いつか空を飛べたら

※Twitter企画「コランダ地方で輝く君へ」交流作品です。ヨスガさんお借りしました。

拙宅:シュクルリ、ビスコッティ

いつか空を飛べたら

「こんにちはぁ、荷物を届けに来たよ」
「ヨスガさん、ありがとうございます!」
ここはコランダ地方、ダグシティのポケモンセンター。

配達屋のヨスガから荷物を受け取るのは、ジョーイとして働くシュクルリ。
何度か荷物を届けてもらううちに、二人はすっかり顔馴染みとなった。

「ポケモンたち、回復させましょうか?」
「ありがとう。じゃあ、お願いしようかな」
「お預かりします」
ヨスガからモンスターボールを複数預かり、シュクルリは早速ポケモンたちを回復させる準備を始める。

「あれ、このチラシ……」
カウンターの上に置かれたチラシが、ヨスガの目に止まった。
ダグシティのディスカウントストア……ドキドキストアで今度開催される夏祭りの宣伝用のチラシだ。

「それ、アタシの親戚のお店なんです。今度夏祭りをやるので、アタシもお手伝いに行くんですよ~」
「僕もそのお祭り行くんだよぉ」
「じゃあ、お会い出来るかもしれませんね」

ヨスガに向かってにっこり笑って、「お掛けになってお待ちくださいね」と言い、シュクルリは奥の部屋へと入っていった。

***

「お待たせしました。ポケモンたちはすっかり元気になりましたよ!」
お決まりの台詞を言った後、シュクルリはヨスガに、預かっていたモンスターボールを渡した。

「ありがとぉ。待ってる間この子と遊んでたんだぁ」
「にゃあ」

ヨスガの後ろから、ニャスパーのビスコッティが顔を出す。
クッカ・ムナで拾ったたまごから生まれた子猫。シュクルリのポケモンである。
普通のニャスパーと違うのは、ジョーイの制服を着ているところだろう。

「ビスコッティと遊んでくださったんですか?それはありがとうございます」
「ううん、こっちこそ。とても良い子だったよぉ」
「にゃあにゃー」
素直なビスコッティは、遊んでくれる人間が好きだ。ずっと遊んでほしいのだ。

けれど、その願いは叶わない。
ヨスガだって忙しいのだから、ずっとポケモンセンターにいることは出来ない。

「ビスコ。ヨスガさんもう行かなきゃいけないから、離れてね」
ヨスガから離れないビスコッティにシュクルリがそう言うと、ビスコッティは少ししょんぼりしながらヨスガを見上げた。

「また会えるから、そんなに悲しまないで?」
ヨスガは少し困ったように笑って、ビスコッティの頭を撫でる。
「にゃあぁ……」
「ほら、夏祭りでまた会えるかもしれないから……ヨスガさんにバイバイってしよ?」
何とかビスコッティを説得し、バイバイさせることに成功した。

ポケモンセンターの外に出て、ヨスガを見送るビスコッティ。
それを見守るシュクルリ。何だか不思議な構図。

「またねぇ~!」
「にゃにゃー!」
ビスコッティも、「またね」と言っているようだ。
ヨスガのアーマーガアが羽ばたき、あっという間に見えなくなる。

ヨスガたちが見えなくなっても、ビスコッティはしばらく空を見上げていた。
「中に入りましょ、ビスコッティ」
「にゅーん」

いつか空を飛べたら、ヨスガのアーマーガアと一緒に青空を飛ぼう。
そんなことを考えながら、ポケモンセンターに戻るビスコッティであった。



いいなと思ったら応援しよう!