スープを飲んだ時みたいに
コランダ地方交流
お借りした方
・テラーさん
お借りした流れ
「少しの間でしたら、かまいませんよ」
少しの間、話し相手になってほしいとテラーに言われたシュクルリは、ベンチに腰を下ろした。
「スープ、お口に合ったようで何よりでした」
「うん。温かくて、何か優しい味で、ほっとした」
テラーにそう言われ、シュクルリは口元に弧を描く。
「今の時期は寒いですからね」
温まってもらえて良かった。
テラーの手持ちのシュテルに、スープを口にしてもらえなかったのは残念だけど、警戒心の強いポケモンなのだろうから仕方がない。
「シュクルリちゃんは、何でイエローチームなの?」
長い髪を揺らしながら、テラーがシュクルリに問う。
「バトルは嫌いじゃないんですよ。でも、気付いたらイエローを選んでいました」
スープを作り、参加者に配れば、皆笑顔で受け取りスープを口にした。その笑顔を見て、シュクルリは元気をもらった。
「皆さんの笑顔が、あたしに元気をくれるんですよ」
仕事中、白いベッドの上で冷たくなる命を見る度、心がすり減っていく。
そんなすり減った心を、人やポケモンの笑顔を見ることで回復しているのだ。
「シュクルリちゃんは、優しいね」
テラーの言葉を聞いて、シュクルリは首を横に振った。
違う、違うんですよ。あたしは、あたしのために動いているんです。
人やポケモンの笑顔を見ると、温かい気持ちになる。スープを飲んだ時みたいに。
静かに目を閉じるシュクルリの頬を、冷たい風が撫でていった。