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次世代原子炉の電源喪失実験へ

◉アニメ『ガールズアンドパンツァー』の舞台として知られる、あんこう祭りの茨城県大洗ですが。より安全性が高いとされる第四世代炉の高温ガス炉を研究する、高温工学試験研究炉 (High Temperature engineering Test Reactor 略称HTTR)があります。無能な方の菅元総理大臣が、東日本大震災と福島第一原発事故を受けて、勝手に止めて10年間稼働できませんでしたが。昨年から運転再開し、各種実験を再開したようです。その一環として、電源喪失した場合でも原子炉が安全に運転停止するか、その実験をするようです。

【次世代原子炉「高温ガス炉」で電源喪失試験へ…原子力機構が来月、安全な停止を確認】読売新聞

 日本原子力研究開発機構が来月、次世代原子炉「高温ガス炉」で、運転中に全電源が喪失した状態を再現し、安全に停止させる実証試験を行うことがわかった。100%の出力で運転した時に炉の冷却機能を停止させても、炉心溶融が起きないことを確かめる。高温ガス炉の安全性を検証し、実用化への足がかりとする。

 高温ガス炉は、発電だけでなく、核燃料から出る高温の熱で脱炭素エネルギーの水素も製造できる。一般的な原子力発電所は水で冷却するのに対し、高温ガス炉はヘリウムガスで冷やすため原理的に水素爆発は起きない。冷却機能が停止しても自然に放熱する仕組みのため、安全性が高い。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20240210-OYT1T50211/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、大洗磯前神社の神磯の鳥居だそうです。

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■原発は耐震性が高い■

福島第一原発事故は、津波による外部電源の喪失によって、炉心部の冷却ができず、そのために高温となった炉内が空焚き状態になり、中の水分が水蒸気爆発したのですが。それを反原発派は、無知なのか勉強不足なのか、あるいは知っていてわざと混同させているのかは分かりませんが。地震の揺れによって炉心部が損傷を受け、核爆発が起きたようなことを言いますが。現実には、より震源に近く揺れも激しかった女川原子力発電所は、無傷でした。それどころか、堅牢な建物なので、地域住民の避難所にすらなっています。

高温ガス炉が属する第四世代原子炉は、電源が停止してしまっても、自然に運転が停止され、メルトダウンを起こしづらい構造になっています。冷却材の原子炉出口温度が900℃以上の高温で運転できる、黒鉛減速・ヘリウム冷却型の高温ガス炉で、第3世代の原子炉のように冷却のために水が必要ありません。原子力発電所が特定の地域に固まってしまうのは、古くて硬い岩盤と冷却水の2つが必要で、その条件を満たす地域が限られているからです。

できれば、第三紀以前の古いものが、理想です。何千万年も前の地層は、長い期間かけて上に積み重なった新たな地層の圧力を受け、カチカチに固まっていますから。福井や福島、川内原発や玄海原発などが恐竜化石の産地の近くで、泊原発や伊方原発や島根原発などが貝化石の産地なのは、偶然ではありません。そういう地域は農業には向きませんし、能登半島のように 断崖絶壁で孤立しがちですから。貧しい地域に原発を押し付けているというのは、的外れな批判です。

■技術は常に進歩する■

反原発派というのは、広瀬隆氏の本などを読んで鵜呑みにしてしまう、情弱科学リテラシーが低いタイプが多く、科学技術が常に進歩発展しているということが理解できません。技術が、現状のまま永遠に変わらないと、無自覚に思い込んでいる面があります。「2位じゃダメなんですか精神」とでも言いますか。2位の状態がずっと維持されるという発想ですが。1位を目指しても2位3位4位……とズルズル後退ことだって、あるわけですから。

原子力発電所の研究も、日々進歩しているわけで。第四世代の原子炉は安全性を重視して、いろんなタイプが研究されています。熱中性子炉や超臨界圧軽水冷却炉、溶融塩原子炉、ナトリウム冷却高速炉、ガス冷却高速炉、鉛冷却高速炉などなど、多種多様です。その中で実用化に向けて動いているのが、高温ガス炉(超高温原子炉)です。中国では一昨年、商用実証炉が臨界に達し、アメリカとイギリスでは2029年の商業炉稼働を、目標にしています。

大洗のHTTRは世界トップクラスの高熱を記録し、その900度を超える高熱を利用した原子力製鉄や、水素の生成、石炭の液化など、いろんな可能性が広がっていたのですが。無能な方の菅元総理大臣が(以下略)。出力は 第三世代原子炉の3割程度と低いのですが、前日のように冷却用の水が必要ではないのと、地震で電源喪失しても自然に運転停止するので、硬い岩盤も必要ないのが大きいです。そう、反原発派の念願だった「東京に原発を!」が実現します。

■全都道府県に原発を■

高温ガス炉は、建物の構造を規格化できるので、ツーバイフォーの住宅のように、工場で規格化された各種モジュールを、現地で組み立てることで安く建築することが可能です。また、小型化も可能です。このため小型モジュール炉(Small Modular Reactor=SMR)と呼ばれることもありますが。これは 形状的な特徴であって、他の第四世代原子炉も小型でモジュール化できるものであれば、SMRと呼ばれます。

個人的には、高温ガス炉の出力が弱いのであれば、分散して複数建設すればいいと思いますし。むしろ、どこか1箇所の原発が事故によってストップした時のダメージを考えれば、分散するのがリスクマネジメント。そして 電力は地産地消の方が、効率が良いのは言うまでもありません。それこそ47都道府県に1基以上、高温ガス炉があっても、問題はないでしょうね。むしろその方がリスク分散になって、効率も良くなります。

核融合発電は期待されていますが、現実的にはあと何年後に商用実証炉が作れて……というスケジュールは、出せていません。でも、高温ガス炉は、もう5年後というスケジュールが出されています。それが数年遅れるのか、ちょっとだけ早まるのか、そこは分かりませんが。本来は、今回のような実験は数年前に終わらせて、日本だって 商用実証炉を稼働させていても不思議はなかったのに。崩壊した後も、日本社会に迷惑をかけ続けているという点で。まさに悪夢の民主党政権でした。

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喜多野土竜
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