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憲法九条信仰の限界
◉ロシア軍のウクライナへの侵攻で、日本の憲法九条信者が慌てふためいていますね。曰く、「憲法九条は他国から攻撃されないための存在ではなく、日本からヒトラーやプーチンのような人間を出さないための足枷だ」云々。どこぞの政党の偉い方が、こういい出したら追随するする。普通に考えれば、ワイマール憲法ですらヒトラーとナチスの足枷になりえなかったのですから、なぜ足枷として有効化の、論考は必要。足枷として機能したが、縦として機能しなくて国が滅びました、でもいいのかと。
ロシアのウクライナ侵攻。冷戦時代からアメリカが唯一の超大国だったパクスアメリカーナ時代を経て、戦争についての世界の局面が大きく変わりつつある感がありますね。大国、しかも国連常任理事国がそれなりの地域大国に全面戦争をしかけるという事態がまさかやってくるとは。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
日本に関して言えば、戦後70年以上平和を保ったのは、「憲法九条があったから」「アメリカの武力の傘に入ってたから」という二つの主張の議論があったけど、私は両方に意味があったと思っている。前者は日本が他国を侵略することへの抑止であり、後者は日本が他国から侵略されないことへの抑止。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
しかし21世紀のいま、日本が他国に侵略戦争をしかける可能性があるなんて考えてる人はほとんどいないでしょう。いたとしたら認識がそうとうおかしい。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
いっぽうで隣国。前世紀は中国はパンダ外交だったし北朝鮮は核兵器を持っておらず、防衛対象はロシアだけだった。香港や台湾が火種になる可能性もほとんど想像すらされていなかった。しかし21世紀になり中国と北朝鮮は攻撃的になり、ロシアは全面戦争を開始し、台湾のリスクはどんどん高まってる。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
そしてアメリカはいつまで国際秩序を維持し続けてくれるのかわからない。オバマ時代から世界の警察からの撤退を始め、今回もアメリカはロシアとの全面対決を避けるためか今のところウクライナに派兵しない。台湾は本当に大丈夫なのでしょうか。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
もはや「憲法九条があったから」は過去の理念でしかない。歴史的価値は認めるとしても、日本はどうやって他国からの侵略を止めるのかを真面目に議論しなければならない局面になってる。その議論を「ネトウヨ」と揶揄するのはもはや古すぎ、「価値観をアップデートしてください」とでも返すしかないな。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、自分で過去に撮った写真ですね。こういう政治問題では、使われた写真やイラストを後で使用不可にする人がいるので。
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■平成の共産主義国崩壊■
案の定、佐々木俊尚氏への罵詈雑言が、リプライや引用ツイートで多数見られますが。そうやって罵倒しても、中間層には届かないと思うんですよね。昭和の頃は、まだしも敗戦ショックもあり、憲法九条素晴らしいや非武装中立論が、多少は説得力を持っていたのですが。朝日新聞や進歩的文化人が褒めそやした共産主義国は、令和に入るとベルリンの壁崩壊、天安門事件、ソビエト連邦解体、北朝鮮の拉致問題と、偶像はボロボロになりましたから。
平成が始まった1989年に大学に入学した自分は、クラスメイトのド左翼Eが、どんどん無口になっていったのを、リアルタイムで見ていましたが。これらの逆に言えば、あの挫折経験がない30代以降の左派にとって、憲法九条を無邪気に信じることに、あまり疑問がないのでしょう。戦争になったら降伏する、なぜならソ連や中国は平和勢力だからと、無邪気に言えてた昭和の左翼にとって、あれは大きな挫折体験だったんですよね。
■遅れてきた平和主義者たち■
自分などは、やはり周囲に満州帰りの人とか、シベリア抑留でそこの家の父親は亡くなったとか、直接間接に聞いていましたしね。小学校時代の恩師は、満州からの帰国の旅路で、弟妹を亡くされています。朝日新聞や毎日新聞が、いくらソビエト連邦など共産主義国を褒めそやそうとも、共産党が政権を取れなかったのは、そういう草の根の情報共有があったのではと、自分は思っています。北朝鮮が拉致を認める前も、鹿児島では犯人は公然の秘密でしたし、新潟でもそうだったそうです。
ぶっちゃけシールズの連中が話題になったとき護憲派の有名どころが「酒の汲み交わして戦争が終わったりしませんよ。憲法は日本の暴走をとめるだけで、他国の侵略には何一つ役に立ちませんよ」とか苦言をいった奴おるんか?と。
— もへもへ (@gerogeroR) February 25, 2022
いなかったじゃん。それでいまさらなにいいわけしてんだよ。
なので、SEALDsの誰かが放った話し合い主義というのは、実に無邪気な幻想だなぁ……としか。彼らはミッション系高校のOB・OGが中心だったので、右の頬を打たれたら左の頬を差し出し、右の胸を撃たれたら左の胸を差し出すのでしょうけれど。一般人にはそんな事はできませんしね。憲法九条足枷論にしても、アイツラは戦争をしたがってる悪いやつだ、いや極悪人だというレッテル貼りとセットでしかないわけで。朝日新聞OBの稲垣武氏は、これを論敵の悪魔化と呼んでいましたが。
■戦争の目的は何なのか?■
安倍晋三は戦争を起こしたがっている、橋下徹は戦争を……という左派は多いですが。いったい彼らは、なんの目的で・どんな利益があって、戦争をしたがるのでしょうか? プーチン大統領には、西側の緩衝地帯として・欧州有数の穀倉地帯のウクライナが必要な理由があります。日本が、ロシア・ソ連の南下の防波堤として、増えすぎた人口の植民先として、満州が必要で、通り道として朝鮮半島が必要であったのと同じように。だいたい戦争が儲かるビジネスだったのは、第一次世界大戦ぐらいまで。
実際は、戦勝国によるドイツへの過大な賠償金が、ヒトラーとナチスの台頭を招いたため、二次大戦では過大な賠償金は放棄される傾向に。軍産複合体が~というのも、今となっては幻想です。軍産複合体を形成してる、代表的な企業で合うロッキード・マーティン社の売上高が687億ドル。最大のボーイングでさえ1000億ドル前後のようです。
・Googleの親会社Alphabet:2576.37億ドル
・Apple:3658.17億米ドル
・Facebook:859.6億ドル
・Amazon:4698億ドル
今やGAFAのほうがよほど巨大。
人口4000万人で国土広大、欧州随一の穀倉地帯を持ち軍事的にも大国。かつての超大国ソ連のロシアに次ぐ「大きな一部分」が侵攻されてると理解してる。/ウクライナは「東欧の小国とロシアが揉めてる」みたいな話でない https://t.co/rAqYWH5XaD pic.twitter.com/2Mmoaimu2F
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 24, 2022
■戦争で儲かった企業は……■
戦争で企業が儲かる、ってのも『はだしのゲン』史観ではあります。じっさいの国家総動員体制では、会社利益配当及資金融通令や会社経理統制令で、株主や役員の力が剥奪されてたわけで。国民の声に押されて政治家が戦争をはじめて、実際は企業はお国のためにで暴利を貪るのは難しかったようでただし、戦争で儲けた企業はあります。朝日新聞OBの細川隆元は、戦局押し迫った時期でも銀座でどんちゃん騒ぎをしていたことを、著書に書いています。
満州事変以降、戦争で儲かった企業の筆頭がマスコミであったことは、記憶されるべきでしょう。戦前の日本政府自体も、関東軍の暴走という側面があったのですが、彼らの領土的野心ってのは、幕末から3倍近くに爆発的に増えた人口と、東北の貧しさ、戊辰戦争の賊軍の東北出身軍人のルサンチマンとか、複雑な要素があります。そんな単純な話ではないんですよね。極右や国粋主義者は、いつの時代だっていますが、そこは政権から遠い位置にいますしね。日本会議? あの組織の年間の予算、知ってますか?
「最大の悪人とは、自分のしたことについて思考しないために、自分のしたととを記憶していることのできないひと、そして記憶していないために、なにをすることも妨げられないひとのことである。」
— 青識亜論(せいしき・あろん) (@BlauerSeelowe) February 24, 2022
――ハンナ・アレント『全体主義の起源』 pic.twitter.com/kQoFXXbUk5
こういう歴史を知ってるなら、マスコミの言動、特に朝日新聞・毎日新聞・東京新聞の言動には、気をつけようとなるはずなんですが。なぜか、平和の守り神のごとく思ってる左派が多くて。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
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