なかよくする
コランダ地方ハロウィン交流🎃都合の悪い場合はパラレルでお願いします。
お借りした方
・ラリマールさん、エルスターくん
お借りした流れ
「ピーチュッピチュ」
「何だか不気味な場所ね……」
ピチューのポーチを抱え、ハートは森を進み“帰らずの村”へ辿り着いた。
かつては小さな村があったというその場所は、現在苔と草に覆われて廃墟と化している。
「いかにも、お化けが出そうな……」
こんなことなら、誰かレッドチームの人間を見つけて誘えば良かったと後悔しても遅い。
「ここでの試練は、ゴーストポケモンたちとのゲーム……でも、大丈夫かな」
「ピピッ」
かくれんぼや鬼ごっこなら、ポーチも楽しめるんじゃないか。そう思って来てみたハートだったが、あまりにも“帰らずの村”が廃墟であった為、不安に思ってしまう。
「ね、ポーチ。お兄ちゃんやお姉ちゃんに手伝ってもらう?」
ハートはチルタリスのトートと、ラプラスのキャスケットが入ったボールをポーチに見せた。けれど、ポーチは首を横に振る。
トートとキャスケットが出ると、二匹に頼りきりになってしまうと思っているようだ。
「わかった。わたしも頑張る……きゃっ!」
後ろからゴーストが、ハートを驚かせた。森のゴーストタイプのポケモンたちはイタズラ好きだと聞いていたが、さっそくやられてしまった。
「ポーチ、追いかけるのよ!」
「ピチュッ」
***
「見失っちゃった」
「ピ……」
ピチューのポーチは落ち込んで耳を垂らした。ゴーストはどこへ行ってしまったのだろう。
その時村の入口の方で、女性の声がした。
「一緒に遊んでくださる方は『このゆびとまれ』!チップを賭けた遊びでも、かくれんぼやおにごっこの遊びでもお集まりくださいな」
声がする方角へ向かうと、ギルガルドモチーフの衣装に身を包んだ美しい女性と、ヤミラミが手を空へ掲げている。
ヤミラミの手は普通のヤミラミの手とは違って、キラキラと青く輝いており、ピチューのポーチはそれをじっと見つめた。
最近ポーチはキラキラするものに興味を持っている。今年のユールのプレゼントは、おもちゃの宝石がたっぷり入った宝箱をサンタにお願いするつもりらしい。
「あら、こんにちは」
「こんにちは。あの、もしかして試練を……?」
ハートの腕章を見た女性の顔が、ぱぁっと明るくなる。彼女も、ハートと同じ赤い腕章をつけていた。
「えぇ!あなたはもう試練をクリアしましたか?」
女性に問われ、ハートは苦笑いを浮かべた。
「挑戦はしましたけど、ゴーストに逃げられてしまって……」
ふと、ポーチの方を見ると、ヤミラミのキラキラした手にポーチが触れようとしていた。
「ポーチ、ポーチ」
「もしかして、一緒に遊んでくださるの?」
「ピッチュ?」
知らない人やポケモンと、一緒に仲良く協力する。ポーチにとっては良い経験かもしれない。
「ポーチ、お友だちと一緒にゲームする?」
「チュ」
「よーし、頑張ってみよっか!」
ハートはポーチを抱えて、女性とヤミラミの方を向いた。
「私の名前はハートです。この子はポーチ。良ければ一緒にゲームさせてください」
「ピッピッ」
ハートは、女性の指にそっと触れながらそう言った。