後回し

はじめに

この作品は、Twitter企画「コランダ地方で輝く君へ」の交流作品です。
不都合な部分は、パラレル扱いとしてください。

お借りした方
ルドさん

お名前のみ
メルさん
カキョウさん

こちらの流れもお借りしてます🙇

後回し

「諦めようと思って」
そう言った時、ルドさんがとても辛そうな顔をした。

やだなぁ、ルドさんがそんな顔をすることないのに。
…人の痛みを、自分のことのように考えているのでしょう。あなたのそういう所を、メルさんは好きになったんでしょうね。

ルドさんは、私とカキョウの関係が羨ましいって、すごく素敵だと思うって言った。
「無理に他の人たちみたいになろうとしなくてもいいんじゃないか、と思うんだ。憧れる気持ちも…わかるけれど」

ずっと一緒にいる、約束をしている人たちに憧れたの。憧れて、私も彼とそうなりたかったの。

でも、それが間違いだったのかもしれないね。
ルドさんに言われて、肩の力が抜けた気がした。別に無理に約束しなくたって、私たちはこのままで良いのかも。
そう思うと今まで悩んでいた心が、少し軽くなった気がした。

「ハートさんと俺は、大切は人との出会い方も一緒に過ごした年月も、全然違うけど…でも、大事な人と離れたくない気持ちは一緒のはずだよ」
「そうね…」

いつか一緒にいられなくなる日が来たら、その時に諦めたら良いか。
少なくとも今は、何にも気にせず一緒にいればいいのかな。

「わがままだけどさ…俺はハートさんのその気持ちを、その人と同じくらい大切にしてほしいと思うんだ」
「…ルドさんに言われたんじゃ、仕方ないわね」
彼と一緒にいられなくなる日が、いつかやって来るまで。
『諦める』という言葉を口にするのは、その時まで後回しにするよ。

そしてお別れした後も、この気持ちは大切に持っておくね。
辛くなるかもしれないけど、この気持ちは私の一部。胸の奥に、思い出と一緒にしまうことにするわ。

すっかり熱を失ったココアを口にすれば、強い甘味が口いっぱいに広がった。

「これ、お礼というには少し足りないけど…クッキーと唐揚げ、メルさんと一緒にどうぞ」

それともモデルさんって、こういうの食べられないかしら。
そう言ったらルドさんがふんわり笑ったから、つられて私も笑った。