歯の構造と同じ小さな突起が、サメの体表面にびっしりあると、考えるとわかりやすいかもです。
■二段構えの楯鱗とは■
サメはこの、鮫肌による高速遊泳能力によって、何億年も前から、海の王者であり続けたわけで。もちろん、その時代ごとにモササウルスやクロノサウルスなど、王座を明け渡すこともありましたが。他の生物が絶滅しても、サメの仲間はずっと繁栄していますからね。現在は シャチが最強の海洋生物ですが、1億年後にはシャチは絶滅している可能性がありますが、サメは1億年後も 海の王者 であり続ける可能性がありますから。で、今回の研究が画期的なのは、この鮫肌が、高速遊泳だけではなく 低速遊泳でも機能しているという面。
高速でも低速でも有効なように、楯鱗の突起の大きさと間隔が、絶妙に配置されていて、両方に対応できる。これが、サメが高速遊泳できるようになった理由の一つでしょう。そして低速でも楯鱗は有効に機能する。つまり効率よく泳げるわけですから。獲物を追いかける時の、スピードの早い状態は実はそんなに多くはなく。日頃の流している状態の時に無駄なエネルギーを抑える、これって大事ですよね。餌が少ない状態でも、低燃費で生活できるわけですから。絶滅の危機を乗り越えるためには、むしろ こちらの能力の方が重要かもしれませんね。
■メガロドンにも楯鱗■
そして、メガロドン。映画などでもよく取り上げられる、古代の巨大ザメですが。最大個体の推定値で最大10メートル説・13メートル説・15メートル説・20メートル説などがあります。最大40メートル説もありますが、これはどうなんですかね。シャチの場合、平均的なオスの体長は5.8~6.7メートルで、最大9.8メートルとのこと。ハクジラのマッコウクジラは標準的なオスの体長が約16~18メートルで、確認されている最大個体は、千島列島で捕獲された体長20.7メートル・推定体重80トンの個体だそうですから、22~24メートルぐらいはいそうな気はします。
モササウルスは、いろんな種類がいるのですが、平均的なシャチの体格の6メートルぐらいのものから、最大で18メートルですから、これって ジンベイザメの記録に残る最大個体18.8メートルに近いんですよね。けっきょくシャチからマッコウクジラぐらいの体格が、海棲の肉食動物の、収斂進化のように思えます。それ以上大きくなっても、あまりメリットがない。巨体のメガロドンは、そこまで高速では泳げなかったでしょうから、楯鱗でゆっくりと泳いでも効率よく、回遊していたのかもしれません。
大型化の途中のクジラ類を、食べていたと推測されるメガロドンも、高速で泳げるシャチの出現辺りから、じょじょに衰退したようですから、生存競争に敗れたということでしょう。シャチの体格と遊泳スピード、そして集団で狩りをする性質など、メガロドンには不利な相手。ジンベイザメやウバ サメのような、プランクトン食にシフトしていたら、生き残れたのかもしれませんが。サメという究極進化した魚類を考察すると、進化の不思議を紐解ける面が多々ありそうです。こういうnoteは不人気ですが、個人的な趣味として今後もちょいちょい、取り上げるつもりです。
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