日韓国交断絶を叫ぶ愚
◉Twitterを見ていたら、〝国交断絶〟がトレンドに入っていました。何事かと思って開いてみたら、韓国を輸出管理で優遇するホワイト国に復帰させることを、日本国政府が検討している、という産経新聞の記事に反発して、日韓国交断絶を主張している人たちが多数いたからのようです。自分は保守派を自称していますが、このような幼児的な反発には一切、与する家がありません。国交断絶という言葉に酔っているだけですから。
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■国交断絶の実態■
例えば日本と台湾。安倍晋三元総理は、台湾有事は日本有事と発言し、総理在任中も退任後をも積極的に発言しています。東日本大震災では多くの義援金を賜り、民間でも友好国としての認識が高いでしょ。また、園遊会に出席した卓球の福原愛さんが台湾人選手と結婚した関係もあり、当時の天皇陛下(上皇陛下)が感謝の気持ちを伝えて欲しいと口にされました。ところが日本と台湾は1972年から、国交断交状態です。
逆に、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)とも、国交断絶状態です。小泉内閣時代の拉致問題発覚もあって、また終戦後の嫌な記憶もあって、北朝鮮に対する国民感情はかなり悪いと言ってよいでしょう。だからと言って、朝鮮籍(北朝鮮籍ではない)の方々を国外追放したり、強制送還するわけでなく。生活保護を受ける人もいるでしょうし、朝鮮学校の授業料無償化を求めて、日本の裁判所に訴える権利だって、普通に認められているわけで。
むしろ凶悪犯罪を犯した人間でも、特別永住許可があるので、他の外国人犯罪者のように強制送還されるわけでもないので。それを「在日特権だ!」などと、強い言葉で言うと、揚げ足を取られるだけです。しかし、少なくとも優遇されてると表現しもいい状況でしょう。もし国交断絶したとしても、韓国籍の在日コリアンの状況は、朝鮮籍の在日コリアンとそんなに変わらないでしょう。繰り返しますが、国交断絶という言葉に酔っ払ってもしょうがないのです。
■日韓関係を巨視的に捉える■
国交断絶の実態なんて、そんなものです。日本と韓国の間に多くの問題がある──多くは韓国側に問題がある──にしても、国交断絶したからといって、何かが劇的に変わるわけではないです。そのような現実も見ず、国交断交と声高に叫んでも、ただの自己満足でしかないでしょ? 別に韓国に対して批判するな、なんて一言も言っていませんよ。むしろ自分は今まで積極的に韓国批判をやってる側の人間だと、昔からのフォロワーは知っているでしょうけど。
日本と韓国の関係を、鵜飼の鵜と鵜匠の関係に例えたのは、小室直樹先生でしたか。日本同様に資源のない韓国は、素材や中間材を他国から輸入し、それを加工したり組み立てて製品にし、輸出して儲けている国です。日本の工作機械や素材に韓国は依存しており、韓国が儲かれば日本も儲かる、という構造ですね。韓国に譲歩する必要はありませんが、いたずらに敵視する必要もありません。これは日米関係だって、同じですよね?
もっとも近年の韓国は、中国からの素材や中間財の輸入が最も多くなり、依存度を高めているんですけどね。だから足元を見られて、次から次へと無理難題をふっかけられているわけです。それに対する韓国国内の不満や反発は大きいです。何しろモンゴル帝国の昔から清王朝まで、かなり酷い目に遭っていますからね。慕華思想なんて、一種のストックホルム症候群を起こすほどには、愛憎相半ばではありますが……。
■ここらへんが落としどころ?■
尹錫悦新大統領になって、いわゆる括弧付きの「徴用工」問題が一定の解決策を出し、旧挺対協の尹美香前代表が裁判で罪に問われる状況です。この成果に対して日本側としてはある程度のご褒美……と言ったら対等の関係ではないので怒る人もいるでしょうから、ギブ&テイクするという、日本政府側からのメッセージでしょう。余計な欲をかかず、やるべきことをやればちゃんと報酬はあると、そう示すのが大事でしょう。
もちろん日韓両国の間には、他にも解決すべき問題は多々あります。韓国海軍による火器管制レーダー照射事件など、未だに未解決ですし、それどころか韓国側はあくまでも日本に責任転嫁する姿勢です。ですが、ホワイト国待遇の取り消しで引き出せるのは、これぐらいでしょう。日韓基本条約の破棄にも繋がりかねない「徴用工」問題を、とりあえず解決に導けたら、これぐらいのご褒美は必要でしょう。というか、それぐらいが限度でもあるでしょう。
むしろ韓国としては、「火器管制レーダー照射問題の件に関しては、あまり続くと韓国海軍と尹錫悦政権との関係がギクシャクするし、ここに関しては一旦棚上げしてほしい。そうすれば徴用工問題と慰安婦問題に関しては、なんとかするから。優先順位的にはそっちの方が上でしょ?」という、ある種のシークレットメッセージが、韓国側からの強気の火器管制レーダー照射問題の見解が出た可能性もあります。
■攻撃させないことが重要■
ここで尹錫悦大統領の実績を評価しなければ、尹政権に対する韓国国内の経済界や産業界からの評価も、上がらないでしょう。日本と友好関係を構築すれば、韓国にも経済的にも大きなメリットがある──そういう認識が韓国側にも生まれないと、いつまでたっても韓国から日本への嫌がらせは途絶えないでしょう。ここでホワイト国に戻すことで、日本から韓国への素材や中間材や工作機器などの輸出が増えるならば、日本の産業的にもメリットがありますし。
日韓関係が友好だった昔から、韓国は日本に対していろいろいちゃもんをつけてきたではないかという人もいますが。よく思い出してください。昔は韓国は軍事独裁政権として、日本の朝日新聞や岩波書店などが口を極めて批判し、その頃は韓国からの日本批判も受け流されていた面がありました。むしろ民主化されて、それまで肩入れしていた北朝鮮がとんでもない犯罪国家だとバレてから、マスコミが韓国の言い分を後押しした面もあります。
しかしインターネットの発達と、スマートフォンの普及によって、そのようなマスコミのゴリ押しや、ソファー文化人による擁護も、昭和や平成初期のような神通力は大分なくなっています。むしろ浅薄なくせに声が大きな右でも極端な主張をする人たちの声に、流されるほうが危険だと思いますよ? 自分は保守派ですが、国粋主義者ではありませんので。中国依存の状態から日本依存に戻すのは、国際政治のいやらしい駆け引きとしては、必要なことですから。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ