次世代原子炉の電源喪失実験へ
◉アニメ『ガールズアンドパンツァー』の舞台として知られる、あんこう祭りの茨城県大洗ですが。より安全性が高いとされる第四世代炉の高温ガス炉を研究する、高温工学試験研究炉 (High Temperature engineering Test Reactor 略称HTTR)があります。無能な方の菅元総理大臣が、東日本大震災と福島第一原発事故を受けて、勝手に止めて10年間稼働できませんでしたが。昨年から運転再開し、各種実験を再開したようです。その一環として、電源喪失した場合でも原子炉が安全に運転停止するか、その実験をするようです。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、大洗磯前神社の神磯の鳥居だそうです。
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■原発は耐震性が高い■
福島第一原発事故は、津波による外部電源の喪失によって、炉心部の冷却ができず、そのために高温となった炉内が空焚き状態になり、中の水分が水蒸気爆発したのですが。それを反原発派は、無知なのか勉強不足なのか、あるいは知っていてわざと混同させているのかは分かりませんが。地震の揺れによって炉心部が損傷を受け、核爆発が起きたようなことを言いますが。現実には、より震源に近く揺れも激しかった女川原子力発電所は、無傷でした。それどころか、堅牢な建物なので、地域住民の避難所にすらなっています。
高温ガス炉が属する第四世代原子炉は、電源が停止してしまっても、自然に運転が停止され、メルトダウンを起こしづらい構造になっています。冷却材の原子炉出口温度が900℃以上の高温で運転できる、黒鉛減速・ヘリウム冷却型の高温ガス炉で、第3世代の原子炉のように冷却のために水が必要ありません。原子力発電所が特定の地域に固まってしまうのは、古くて硬い岩盤と冷却水の2つが必要で、その条件を満たす地域が限られているからです。
できれば、第三紀以前の古いものが、理想です。何千万年も前の地層は、長い期間かけて上に積み重なった新たな地層の圧力を受け、カチカチに固まっていますから。福井や福島、川内原発や玄海原発などが恐竜化石の産地の近くで、泊原発や伊方原発や島根原発などが貝化石の産地なのは、偶然ではありません。そういう地域は農業には向きませんし、能登半島のように 断崖絶壁で孤立しがちですから。貧しい地域に原発を押し付けているというのは、的外れな批判です。
■技術は常に進歩する■
反原発派というのは、広瀬隆氏の本などを読んで鵜呑みにしてしまう、情弱科学リテラシーが低いタイプが多く、科学技術が常に進歩発展しているということが理解できません。技術が、現状のまま永遠に変わらないと、無自覚に思い込んでいる面があります。「2位じゃダメなんですか精神」とでも言いますか。2位の状態がずっと維持されるという発想ですが。1位を目指しても2位3位4位……とズルズル後退ことだって、あるわけですから。
原子力発電所の研究も、日々進歩しているわけで。第四世代の原子炉は安全性を重視して、いろんなタイプが研究されています。熱中性子炉や超臨界圧軽水冷却炉、溶融塩原子炉、ナトリウム冷却高速炉、ガス冷却高速炉、鉛冷却高速炉などなど、多種多様です。その中で実用化に向けて動いているのが、高温ガス炉(超高温原子炉)です。中国では一昨年、商用実証炉が臨界に達し、アメリカとイギリスでは2029年の商業炉稼働を、目標にしています。
大洗のHTTRは世界トップクラスの高熱を記録し、その900度を超える高熱を利用した原子力製鉄や、水素の生成、石炭の液化など、いろんな可能性が広がっていたのですが。無能な方の菅元総理大臣が(以下略)。出力は 第三世代原子炉の3割程度と低いのですが、前日のように冷却用の水が必要ではないのと、地震で電源喪失しても自然に運転停止するので、硬い岩盤も必要ないのが大きいです。そう、反原発派の念願だった「東京に原発を!」が実現します。
■全都道府県に原発を■
高温ガス炉は、建物の構造を規格化できるので、ツーバイフォーの住宅のように、工場で規格化された各種モジュールを、現地で組み立てることで安く建築することが可能です。また、小型化も可能です。このため小型モジュール炉(Small Modular Reactor=SMR)と呼ばれることもありますが。これは 形状的な特徴であって、他の第四世代原子炉も小型でモジュール化できるものであれば、SMRと呼ばれます。
個人的には、高温ガス炉の出力が弱いのであれば、分散して複数建設すればいいと思いますし。むしろ、どこか1箇所の原発が事故によってストップした時のダメージを考えれば、分散するのがリスクマネジメント。そして 電力は地産地消の方が、効率が良いのは言うまでもありません。それこそ47都道府県に1基以上、高温ガス炉があっても、問題はないでしょうね。むしろその方がリスク分散になって、効率も良くなります。
核融合発電は期待されていますが、現実的にはあと何年後に商用実証炉が作れて……というスケジュールは、出せていません。でも、高温ガス炉は、もう5年後というスケジュールが出されています。それが数年遅れるのか、ちょっとだけ早まるのか、そこは分かりませんが。本来は、今回のような実験は数年前に終わらせて、日本だって 商用実証炉を稼働させていても不思議はなかったのに。崩壊した後も、日本社会に迷惑をかけ続けているという点で。まさに悪夢の民主党政権でした。
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