映画が個人で買える?
◉興味深い情報が、X(旧Twitter)で流れてきたので、遅ればせながらご紹介。映画『カイロ』や『CURE』や『リアル〜完全なる首長竜の日〜』などで知られる黒沢清監督の新作が、999人限定で1万5千円で買えるという映像流通サービスがローンチされたのですが。それだけだったら、ナニカ映像特典でも付いた豪華版の発売かと思うのですが。そうではなく。これを再販売するのはもちろん、レンタルしたり上映する権利もあるという、とても興味深い流通サービスです。ミニシアターとか、買って損はないですね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、映画のイラストです。
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詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。インターネットの出現で、情報革命が起きたのですが。それまで、新聞・テレビ・ラジオ・雑誌などの旧メディアは、一方通行だったのですが。双方向性のインターネットによって、「●●新聞はこう書いてるが、実際はこうで、そのエビデンスはこれ」と、個人が反論や検証して、一気に権威が崩れてしまったわけで。そして、わざわざ新聞を買わずとも、ベタ記事やそれに毛が生えたような通り一遍の記事に、カネを払ってまで買う価値はないと、気付かせてしまった。これは大きいです。
インターネットの情報革命は同時に、デジタル情報流通革命だった部分も。経済的にも、大きな影響が。先ずは、音楽。レコードショップでCDを買っていたのが、直接ダウンロード購入し、小売りをパスできるようになったわけで。当初は、コピーコントロールCDなど、明後日の方向で対応していたのですが。時代の流れには抗えず。やがて、Kindleが出現し、書店に置いていない本でも手に入る、という利便性で普及。スマートフォンの普及で、今や紙の本よりも巨大な流通に。そして、映画やドラマもまた、ダウンロード販売や配信で、映画館に行かずとも鑑賞できる時代へ。
このまま行くと、新作映画の配信も始まるでしょう。個人的には、映画館の体験は特別なモノで、それ自体がなくなることはないでしょうけれども。でも、都会の贅沢品なのも、また事実。先日、某家電量販店に行ったら、50インチとかの大型液晶が、かなりお手軽な値段に。もう、昔のミニシアターレベルのホームシアターが、可能になりつつあります。NetflixオリジナルやAmazonオリジナルの作品が、話題になる時代。作品の流通 自体が、映画館を通さず直接ファンに届けられる時代。
そして、今回の試みに。そのような流れの中で、Kindleインディーズで漫画家や小説家が直接作品を売るように、映像作家自身が直接、ファンに作品を売買するだけでなく、レンタルしたり上映する権利も販売される時代に。佐々木俊尚さんのまとめ方が、的確でした。
1万5000円で999人。売り上げは1498万5000円。言わばコレ、画家がリトグラフを販売するようなモノですね。いやそれよりももっとすごいことです。音楽や映画は、やれ原盤権だの頒布権だの上映権だの、いろんな縛りがあるのですが、個人がそこを仕切る。もちろん、リスクも高いですが。もちろん、現時点では映画の制作費にはほど遠いですが、それでもはじめの一歩、ここから功成り名遂げた映像作家が、自分自身の信頼を武器に、マネタイズできる。少なくとも、余生の保険にもなりますし、悪い話ではないです。
もちろん 今後 いろんなトラブルが起きる可能性はありますが、製作委員会や企業にに頼らず、映像作家 自身が自分でお金を集め、リスクを引き受けて作品を制作し、リターンを受け取る時代へ。クリエイターが、それで潤うなら、自分としても望むべき未来です。
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