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中国艦隊が第一列島線に90隻展開?

◉きな臭い話題ですね。でも、日本のマスコミは時事通信社が10日20時16分に、共同通信社が10日 20時56分報じましたが、日本経済新聞以外はその配信記事を掲載しているところがほとんどのようです。ようやく、NHKが14時41分に報じるなど、日本のマスコミは韓国の戒厳令同様、隣国の重大事に対して冷淡ですね。

【中国艦隊の展開「最大」 「第1列島線」沿い、演習警戒―台湾国防省】時事通信社

 【台北時事】台湾国防部(国防省)の孫立方報道官は10日の記者会見で、中国軍が2022年以降4回行った演習を上回る「最大」規模の艦隊を海上に展開していると明らかにした。頼清徳総統は6日までの外遊で米ハワイ州などに立ち寄り、米台連携をアピール。反発する中国が台湾周辺などで大規模軍事演習を行う可能性が高まり、台湾側は警戒を強めている。

 孫氏は、中国軍の活動範囲が九州・沖縄からフィリピンに至る「第1列島線」に及び、「海上兵力の配置は最大」と指摘した。AFP通信は台湾当局者の話として、中国軍や海警局の艦船約90隻が第1列島線沿いに展開していると伝えた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024121001051&g=int

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■第一列島線とは?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。90隻というと、かなりの大部隊ですね。アメリカの空母打撃群が、巡洋艦や駆逐艦、補給艦などに潜水艦が加わる形で、7~10隻ぐらいで構成されますが。空母の存在感と攻撃力は別格ですから、単純比較はできませんが……それでも90隻となると、国際観艦式でもなかなか難しい数ですね。数で圧倒して、台湾を威嚇しているのでしょうけれども。シリアのアサド政権が倒れたタイミングで、こういうことをやりますか。タイミングは偶然にしても。第一列島線については、Wikipediaの記述&画像を引用しますね。元々は、アメリカの設定した戦略ラインですが、日本も無関係ではなく。

第一列島線(だいいちれっとうせん)および第二列島線(だいにれっとうせん)は、中華人民共和国の安全保障分野においての概念のことであり、武力介入の指標でもあり、対米防衛線でもある。
本来はアメリカ合衆国の中国封じ込め政策(英語版)において設定された戦略ラインのことであった。

Wikipediaより

島国で石油や天然ガスなどの地下資源に乏しい日本では、シーレーン確保は輸入の生命線。特に、石油は中東の産油国に依存していますから、紅海やペルシャ湾などからインド洋を経て、東南アジアにいたり、海上交通の要衝であるマラッカ海峡などを経て台湾とフィリピンの間のバシー海峡を経由して、東シナ海や日本海を経て日本に至るラインは、とても大事です。台湾有事になれば、中国は島国である台湾の補給を断つために、海上封鎖に出る可能性が高く、台湾有事は日本有事と、力説されるところです。石油ショックをぎりぎり覚えている自分の世代以上ぐらいは、やはり石油がなくなるという恐怖はあります。というか、日本が無謀な日米開戦に踏み切ったのも、石油禁輸が大きかったわけで。

■これは指桑罵槐?■

中国にとって、台湾そのものよりも、この第一列島線を自由に支配できれば、経済的なメリットは大きいんですよね。大陸国家の中国ですが、やはり鉄道に比較して船舶は、大量の物資を安価に輸送する点においては、最も優れていますから。でも、地図を見ればわかりますが、日本列島に台湾、フィリピンはそこに蓋をしている存在。アメリカも、そのためにこれらの国と関係を深めたわけで。こちらはNHKの報道です。1996年の台湾海峡ミサイル危機に言及するなど、情報が追加されており、こちらも併せて読んでおきたいです。報道によれば、中国の軍用機のべ53機と19隻の艦船の活動が台湾国防部に確認されたとのこと。この軍用機が、戦闘機なのか爆撃機なのか、詳しいことはわかりませんが。

【台湾 “中国が多数の艦船展開 軍事的どう喝やめよ”と強く非難】NHKニュース

台湾外交部は、南西諸島から台湾を経てフィリピンに至るいわゆる「第1列島線」の周辺海域に中国が連日、多数の艦船を展開させているとして、「軍事的などう喝を直ちにやめるよう求める」と強く非難しました。

台湾外交部は、11日、中国軍や中国海警局の艦船が第1列島線の周辺海域に連日、多数展開し、軍事的な活動を行っていると発表しました。

その上で中国に対し、「軍事的などう喝と地域の平和と安定を損なう非理性的な行為を直ちにやめるよう求める」と強く非難しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241211/k10014664841000.html

タイミング的に、この時期の展開になった理由は、よくわかりませんが。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)がロシア連邦と接近し、蜜月の現在です。これは、台湾に対する威嚇もありますが、北朝鮮とロシアへの実力孤児の意味も、多少はあるんでしょうかね? 中華の兵法に『指桑罵槐』があります。桑の木を指さして槐の木を罵る、という意味。本当に威嚇したい相手とは別の相手を批判することで、相手に気づかせて自主的に従わせるという戦法。そんなまどろっこしいことをせず、武力で制圧すればいいじゃないかという人もいるでしょう。でも、それだと反発や抵抗運動が起きます。自主的に屈服させることで、無用な軋轢を減らし、武力も消耗しない。なにより、相手を精神的に追い込む。心を折る、ということですね。

■対アメリカ戦略?■

台湾に向かって「おらおら、なめとったら承知せんぞ!」と脅すと、それは中国離れを加速する北朝鮮に、いざとなったら台湾より北朝鮮のほうが、距離的にも中国に近く、陸上だけでなく海で国境も接していますしね。中国は本質的には、皇帝制度がそのまま続いている面があるので、効果はありそうです。繰り返しますが、どこまで北朝鮮を考慮しているかは、わかりません。おそらく、対台湾・対アメリカ・対日本の示威ほうが中心であって、北朝鮮はついでぐらいかもしれませんが。トランプ大統領の誕生が来月に迫り、やはり対アメリカへの指桑罵槐というか、政治的なメッセージと見るほうが、妥当なような。

日本に関しては、マスコミの反応は前述のように弱く。石破茂総理も、このnoteを執筆時点では、特に言及はありませんね。2022年の時点では、上記のような記事を書いているのに……。お得意の軍事関係なので、なにかコメントがほしいところなんです。スルーして中国を刺激しない、という感じなのかもしれませんが、そういうのは間違ったメッセージを送りますから。プーチン大統領には〔しかし、アメリカが最初から軍事力の使用を明確に否定してしまったことが、結果的にプーチン大統領に誤ったメッセージを送った可能性は高いと言わざるを得ないのではないでしょうか。〕と書いてたぐらいなんですから、ここはビシッと、誤っていないメッセージをお願いしますm(_ _)m


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