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『食の未来を考えるZ!NFS山梨×もぐラボ 日本の食の知られざる魅力を探ってみた in八ヶ岳』

こんにちは。本記事を担当するもぐもぐファームラボのたけです。
今回の記事では今年度もぐもぐファームラボ(略してもぐラボ、※以下もぐラボと表記します)が今年度の活動の中で行った山梨県北杜市での取り組みについてお届けしたいと思います。山梨でのもぐラボの活動としてフィールドワーク合宿として山梨県北杜市に訪問させていただきそこで活動をされている食にまつわる様々な事業者さんのお話を聞かせていただきました。その後お会いした事業者さんと共に八ヶ岳から日本フードシフト 食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT FES. 山梨にて登壇させていただき、もぐラボメンバーそれぞれがどの様なことを学んだのかについてお話をさせていただきました。
そちらの模様はこちらのリンクよりチェックできますのでよろしければご覧ください!

今回の記事ではそのフェス登壇に向けて行ったフィールドワーク合宿での学びにフォーカスをしてお届けしたいと思います。合宿では株式会社ファーマン 井上農場の井上さんにご協力いただき山梨県北杜市の食にまつわる様々な取り組みをされている方にお話を聞く機会をコーディネートしていただきました!
株式会社ファーマン 井上農場についてはこちらをご参照ください


もぐラボは日本全国、世界各地から集まった高校生から大学生、社会人までが自分と食の理想の関わり方を模索できるコミュニティです。食についてとても関心が高く実際にアクションを起こしているメンバーもいれば、食べることがとにかく好きであらゆる食に関心を持ったメンバーやあまりこれまでの人生で食について考えてこなかったメンバーなど食についての価値観が様々です。今回のフィールドワークではそんな多様な価値観を持ったもぐラボメンバー(京都、東京、長野など日本全国からもぐラボンバーが集結)して学びを深めました。

今回の合宿を通してメンバーそれぞれがどのようなことを感じたのかをまとめたグラレコがこちらになります。
今回は大きく5つのセクションで訪問をさせていただきました。各セクションについて具体的にどのようなことを学び気づきとして得たのかについて記載してきたいと思います。

この記事を通して少しでも山梨県北杜市の食の魅力とに触れる機会になり、もぐラボの活動に興味を持っていただけたら嬉しいです!

①有機農業、新規就農、半農半X

今回のもぐラボ山梨合宿では、山梨県で農家を営まれている方々のお話を聞く機会がありました。全部で三つの場所に訪問をさせていただきました。

それぞれの訪問先の詳細はこちらとなっております。
■ちはるファーム
田中千春さん(写真ピンクの洋服を着ている方)
(概要)
甲斐駒ヶ岳と八ヶ岳を仰ぎ見ることができる北杜市高根町の畑で自分の農園を営んでいる。埼玉県出身。プロのパティシエを経て、東京で勤めていた証券会社を退職し、農業の道に。2018年に北杜市に移住し、1・5ヘクタールの畑で有機野菜を栽培している。




※参考記事

■農事組合法人ファームひばり
代表 清水一恵さん、野瀬建さん
(野瀬建さんは新規就農者として移住し、清水一恵さんと協力・連携している)
山梨県北杜市明野町 ※視察した畑は清水一恵さんの畑
ファームひばりは2016年に北杜市明野町に設立(同町農業従事者3人が手を取り合ってスタートした農事組合法人)。八ヶ岳や南アルプスの眺望も楽しめる畑があるエリアは茅ヶ岳の麓、標高約750メートルに位置する。一帯は「日本一、日照時間が長い太陽の里」とも呼ばれる。野瀬建さんは茨城県で有機農業を営む久松農園で働いた後、独立。2020年12月、有機農業をするために北杜市に移住。自身の畑を営む傍ら、ファームひばりを手伝う。


※参考記事


■畑山農場
代表 畑山貴宏さん
山梨県北杜市高根町下黒澤1053
(概要)
畑山農場は、山梨県北杜市高根町にある家族経営の農場。畑山さんは1976年生まれ、高校生までは北海道・札幌市で育ち、大学時代、有機農業のアルバイトをしたことがきっかけで大学院を卒業後、24歳で山梨に。2003年に農家として独立し、妻と子供2人と共に暮らしながら農業を営んでいる。現在は約3.5ヘクタールの畑で約30品目の野菜を農薬化学肥料を使わずに栽培している。

HP

※参考記事


三つの場所を訪問させていただいたことでどんな気づきがあったのかについてお話をしていきたいと思います。

農業には選択肢が人の数だけ無数にあるという話

最初に訪問させていただいたちはるファームさんのお話の中でもぐラボメンバーから農業の楽しさについて質問をさせていただきました。

その際にちはるさんの言葉の中で印象的だったのが、農業のやり方は無数にある、同じ野菜でも種類は多数あるし、そもそも何を育てるか、土や肥料に何を使い、どう育てるか等こだわれることが無数にあるというお話がありました。三番目に訪問させていただいた畑山農場の畑山さんは農薬を使わなくても美味しい野菜はできる、本当に自分が食べたい作物は何かを問い続け、その中で現在は種子から作るということをやられているそうです。このように農業を本当の意味で追求していくとキリがないほどクリエイティブであることをお話の中から気づきとして得ることができました。

北杜市の最大の魅力は農業をやられている方が横連携できていること

北杜市の魅力は、農業をコミュニティがとても横連携しているというお話を今回お話を聞かせていただいた全ての農家さんで同様にお話をしていたことがとても印象的でした。最初に訪問させていただいたちはるファームでは、先輩たちが有機農業に関して苦労されたことなどを惜しみなくなんでも教えてくれるというお話がありました。持っているものをみんなでシェアをし合いお互いの技量をさらに高めようとする部分があるというお話がありました。二番目に訪問をさせていただいた農事組合法人ファームひばりでは技術を若者に継承していく重要性についてお話いただきました。ファームひばりでは清水さんが農家をやられていたところに新規就農で野瀬さんが就農されたというお話がありました。野瀬さんが就農することで清水さんが一人で行う作業を分担することができたり、野瀬さんがいることで清水さんが休みを取ることできるというお話がありました。農業は365日、現場作業や営業や流通、加工など様々な作業を必要とされ休むのがとても厳しいというお話がありました。その中で北斗市では横連携ができているため新規就農される方を受け入れることができるため農業界隈では珍しく休むという行為を行えるようです。井上さんはお話の中で農業歴が長い人もそうではない最近始めた人も外から北杜市に移住した人も同列で議論をすることができる。それが北杜市の最大の魅力であるというお話ししていました。教える側と教えられる側というような関係ではなくもらったものをシェアしていくことを大切にしているという価値観が北杜市にはあるようです。

消費者の意識を変えることの重要性について

三番目に訪問をさせていただいた農事組合法人ファームひばりでは、もぐラボメンバーに向けてある質問をしていただきました。それはスーパーで農作物が売られる際に一番重要視されるのは何かという質問でした。自分を含めもぐラボメンバーの意見で多かったのは味という答えでした。ですがファームひばりの野瀬さんは味が重要視をされるのは三番目以降だというお話でした。では一番重要視されるのは何かというとその作物の大きさや形だそうです。確かに自分もスーパーで購入をする時につい形が良いものや傷がついていないものを選びがちだと思いました。ですが農家さんが一番拘っているのは味です。そこに消費者との意識の差があるように感じました。もし自分が農家をやっていたらスーパー等で作物を選ぶ際に今の自分と違った基準で選ぶことができるのではないかと思いました。これからももぐラボ活動を通して少しでも消費者の意識を変えていきたいなと思いました。

②ジビエ、害獣駆除

二つ目のセクションはジビエ、害獣駆除です。こちらでは八ヶ岳ジビエさんに訪問をさせていただきました。

■八ヶ岳ジビエ
代表 五味誠さん、妻・五味舞さん
山梨県北杜市明野町上手8292-2
(概要)
山梨県の認証を受けたジビエ処理加工施設。北杜の豊かな自然の中で育ったニホンジカや猪は、野生ならではの力強さとしなやかな肉質が特徴という。肉の特徴を最大限に活かすよう、捕獲から2時間以内の鮮度を保つ処理を徹底し、旨味を引き出す熟成製法でおいしさを最大限まで引き出す。五味誠さんは製造業の会社を経営しながら、猟友会にも所属し、狩猟から食肉加工まで手がける。主な販売が河口湖の星野リゾートに出荷している。

HP


ジビエへの命懸けの取り組みと拘りについて

お話の中で印象的だったのはまずこの取り組みを命懸けでやっているということ。
鹿を殺める際には罠もしくは銃を用いるそうで、その行為についてやはり命懸けであり、本当にやるかやられるかという現場のようです。銃を放つ際にも鹿になるべくダメージを与えないように近くまで行き放つそう。その際には鹿に蹴られたりツノで刺されそうになったりするそうで命をいただく重みを毎回実感するそうです。
常に現場で実際に行っている方のお話は重みが違い、自分達が普段食べているお肉はこのような方々の奮闘があり実現しているということを考えるとやはり普段の生活がいかにあらゆる人によって支えられているかを実感する機会となりました。またジビエ肉の品質にもとてもこだわっているそうで、現在八ヶ岳ジビエさんは星のリゾートと契約をしているそうです。肉の品質を担保する上で一番重要なのが、鹿にストレスを極力与えないことのようです。具体的には鹿が食事をしている際に猟銃で頭を一発撃ってしまえば、痛いとか具合が悪いとかを鹿が感じることなく、その場で獲れるため品質の良いお肉となるようです。30-40分でお肉の品質は変わってしまうそうで、なるべくしっかり鹿の中にある血を抜くのが重要だそうです。この様なこだわりを一貫して行い続けることで消費者にジビエ肉の美味しさ、魅力を知ってほしいという想いを聞くことができました。普段自分達がいただいている食材は決して当たり前ではなく誰かが命懸けで提供してくれているものだと再認識をして感謝を忘れない様にしていきたいと思いました。

③酒・地域連携

三つ目のセクションでは、酒・地域連携というテーマで山梨県で日本酒を製造している山梨銘醸株式会社に訪問をさせていただきました。

■山梨銘醸株式会社
対応 専務取締役 兼 醸造責任者 北原亮庫さん
山梨県北杜市白州町台ヶ原2283
(概要)
寛延3年(1750年)創業。初代蔵元 中屋伊兵衛が、信州高遠で代々酒造業を営んでいた北原家より分家。白州の水の良さに惚れ込んで、甲州街道台ヶ原の地で酒造業を始める。2015年、新たな可能性を目指し開発に5年をかけた、壜内二次発酵スパークリング日本酒「山ノ霞」発売。2018年、北原対馬が代表取締役社長に就任。醸造責任者北原亮庫が専務取締役を兼任。


酒造りに一番重要な水の重要性について

山梨県には甲斐駒ヶ岳という山が存在します。そこに降り積もっている雪が山自体で吸収をされて、山自体で濾過をされて、その濾過をされた水が地下水脈として、北杜市にに流れ着いているそうです。その水を汲み上げることでこちらでは日本酒作りに利用をしているそうです。近くにはサントリーやコカコーラの採水拠点もあるそうで、サントリーではここの水を30年かけて汲み上げるそうです。山でゆっくり濾過されるという行為がとても重要で、山に含まれている石の成分、石に含まれているミネラルが濾過をする時にとけ出してくるとそれがミネラルウオーターのそれぞれの味の違いになるそうです。北原さんの言葉を借りると、酒造りとは水に寄り添った酒を造ること、これを徹底しているのがお話の中でとても印象的でした。ではなぜそこまで水にこだわりを持っているのかというと北原さんのこれまでの試行錯誤の結果そう行き着いたそうです。酒造りを始めてから、当然、美味しいものを造りたいという想いを持って日本で発売されている、美味しいなと思うお酒やメディアから大きく取り上げられているお酒を飲んで美味しいと感じたのはなぜかを分析したそうです。するとアルコール度数や糖分などのいろんな数値が出てくるのですが、それを再現して造ってみた時になぜか味が異なっていたそうです。全体的に違うのは何かというと、であったそうです。そのような研究から現在の日本酒が誕生したそうです。とにかく自身が納得いくまで拘り抜く精神がとても学びになりました。

先祖からのバトンを受け継ぐ姿勢、人材育成の重要性について

北原さんのお話の中でもう一つ印象的だったのが、継承をしていくという姿勢についてです。具体的には、人づくりをとても重視して考えているそうです。これまでに生産設備や労働環境を整備してきたがこれからは人に投資をしていくことを考えていく必要があると北原さんはおっしゃっていました。何が若い人たちにとってくる目的になるのか、自分達に何が提供できるのかを真剣に考えていたいというお話があり自分達もぐラボとしても益々自分達にも何ができるのかを考えていく必要があると思う機会となりました。

④内水面漁業、農福連携

四つ目のセクションでは、内水面漁業、農福連携として富士ジネンテックファームさん、シミックウエルさんを訪問させていただきました。
■株式会社 富士ジネンテックファーム
対応 代表:小林光夫さん
山梨県北杜市小淵沢町10060-341
(概要)
八ヶ岳南麓の湧水を100%利用した内陸型水産業を営み、安全で美味しい鱒を養殖(八ヶ岳南麓の清澄な水を利用した内陸型水産業や、中山間地を活用して米、野菜の栽培を行い、加工品を製造販売)。オリジナルブランド鱒の「甲州ワイン鱒」を生産・販売。山梨県オリジナルブランドの魚である「富士の介」も販売。山梨県の特産品であるワイン製造時に出る、葡萄粕をエサに混ぜ与えることで、赤身が色鮮やかでしっかりとした旨みがあり、臭みの少ない鱒を山梨県と共同開発。やま里カレーも販売。


HP

■シミックウエル株式会社
対応 社長:栗田茂さん
山梨県北杜市小淵沢町字西上庄1137番地
(概要)
シミックホールディングス株式会社の特例子会社。障がい者雇用支援業務としてイチゴ栽培をしている。※視察は@イチゴ栽培ハウス、そのあと隣接のサテライトラボで甲州ワイン鱒ハンバーグとカレーの試食と説明へ
※補足メモです。シミックホールディングスは2012年、子会社のシミックバイオリサーチセンターを通じ、富士ジネンテックファーム(山梨県北杜町市)の受託研究事業を譲受したとの記事がありました。


HP


本質的にいいものとは何かあらゆる視点から意識を変えていく重要性について

富士ジネンテックファームさんとその特例子会社であるシミックウエルさんを訪問させていただいた際に印象的だったことがその分野における最前線で奮闘をされている方々とそこについてあまり情報を知らない人の差を埋めていくことがとても重要であるということです。具体的には富士ジネンテックファームさんでは甲州ワイン鱒を見学させていただきましたが、そこでのお話の中で鱒に甲殻類の餌を与えて赤くしているというお話がありました。最初から赤いのではなく、わざわざ赤くしているというお話はとても印象的で、日本人は白い鱒よりも赤くしたほうが食べやすい、美味しく見えるというお話を聞き、自分達が普段食べている食材がどの様な経緯で運ばれてきているのかをもっと知りその情報を伝えていくことが重要であると思いました。シミックウエルさんでは障害者の方を雇用として受け入れているというお話がありました。先進的な取り組みについて聞くことができ、もう一度働くということについて考え直したいと思える様な機会でした。日本にはまだまだ広めるべき食の魅力が多数存在すると思うのであらゆるバックグラウンドを持った方々と共に考えていくことが重要であると再認識できる機会となりました。



⑤ビール・肥料

最後のセクションではビール・肥料という分野でうちゅうブルーイングさんに訪問をさせていただきました。

■宇宙カンパニー合同会社
代表 楠瀬正紘さん(隊長)、鈴木ルミコさん
山梨県北杜市高根町蔵原937番地
(概要)
クラフトビール(発泡酒)の製造および販売。アメリカ西海岸でクラフトビール文化に出会い、クラフトビール・パブ、コミュニティづくりを志し、平成29年2月20日設立。人と人、ローカルとグローバル(そして宇宙)を繋ぐビール作りを目指している。2017年から山梨県北杜市にDIYで醸造所を建設、ビール造りを開始した。



HP

自分達が作りたいと思うものを追求する姿勢

お話の中で印象的だったのは、自分達が作りたいビールを追求する姿勢についてです。ビールづくりとは酵母が働く環境を作ることであるというお話があり酵母をどういう温度にしたら働きやすいか、どういう温度にしたらどういう味になるかをトライアンドエラーを繰り返しながら実践していく様です。こだわっているのは、ホップの香りが強烈にすることでやばい液体を飲んでほしいというお話がありました。お二人のお話の中で一貫していたのはやりたいと思ったことに対してできないを抜きにしてどうすればそれが実現できるかを真剣に考え抜くということです。あらゆるビールを飲み比べ、自分達にしかないものは何かを追求する姿勢がとても印象的で学びとなりました。またビールを絞った際の粕を井上さんの畑で肥料として再利用しているというお話もあり最初の方で述べた地域連携にも貢献していました。現在ビールについてファンが全国各地に多数存在しているそうで、その方達にいかに自分達の思いを知ってもらうかが重要であるとお話をしていました。


いかがでしたでしょうか?この記事ではもぐラボで行ったフィールドワーク合宿での気づきをメインに記載させていただきましたが北杜市にはまだまだ自分達の知らない食の魅力やそこで奮闘されている、こだわりをもって活動されている方がいらっしゃると思います。これからももぐラボとして山梨県北杜市の皆さんと取り組みをし続けていきたいと思っています。そちらも引き続きもぐラボnote、SNS等で発信していきたいと思っています。ではまた次回の記事で!


NIPPON FOOD SHIFTについてはこちらをチェック↓↓

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