いたいのいたいの飛んでいけ
コランダ地方ハロウィン交流。
お借りした方
・テラーさん
お借りした流れ
かぼちゃのスープすら受け付けない胃。テラーの普段の食生活を、シュクルリは心配した。
「無理せず、こちらへ……」
大きな木のそばにテラーを座らせて、無線でイエローチームの人間に連絡を入れる。
「トレーナー一名、腹痛を訴えています。診察出来るドクターの方、至急応援願います」
テラーを心配そうに見つめるポケモン達に「今、お医者さんを呼んでいるからね」と声をかけて、シュクルリはテラーのそばにしゃがみこむ。
「ごめんなさい、あたしドクターじゃないから……」
「そんなに気にしないで良いのに……休んでいれば、きっとすぐ治るからさ……」
そうテラーは言うが、腹痛のせいか顔色が少々悪かった。
「今、ドクターに来てもらえるようにお願いしています。念のために、診てもらいましょう……ね?」
もし大変な病気とかだったらいけない。
ふと、ニャスパーのビスコッティが、テラーの腹部のそばで何かしていることにシュクルリは気付いた。
「ああ、いたいのいたいの、飛んでいけって、してるんだね」
痛む腹部に手を当てて、痛みを飛ばすように、手を空に向かって勢い良く上げる。
手を当てる、触れることで心身の苦痛が少し和らぐこともある。『早く元気になってほしい』という気持ちが、手から伝わるからだろうか。
「いたいのいたいの、飛んでいけ」
シュクルリは、ビスコッティの手の動きに合わせて呟いた。
ドクターが到着するまでの、ほんの僅かな時間に出来る、せめてものこと。
「痛み、早く無くなるといいな」
目を閉じて、木にもたれる、不思議な雰囲気のアナタにそう言った。