クールジャパン機構が巨額の累積赤字
◉政府肝いりのクールジャパン機構の、累積赤字額は309億円に。なんですか、そのムダ金散財浪費っぷりは。まぁ、最初から失敗するだろうなと、思われてましたが。既に普及したあり物の再利用でいいのに、独自の企画やアプリを作って、そこに無駄な発注をかけて、けっきょくは使えない。コロナ禍で、日本の厚生労働省が提供したCOVID-19アプリのCOCOAがまさにそうでしたよね。まさに、毎度毎度同じパターン。ちっとは学習しろよと思いますね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、クールジャパンで検索したら、良いイラストが出てきました。
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■あまりに昭和的手法■
今年3月の時点で国が1066億円・民間企業24社が計107億円を出資し、計56件の投資を決めたが、ほとんどが失敗。アニメ配信会社「アニメコンソーシアムジャパンを立ち上げればNetflixやアマゾンプライムビデオなどの台頭でダメになって売却。んなもん、国がNetflixに10億円払って日本のコンテンツの配信の優遇でも勝ち取ったほうが、よほど有意義でしたね。結果論ですが、けっきょくそういう会社には完了が天下り、公金に群がる企業がいてという、昭和の手法でやったんでしょう。ハコモノに手を出したかは知りませんが。
まぁ、民間議員の顔ぶれがバラバラで、どうしようもないです。だいたい、秋元康氏が民間議員に入ってる時点で、失敗は必然です。基本的に、才能を刈り取るだけで育てる力なんてないですからね。そういう、搾取商売をする人間を入れたら、いいように金を使ってバカなことをやって、失敗するのは目に見えています。実際に秋元氏は、日本のクリエイターに無報酬で協力を求める趣旨の発言をしたとして、ネット上で物議をかもして炎上していましたね。発想が経営者でもなければエンジニアでもなく、女衒と同じでしょ?
■どこに重点配分するか■
例えば、お金をどこに配分するかという問題。近年、映画関係者などからは、作品作りの金を出してほしいという声が聞こえます。フランスのフランス国立映画映像センター(Centre national du cinéma et de l'image animée:略称CNC)の日本版なるものを作り、売れてる映画の収益を配分しようという動きがあります。一見すると良さげな話ですが、邦画の売上については、以下のような状況があります。日本版CNC設立とかいう前に、やるべきことがあるはずです。
ずいぶん昔のことなので出典は思い出せませんが、Twitter を見ていると映画関係者らしき人が、映画監督とかに金を出すのではなく、映画館の方に金を出すべきだと語っておられました。金を出せば、いい映画を作れる可能性が、それほど高まるわけでもなく。それは前記の、映画作品の打率のあまりの悪さでも理解できます。映画館という、作品を発表する場を維持することの方が、はるかに大事で、意味のあることに思います。クールジャパンも同じではないでしょうか?
■人を育てて場を与える■
こんなマヌケな売り込みをやって、大失敗して莫大な金をドブに捨てるぐらいならば。クリエイターの育成資金2回した方がどれほど有効だったか? 小説、漫画、アニメ、ゲーム……これらは政府の公的な後押しなんかなくても、世界がその面白さを認めて、評価されたものです。それは江戸時代の歌舞伎にしろ浮世絵にしろ根付にしろ、大衆文化の中から出てきて、体臭の厳しい審査眼の中で生き残ってきた、強さがあるわけで。
それこそ小説や漫画など、賞金500万1人、100万円5人、50万円10人の漫画賞を用意するだけで、才能は発掘できますからね。たった1500万円。文化庁の芸術祭優秀賞とか、自分の目から見てもかなり目利きの信者がいるのか、素晴らしい作品を選んでいますから。馬鹿みたいな売り込みするぐらいなら、そういう賞を10回やっても1億5000万円、諸経費を入れても200円ぐらいで結構なことができたはず。
例えばアニメなら、天賦の才にあまり恵まれないけれどやる気はある新人アニメーターに、斉藤むねお先生が生み出したメソッドをきっちり教え込むだけでも、随分違うはずなんですけれどね。どんなジャンルもそうですが、新しい才能の発掘と育成がジャンル発展の基礎。結果も残せない古参に無駄な金を注ぎ込むよりも、新しい才能にチャンスを与える。残酷なようですがこれがすべて。そして、育成のノウハウを持っている人間を大事にする。これは両輪です。
■場を与え搾取する秋元康商法■
自分が秋元康氏を繰り返し批判するのは、氏が才能を刈り取るだけの狩猟民で、才能を育てて収穫する農耕民ではないからです。おニャン子クラブにしてもAKBにしても、若さという付加価値を売り物にして、短期で売り抜ける商売。それって女郎と女衒と置屋の関係と、何が違うんでしょうか? 江戸時代の置屋はまだしも、素質のある禿には教育を施し、基礎教養に書道や囲碁さえ教え、未来の花魁となるべく育てているのですから。
ボイストレーニングもやっていなければ、ダンスは見様見真似。演劇等の指導も行ってないでしょう。つまり、なんにもやっていないも同然。This is 秋元康商法。秋元氏はAKBについて、プロ野球ではなく高校野球だと言い訳をしていましたが。高校野球だってプロを見据えて育てているところは多いわけで。彼の立場はむしろ朝日新聞や毎日新聞などの、高校生のひたむきさで商売している外野ですよね? だから女衒と同じだと批判するのです。
■大衆に淘汰させよ■
中国では共産党の幹部が、カンフーパンダを見て我が国ではなぜこういうアニメが作れないんだと嘆き。モノ作りの次はコンテンツビジネスだと明確に戦略を立て、小説もアニメも漫画も、力を入れていますしね。実際それで市場が急速に拡大しています。もちろん全体主義国家ですから、ちょっとしたことで表現自体が一気に潰される危険性は常に抱えていますが。一度でも表現されたものは、弾圧されても大衆への影響は、残り続けますから。
例えば漫画家だったら、生きている間の税金の減額をしてくれたら、没後30年で著作権を国に譲渡して好きに使ってもいいと言う人は、かなり多いと思うんですよね。上位10%の一流以外は。そんな二流三流の漫画家の作品を、引き受けてもしょうがないと思うのは浅薄。ジャンルを支えるのは、そういう二流三流の作品による、多様性の幅なのです。10人の天才よりも、1000人の二流三流の才能。そこを支えることによって、天才もまた生まれてきますから。
杉田久女という俳人は、生前は一冊の本を出すことも叶いませんでした。では、彼女には才能がなく、作品はつまらなかったのでしょうか? そんなことはありませんよね。お偉い政治家や高級官僚の方々は、そもそも大衆文化をバカにしているでしょうけれど。大衆という泥の中から蓮の花は咲くのです。こんな無駄金をドブに捨てるぐらいなら、芸術選奨をもっと拡大した方が、よほど日本の文化に貢献したでしょうに。不愉快ですね。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ