赤ちゃんが地域コミュニティをつくる
もうすぐ3ヶ月になる息子は、ここ数週間ずっと乳児湿疹と汗疹に悩まされていて、毎週皮膚科に通っている。
近所の皮膚科は、小児皮膚科、一般皮膚科、アレルギー科を専門としているからか、外来者の年齢層が広い。うちの息子のような赤ちゃんから、おじいちゃんおばあちゃんまでいろんな年代が待合室に集っている。
院長一人と看護師さんたちで切り盛りしている院なので、そこまで広くはなく、3人がけの長椅子が4つ、ぎゅぎゅっと密集して置かれている。
大体待合室には4-5人、多いときには10人程度が順番待ちをしている。
そのため毎回30分くらいは待つことになるのだが、私たちが退屈することはあまりない。というのも、ほぼ必ずと行っていいほど、同じ待合室で時間をつぶすおばちゃんやおばあちゃん、おじいちゃんたちが話しかけてきてくれるからだ。
「赤ちゃんかわいいわね〜」
「私が生んだのはもう40年も前のことだから、忘れちゃったわ〜」
「あらおしゃべりが上手ねぇ」
「よく寝てるわね〜」
と、こんな具合からはじまり、おばちゃんたちの昔話(主に子育てについて)を一通り聞かせてもらい、ひとしきりうちの息子にしゃべりかけて楽しませてくれる。赤ちゃん育てるアドバイスなんかもくれる人もいる。
隣に腰掛けている人だけでなく、通り過ぎるタイミングで声をかけてくれる人、後ろに座っている人、目の前に座っている人など、とにかく四方八方からコミュニケーションが始まる。
私一人だったら、こんなに話しかけられることなんてない。
全ては、赤ちゃんがいるから。
赤ちゃんが一人いるだけで、しんと静まっていた小さな待合室はやわらかく温かい空気に包まれ、知らない人同士の会話が自然に始まり、ほのぼのとした雰囲気が出来上がる。
全ては、赤ちゃんがいるから。
赤ちゃんとは、なんというパワーを持っているのでしょう。 赤ちゃんは他人を他人で終わらせない力を持っている。見ず知らずの他人が声をかけ、会話をし、お互いを知ることができる。そんなことを自然に起こしてしまうのは、赤ちゃんの特権とも言える。
縁の薄れた地域だとしても、きっと赤ちゃんを連れて定期的にいろんな寄り合い場に顔をだしていけば、赤ちゃんを通じて自然と地域のコミュニティが出来上がるんじゃないかと思う。
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