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康京和外交部長官電撃交代の裏

◉大統領制度の韓国は、外務大臣ではなく外交部長官が外交のトップ。康京和長官、英語の通訳の上手さを金大中元大統領に絶賛され、その結果あれよあれよという間に出世して、国連から外交部長官へ。こういうところが、家父長制の縛りが日本よりも遥かにキツい韓国らしいですね。盧武鉉大統領や文在寅大統領の政治の師匠である金大中氏が褒めたら、それは絶対の価値になる。家父長に逆らえない。その康京和外交部長官が、事実上の更迭です。

【外相電撃交代の韓国、金与正デスノート説を全力否定】JBPress

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が昨年の12月30日に続き、1月20日に3省庁の内閣改造を断行した。
 去年12月の内閣改造で最も話題になったのが秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の交代だとすれば、今回の内閣改造で注目されたのは断然、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官(外相)の交代だろう。

康京和外交部長官自体は、英語はネイティブ級に上手いですが、それは内容があることとイコールではないですからね。ここら辺は、日本の外務省とよく似ていますが。通訳なら有能だったのでしょうが、外交は語学が堪能なだけでは務まりません。国連での経験など肩書きは立派ですが、実際は外交のトップとして、特に実績もなく。他国の外交トップとの会談も、内容のなさが話題になっていましたね。

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■文在寅政権のチグハグな対応■

韓国の文在寅政権は、従北姿勢をあからさまにしています。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の事実上の序列第一位に躍り出た金与正女史から、韓国から北朝鮮へのビラを飛ばす行為を辞めろと言われたら、ご無理ごもっともで即対応し、アメリカはもちろん西側各国から呆れられている始末。当たり前ですよね、言論の自由を自由主義国が狭める自殺行為。しかも休戦状態の相手国に言われて、ですから。

北朝鮮の要求には半年ちょっとでビラ禁止法を立法し迅速に対応するのに、括弧付きの「徴用工」裁判や、これまた括弧付きの「慰安婦」裁判では、充分な時間があったのに立法措置をとらなかった。三権分立も何も、国内法が国際法と齟齬を来す場合、その矛盾を解消すべく、立法措置を執るのが行政府たる大統領府や、立法府である韓国国会の役割ですから。文在寅大統領、三権分立を理解してるか疑わしいです。

というか、彼は元人権派弁護士ですから、全部解っていてやってる。こういうのを一般に、法匪と呼ぶんですけどね。今回の件も、金与正女史が康京和外交部長官を批判したから、デスノート発動というのがもっぱらの見方。武藤正敏元駐韓全権大使が評したように、文在寅大統領は北朝鮮のことしか頭にありません。北朝鮮から命令されたら、即実行。ここら辺は、楽韓Webさんの分析が、どこかの神戸大学教授より的確でしょう。

■これは北朝鮮の指桑罵槐兵法■

そもそも、元記事でもその無能ぶりが指摘されているのに、これまでの大統領府スタッフの入れ替えで康京和外交部長官が生き残ってこれたのは、外交を大統領府国家安保室が牛耳っているから。ただのお飾りだから無風、という側面もあります。彼女は文在寅大統領と、その政治的なブレーンとされる文仁正氏の操り人形で、実権はなかったと言われますが。そういう意味では、これは北朝鮮からの指桑罵槐

指桑罵槐とは、桑の木を指差して槐の木を罵倒する、という意味。本当に相手に要求したいことは別途あるのですが、直接圧力をかけるのではなく、相手に勘づかせ、忖度させ、自主的に譲歩や行動を起こさせる手法。中国の兵法にあり、外交でしばしば用いられます。コレで相手を精神的に支配しやすくなるという、六韜や三略を生み出した権謀術数の国らしい、実にイヤラシい兵法です。

ビラがどうとか、康京和外交部長官の発言がどうとか、それ自体は実は問題ではないんですよね。「文在寅大統領よ、北朝鮮に従う気があるのか?」という、一種の踏み絵。文在寅大統領は唯々諾々と従うことで、北朝鮮への忠誠を示したわけです。こうなると、学生運動時代の文在寅大統領が、北朝鮮に忠誠を誓う血書を密かに送っていたという陰謀論が、陰謀論に思えないです……。

■半島は北も南も未だ封建主義■

ではなぜ、北朝鮮はこんな指桑罵槐を強行しているのか? それは、北朝鮮も韓国も東アジア型専制君主国家の価値観の中に、未だあるからです。つまり、李氏朝鮮時代の価値観。李氏朝鮮というのは、江戸時代の2倍の期間存続したわけで。江戸時代が日本的なモノの形をほとんど決めてしまったように。それだけ超長期間存続したのは、民族性に合致していたから、ということなんでしょう。あるいは民族性を形成した。

金与正女史は、肩書き的には朝鮮労働党組織指導部第一副部長で、元党中央委員会政治局員候補でしかありません。でも、金正恩世襲三代目将軍様が、噂どおり植物状態になっていたり、あるいは既に死亡していると仮定して、彼女はその金日成直系の血脈という出自によってのみ、最高権力を掌握しているわけです。こんなの、共産主義国でもなんでもない。世襲の封建主義王朝でしかありません。

まだ10歳ぐらいとされる金正恩氏の長男が、成人するまでは彼女は事実上の四代目将軍様になっているわけです。3.5代でも良いですが。山口組の田岡三代目が亡くなり、後継者に指名していた山本健一若頭が亡くなった後、田岡文子未亡人が事実上の四代目として、山口組を仕切っていたようなモノです。まぁ、ここら辺が家父長制が日本以上にキツい半島の、伝統ということなのでしょうけれど。

■代替わりの朝貢使節団と同じ■

徳川将軍家の代替わりごとにやって来た朝鮮通信使が、事実上の朝貢使節団であったように。影武者を立てているであろう北朝鮮ですが、金正恩氏の死亡か植物状態はかなり可能性が高そう。であるなら、事実上の代替わりをしたら、朝貢使節団を属国の韓国に求めるのは当然。文在寅大統領が就任以降、北朝鮮にやたら援助したがるのも、人道支援ではなく朝貢と考えれば、解りやすいです。

んで、北朝鮮は北朝鮮で、新指導者は国民にカリスマ性を示さないといけません。2010年11月の延坪島砲撃事件を金正日氏と金正恩氏が指揮していたことが、北朝鮮から発表されたように。まぁ、戦国武将の初陣みたいなモノですね。金与正女史は、この状況でさすがに武力攻撃を仕掛けるわけにも行かず。その代わりに、無理難題を文在寅大統領にふっかけて、それに唯々諾々と従うか否かで、忠誠心を測っているわけです。

たぶん、今回の康京和外交部長官の事実上の更迭を契機に、北朝鮮から今度は事実上の朝貢の返礼に、対話姿勢とか持ち出すでしょう。それは、バイデン新大統領誕生の動きと併せての、いつもの平和ポーズ。それに、バイデン新大統領はオバマ大統領と同じく乗せられ米朝対話を再開するのか、そこはまだ未知数ですが。一連の北朝鮮の動きは、トランプ大統領以降を睨んだ動きと解する方が、自分には解りやすいです。呼応して、文在寅大統領は日本との対話ポーズを取るでしょう。米朝対話にバイデン新大統領を引きずり出すために。
どっとはらい

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