Kenta Ogura | インストラクショナルデザイナー

「成長を科学する」Emprony代表 / データ分析講師 / 大手企業を中心に年間100コマ以上の登壇 / 脳神経科学と認知心理学をベースに「効率的な学び」や「人間の成長」を探求 /「できるよろこび」が巡る社会の実現をミッションに活動中

Kenta Ogura | インストラクショナルデザイナー

「成長を科学する」Emprony代表 / データ分析講師 / 大手企業を中心に年間100コマ以上の登壇 / 脳神経科学と認知心理学をベースに「効率的な学び」や「人間の成長」を探求 /「できるよろこび」が巡る社会の実現をミッションに活動中

最近の記事

3,000単語を2ヶ月で覚え切った話

僕自身は別段記憶力がよい方ではないと思う。 ましてや一度見たことや聞いたことを瞬時に記憶できる類の能力は全くない。どちらかというともう少し記憶力があればなぁと、指をくわえて勉強ができる人を眺めている側だった。 だからこの話は、何かを効率的に覚えたい人にとって、割と参考になるエピソードなのではと思う。(淡い期待かもしれない…) 今から遡ること十数年前のこと。大学受験を控えた高3の春に、僕は多くの高校生が大体そうであるように、春の模試の結果に頭を抱えていた。特に英語がひどく

    • 記憶は筋トレ | 学びのメソッド

      人間の記憶は、知れば知るほど曖昧でいい加減だ。 昨日名刺交換した人の名前は何だっけみたいなことは日常茶飯事だし、セロリを買ってきてと言われてパセリを買ってきてしまう、といった記憶の勘違いもよくある。 これぐらいならまだ可愛いもので、もっとひどくなると記憶の捏造すらある。これは人が意図して起こしているのではなく、特定の状況下では誰でも無意識に捏造してしまう可能性がある、という点がとても怖い。 有名の例では、殺人事件などの証人の話がある。取り調べの過程で「あなたはこういう人

      • 学ぶことを、面白がっていられる幸せ

        個人的に学ぶことがとても好きだ。知らなかったことを知ること、できなかったことができること、これにまさる娯楽はないと思っている。 娯楽として楽しいことに加えて、学ぶことで自分の収入が結果として増えたりすることもある。「結局金か」と言われればそれまでだけれど、膨らんだお財布は、しぼんだお財布よりはどうしようもなく魅力的。抗うことは難しい。 学ぶことを娯楽にできている点において、自分はずいぶんと得をしているなと思う。とにかく楽しい、そしてお金が増える(かもしれない)。 そして

        • 今年育て始めた”2人”の赤ちゃん

          最後にnoteを更新して気がつけば2年以上の月日が経ちました。 2年前の僕は独身で普通の会社員。 2年後の僕は既婚で、息子が生まれていて、そしてスタートアップの起業中。 何がどうしてそうなったのか、今も少し驚いています。 久しぶりの更新のきっかけをくれたのは、僕がお世話になったコーチ養成講座を開講している”ZaPASS”のnote企画。同じように養成講座に通った25人一人一人が、違う”問い”を受け取ってアンサーを投稿するというもの。 こうしたきっかけでもなければ、note

          誰のためのデザイン D.ノーマン

          バンコクの安宿でどう蛇口を回してもシャワーからお湯が出なくて、つたない英語でロビーに聞きに行ったら「お湯?出ないよそんなん」とけんもほろろに追い返されて、イスタンブールの値段の割に妙に内装が綺麗なホテルで無邪気に蛇口を回してシャワーを浴びたらほぼ熱湯が出てきて声にならない叫びをあげる。 ヒューストンのトランジットで泊まったシェラトンホテルのシャワーの温度調節にやや苦労したかと思えば、ハワイのシェラトンワイキキのシャワーはなんの苦労もなく適温になってやっぱりハワイかと思い、ブ

          誰のためのデザイン D.ノーマン

          言葉は全然完璧じゃない

          僕らは普段、言葉を使うことで自由にコミュニケーションができると思っている。でも言葉自体はとても不確かな存在で、自由に伝えたいことを伝えたいように伝えることが実は結構難しい。 例えば「悲しい」という単語。悲しいシチュエーションは星の数ほどあるのに、その全てを「悲しい」とたった一言で表せてしまう。 それはつまり朝目覚めたら愛犬のペムが亡くなっていた時も、ポケモンのガチャガチャでルージュラが3連続で出た時も、好きだった女の子が友達と付き合い始めた時も、その全てが「悲しい」で表現

          プログラマーにはなれなかったけれど

          IT業界にいるんだからプログラミングの1つや2つ打てなくてはならないという脅迫観念のようなものが自分の中にしばらくの間あった。関西弁が喋れないのに大阪生まれ、みたいな割とどうでもよい、しかし本人にとっては意外と根深いコンプレックスのようなものだと思ってもらえれば大体それで合っている。 もちろんITに携わる人全てがプログラマーではないし、プログラミングができる必要もないんだけど、一回こうと思い込むと居ても立ってもいられなくなってしまう自分の性格が災いして、プログラマーになろう

          プログラマーにはなれなかったけれど

          無責任でいられること

          随分と昔から鈴木敏夫のジブリ汗まみれというラジオのpodcast版を聞いている。もうだいたい全部聞いてしまって、ラジオ音源なのになぜかDVDになっているやつも購入し、今は昔聞いた話を適当に選んでたまに聞く。 面白いのはいつ自分が聞いたかで同じ話なのに印象が違うこと。そういう時に、話を聞くと言うのは、だから多分に自分の状態を反映するものなのだと実感したりする。 鈴木さんはスタジオジブリのプロデューサーで宮崎駿と高畑勲の2人とずっと昔から映画を作っている。でもだからといってこ

          海と毒薬 遠藤周作

          ボランティアとして、途上国の小学校でパソコンの先生をしばらくやっていたことがある。海に面した灼熱の特に何もない街で、のんびりと現地の子ども達と遊んだり笑ったり、たまに怒ったりもしながらパソコンを教えていた。 こういう話を人にすると大体「良いことをしたね」というような反応が返ってくることになる。それはもちろん嬉しい。 でも僕自身は僕の心の中に根ざしているものが何か知っている。だから自分の中では「良いことをした」という実感をあまり持つことができないでいる。正直に話せば、ボラン

          サービス化する社会

          サービスと言われるとディズニーランドみたいなサービス業がまず思い浮かんでしまうから、SaaS(Software as a Service)という言葉の意味が初めのうちはよく分からなかった。ソフトウェアとサービスが僕の中ではどうしても交わってくれない。だからとりあえずクラウド上で動くものは全てas a Serviceと乱暴に自分の中で整理してそれ以上考えないことにしていた。 でもそれからしばらくしてMaaS(Mobility as a Service)という言葉が存在し、しか

          意味が宿るとき

          ホルンという金管楽器を学生の時にずっと吹いていた。プロになりたいと真剣に練習していた時期もあった。結局音楽家への道は選ばなかったし選べなかったけれど、大学を卒業するまではずっとホルンを吹いていた。中学生のときに始めたからその期間は10年ほどになる。 でも大学を卒業するときにすっぱりとやめた。不思議とあまり未練のようなものはなかった。ただ少しだけ寂しくて、ぷかぷかと浮かぶ寄る辺のない木片になってしまったようなそんな不安が残った。 自分の楽器を手放したときに、それは同じ楽団の

          デザインの輪郭 深澤直人

          読みたいと思ってパッと買ってしまう本と「とりあえず今はいいや。読みたいけれど。」みたいな感じでほうっておく本がある。その線引きは自分でもよくわからない。ただそうやってすぐに買わなかった本を何かのタイミングでふと思い出して手にとると、まさに読みたい内容だったりする。不思議だけど、なんだかちょっと嬉しい。 だから僕は「読みたいけれど今じゃない」という感覚をけっこう大事にしている。冬眠前のリスがたくさんのどんぐりを土の中に埋めるように、僕はたくさんの本を頭の隅にそっと置いておく。

          卒業式や入学式が無くなることについて思うこと

          僕は2011年3月に高校を卒業した。卒業間際は高校生活に思いを馳せたり、新しく始まる大学生活にわくわくしたり、いろんな感情が入り混じってはいたけれど、それは概ねとてもポジティブで色鮮やかなものだったと思う。そう、3月11日までは。 その日を境に世の中は一変し、心の中のあの鮮やかな感情達は徐々に色あせて、そして最後にはみな同じグレーになった。卒業式はあったけれど、それは卒業する3年生とその両親だけが参加する寂しいものだったし、大学の入学式はなくなり、さらに授業開始が1ヶ月伸び

          卒業式や入学式が無くなることについて思うこと

          インターネットと良き隣人に

          物理的に人に会いづらい今、インターネットがいろんな意味でこれまで以上に社会を支えてくれている。テレワークでのweb会議、SNSでの注意歓喜、さらには退屈せずに休日を家で過ごすためのYoutubeまで、インターネットは僕らの生命線となりつつある。 でも、みんながインターネットを今まで以上に利用することになったが故に、インターネットに大きな負荷がかかり始めている。欧州ではすでにNetflixやYoutubeなどが動画の質を落として配信することでこの負荷を軽減する取り組みを始めた

          彼女はいつも暖かい

          こんな時だからなんでもない話(創作)をショートショート風に。少しでも不安を忘れられるような時間を作ることができれば幸いです。 朝目覚めるといつも彼女は僕に巻き付くように寝ている。完全に抱き枕状態だ。最近少しだけ太ってしまった彼女の少しむくんだ、でもとても幸せそうな寝顔を見つめていると不思議と微笑んでしまう。 今年の冬はいつもよりは暖かかったけれど、それでも気温がマイナス近くになることもあったし、なんだかんだ言っても寒い。そういえば、少し前に出会った友人は寒い寒いと言いなが

          ファイナンスをめぐる冒険①

          5年後の100万円と今の100万円だったら今の受け取れる方がどちらかといえば嬉しい。でも5年後の100万円と今の80万円だったらどうだろう。明日の生活にすら困っているとか、今どうしても欲しいものがあるとかそういうことじゃなければ、5年後の100万円も悪くはない。だって20万円も増えたらそれだけでMacBookProが買えるんだから。(今僕はMacBookProが欲しくて仕方がない) なんでこんな話を始めたかといえば、それは今回はこの5年後の100万円と今の80万円が同じ価値