エネルギー問題:藻類・合成燃料・核融合
◉エネルギー関連のネタが溜まってきたので、まとめて紹介をば。エネルギー問題は、何か一発逆転の画期的な方法に期待するのではなく、多様な方法論を追求するのが、大事だと思っています。たとえ核融合発電が実用化されても、100年後も水力発電は、有効な発電方法として残り続けるでしょうから。社会が劇的に変化することを求めるのは、救世主の出現と最後の審判と千年王国の到来を求める、宗教ですから。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、鳥羽水族館の紅藻類だそうです。
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■藻類からバイオマス燃料■
バイオマス燃料に関しては、現在の化石燃料(石油・石炭・天然ガスなど)自体は、地球が何十億年もの歴史の中で蓄積したものですからね。現在の太陽からのエネルギーを、いろんな形で変換して利用するのがバイオマスエネルギーですから、自ずと量には限界があります。地球自体の受けるエネルギーの総量は膨大でも、密度自体は決して高くありませんからね。太陽光発電や風力発電に過剰な期待をするのも同じ意味で、違います。
しかし、人工光合成とか10%のエネルギー変換効率でかなり実用的になるわけですから。変換効率 20%ぐらいになればまた エネルギー革命ではあります。そういう意味では、究極のバイオマスエネルギーは、変換効率 10%を超える人工光合成 なのかもしれません。ただ、現状ではあともう少し、ブレイクスルーに時間がかかりそうです。トヨタの研究は素晴らしいのですが。
そういう意味で藻類のバイオマスエネルギーは、並行して研究するには良い素材に思います。地球の表面の70%は海であり、この広大な面積を発電に使えれば、かなり有望ですから。砂漠で太陽光発電と言っても、地球全体で見れば微々たる面積ですから。いわんや日本は四方を海で囲まれた島国で、世界第6位の排他的経済水域を持つ海洋国家。人工光合成の技術的なブレイクスルーが1年後か100年後かわからない現状では、こちらの研究は期待したいひとつです。
■合成燃料でエンジンを脱炭素■
合成燃料に関しても、動きがあります。欧州はEV車への一本足打法に舵を切っていたのですが、どうもその方向性では難しいという考えに、徐々にシフトし始めたようです。もともとEV車推しは、TOYOTAの圧倒的な強さに対する欧米自動車メーカーの対抗策という側面も、指摘されています。欧米お得意の、ルール変更による締め出しですね。でも横綱TOYOTAは、EV車でも盤石。勝てそうにないなら、合理的な方向にシフトということでしょう。
もともと2040年代という目標設定だったわけですから、経済産業省もどこまで本気なのか、個人的には疑わしいですけどね。アメリカとイギリスは、安全性の高い第四世代原子炉の商用炉稼働を、2029年に設定していますから。こちらがうまくいけば、2040年はたとえ核融合 が現実のものになっていなくても、小型で建築が楽な小型モジュール炉でもある第四世代原子炉によって、電気自動車の給電が楽になっている可能性もありますから。
アイデアとして面白いなと思ったのは、EV車の給電用の装置を、道端に設置するという方法。なるほどこれならば、ガソリンスタンドのような形での充電方法に頼らなくても良いですからね。それこそ、道路の下に送電用の地下ケーブルを同時に埋め込んでいけば、インフラ整備は 比較的楽かもしれませんね。それこそバス停留所 ぐらいの間隔で、充電場所が設置できれば、興味深いですね。
■軽水素とホウ素で核融合■
もうひとつ、水素の同位体である重水素と三重水素を使った一般的な核融合に対して、軽水素とホウ素による核融合について。水素と言っても、原子核が陽子と中性子 1個ずつで構成されている重水素と、陽子1個と中性子2個の三重水素があるのですが。中性子を含まない、陽子のみの普通の水素を、重水素に対して軽水素と呼びます。燃料に中性子が含まれているので、核融合の際に放射線が出るんですね。
ちなみに、三重水素がトリチウムで、科学音痴の反原発派の人たちが、汚染水に含まれていると騒ぐモノです。自然界にはごくありふれた存在で、太陽光線によって自然界でも膨大な量が、日々生成されています。核融合と言っても 方法論はひとつではなく、高温のプラズマを閉じ込める炉の形式でさえトカマク型や、ステラレータ型またはヘリカル型と呼ばれる形式もあるそうで。燃料についても、多様なアプローチがあるんですね。
名門カルフォルニア大学の、スタートアップ企業による実験成功ですから、かなり大きいですね。カリフォルニア大学は州立大学ですが、複数の大学が集まった大学群です。ゆえに、カリフォルニア大学システム(UC system)と呼ぶようですが。バークレー校とかサンディエゴ校とか、有名ですが。アメリカの場合は、大学の研究から始まった核融合のスタートアップ企業が目に付きますね。象牙の塔に閉じこもりがちな日本の大学とは、この点でも随分違いますね。
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