酒に弱い人はコロナに強い?
◉佐賀大学の研究ですが、興味深いですね。酒を飲むと、赤くなる人と青くなる人がいますが。酒豪のイメージがある鹿児島県ですが、赤くなるタイプは多いですね。うちの伯父とかもゆでダコのように真っ赤になり、頭皮まで赤くなっていました。これは、モンゴロイドに顕著なようで。アメリカのネイティブアメリカンも、モンゴロイドなので酒に弱く。ジャック・ロンドンの動物文学『白牙(White Fang)』にも、ビューティー・スミスがホワイトファングを手に入れるため、ネイティブ・アメリカンのグレイ・ビーバーにウィスキーをプレゼントし、依存症にしてしまう狡猾な手法が描かれていましたね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ワングラスの日本酒だそうです。
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■ALDH2型の突然変異■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。人類には、酒の強さの原因には、アルコールを分解する酵素と、アルコールの代謝によって生成されるアセトアルデヒドを分解する酵素の、2種類が関わっています。このアセトアルデヒド、二日酔いの原因にもなるのですが。アルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに変わります。アセトアルデヒドをさらに分解する酵素には、アルコール脱水素酵素(ALDH)があり、1型と2型の2種類があります。このALDH2型の活性のないタイプが一般に、酒に弱いとされます。
人類はもともと、ALDH2型の活性が普通にあったのですが、どうも数千年前シベリア地方かあるいは東アジアの地域で、遺伝子に突然変異が生じ、これが広がったようで。モンゴロイドが酒に弱いと言われる理由ですね。でも、酒に弱いというのは、少量の酒でベロベロに酔えるので、逆に酒好きになる部分があるんですよね。かのエドガー・アラン・ポーも、少量の酒で酔っ払うので、依存症になった面が。ALDH2型の活性が普通にある=酒に強いタイプをNN型、NN型の16分の1の活性能力しかないけれどある程度は飲めるND型、ほぼ飲めないDD型に分かれます。
鹿児島とかだと、「酒は稽古すれば飲めるようになる」と、無理強いするオッサンがいっぱいいますが、それはND型の話であって、飲めない人に無理強いは絶対に駄目です。
■新モンゴロイドは下戸■
さて、モンゴロイドには2種類いまして、古モンゴロイドと寒冷地に適応した新モンゴロイド。モンゴル高原とかシベリアなど、寒冷地では吐く息に含まれる水分が、ヒゲなどに着くと、凍傷になってしまい、最悪死にます。このため、ヒゲが薄くなり、また一重まぶたののっぺりした感じの顔になる方向で、進化したのが新モンゴロイドです。そう、京美人と言われる一重まぶたで切れ長の目で色白というのは、新モンゴロイドの特徴と一致するわけです。してみると、日本人の酒の弱さは、大陸由来となるのですが。そこで、おなじみの日経サイエンスの縄文系と弥生系の、混血の度合いの日本地図。
自分も勘違いしていたのですが、寒冷地適応した新モンゴロイドは、酒に強いタイプが多いのですが。どうも、日本人の酒の弱さは、新モンゴロイドの一部の、遺伝子の突然変異に由来するようで。つまり、弥生系は酒に弱く、縄文系が酒に強い傾向があるようです。ただこれも、四国は全体的に弥生系が多いのですが、高知の人とかかなり酒が強いです。九州も、実際は熊本の人が酒が強く、また肉体的にも川上哲治・秋山幸二・木村政彦・山下泰裕さんなど、日本人離れした体格の人がいるように、イメージとは異なりますね。
■ポリネシア系に由来?■
最近、酒田市の方と話す機会があったのですが、「日本酒が美味しいイメージ通り、酒が強い人が多いのは事実だが、自分のように全く飲めないタイプもけっこういますよ」という話になり。ここらへんは、鹿児島県も似ていますね。ちなみに、人類自体は氷河期で、発行した穀物を食べたりしていて、アルコールに強くないと生き残れなかったのですが。どうも、シベリアという寒冷な地域で生まれた下戸の突然変異が、生き残って日本やアメリカ大陸まで伝播したのは、興味深いです。ちなみに、知り合いのモンゴル人、半端なく酒に強いです。子供の頃から、馬乳酒呑んでいますからね。
上図の、下戸遺伝子ことALDH2型不活性タイプの分布を見ると、どうにも台湾とその周辺から世界に広がったポリネシア系の人々の、遺伝子でもあるように見えます。それは同時に、最古に近い稲作遺跡である、浙江省の河姆渡遺跡の近くまで色濃く分布していますし。いずれにしろ、日本人のルーツとして、半島由来を強調するのは、だいぶ無理があるのが見えてきましたね。マラリア原虫や赤痢アメーバは、血中のアセトアルデヒド濃度が高いとあまり増殖できないそうで。してみると、下戸遺伝子が鎌型赤血球と同じく、南方系の可能性も。ここらへんの、遺伝子の壮大なパズルも興味深いですね。
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