きつねと新米研究員さん
X(旧Twitter)企画「コランダ地方で輝く君へ」交流作品です。
お借りした方
•マートルさん
自宅
•ゾロア
•ドラウズ(名前のみ)
お借りした流れ
今日も、人に化ける練習。上手く化けれないと、落ち込んでしまうから。
ボクはゾロア。ねむりの研究所に住んでる。ボク、ポケモンや人間に化けることが出来るんだよ。
人間に化けるのは、少し苦手だから、練習をしているの。
……やっぱり、しっぽが消せていないや。化ける練習をしていると、研究所で暮らす仲間たちが集まってきた。
『それって、ドラウズの姿?』
『うん』
『んんー……何かちょっと違うかも』
ドラウズは、この研究所の研究員さんなんだけど、ボクはドラウズに化けるのが一番苦手なの。
表情が似てないって、言われちゃう。ドラウズは、自信がなさそうに眉を下げないし、泣いたりもしないから。
『今日も、ダメだった』
研究所の建物に入ると、最近研究員になった人が椅子に座っていた。確か、マートルってお名前だったと思う。そういえば、前にマートルがドラウズと話しているのを見かけた時、少し緊張しているように見えた。
「ドラウズは険しい表情をすることが多いから、怖くて苦手」って言う人もいたし、マートルもドラウズが苦手なのかな?
だったらこの姿、まずいのかも……。
元の姿に戻ろうとした瞬間、仲間たちの言葉が頭に浮かんだ。
『それって、ドラウズの姿?んんー……何かちょっと違うかも』
……似ていないのなら、化けていても元の姿でも、どっちでもいいかな。
「ゾロア、ですか?元気がありませんね……具合でも悪いのでしょうか」
マートルが近付いてくる。大丈夫、大丈夫なの。
上手く化けられなくて、落ち込んで、泣きそうなのはいつものことだから。
「何か悲しいことがありましたか?」
優しくされると、涙が出る。ボクのことは放っておいて、いいんだよ。
ポロポロ、涙が止まらない。このまま涙が止まらなくて、お池になったらどうしよう。
マートルはオロオロしながら「おやつを食べますか?」と言った。
時計を見たら、おやつの時間だった。
マートルが持ってきてくれたおやつを食べたら、少し心が落ち着いた。
クリームがサンドされたブッセ。ボク、これ好きなんだ。涙も止まっちゃったよ。
涙のお池にならなくて良かったなぁ。
「お茶もありますよ」
手についたクリームを舐めてたら、マートルがお茶を持ってきてくれた。
温かいお茶を飲んだら、ポカポカして眠くなってきた。
「眠たかったら、少し眠っても良いんですよ。その前に歯磨きをしましょうね」
まだ、化ける練習をしないといけないのに。まぶたが重たいの。
小さくあくびをして、体を伸ばしてから、ゾロアの姿に戻った。歯磨きをして、クッションの上で丸くなる。
「……おやすみなさい」
『……おやすみ』
マートルにはわからないと思うけど、一応返事をしてみた。