春とブランコ〈うみいろノートNo.49〉
散り始めた桜の花びらは、通り過ぎるトラックの風によって僕の自転車のカゴに舞い込んだ。
初めて自転車の後ろに人を乗せた日。
スリムな君のはずなのに、あふれ出る緊張が本来の力さえも奪ってしまう。力みながらも懸命に沈む夕陽を背に坂道を駆け上る。
「コンビニ寄ろ?」
一足早く夏を迎えたような爽やかな声が、滴る汗を乾かしてくれた。
坂道の先に建つコンビニの前で自転車を停め、人工の明かりの中へ入る。スポーツウェアの僕たちを何種類ものアイスクリームが出迎える。結局同じアイスを買うこと