模擬裁判~人間が見えてくる魅力
(図:模擬裁判で使ったグッズと原稿)
オンライン高校生模擬裁判選手権実行委員会を主宰する大学教員(国語科教育)の札埜(ふだの)和男です。我々にとって当たり前の「模擬裁判」ということばですが、まだ一般的には認知されていないように思いますので、少し説明をしておきましょう。
模擬裁判とは生徒(ここでは高校生)が裁判官・検察官・弁護士・被告人・証人等に分かれて、既にあるシナリオに沿って、あるいは書き換えながら(場合によっては自分たちで創りながら)、最後は教室に実際の法廷を再現し判決を下すという文字通り本物の裁判を真似て行う授業です。筆者の分類によると、シナリオ通りに行う「即席型」、元あるシナリオを書き換える「改変型」、司法修習生同様に1からシナリオを創る「創作型」の3パターンのやり方があります。授業のオファーで行うのが「即席型」「改変型」で、選手権で行うのは「創作型」になります。
筆者が模擬裁判を知る契機になったのは、ある民間教育サークルが2002年6月1日に実施した「模擬法廷」に参加したことに遡ります。「ディベートとの違いは何か」と企画した教員に尋ねると「人間が見えてくる」という言葉が返ってきました。その言葉は筆者の心を瞬く間に捉えました。その言葉に取り憑かれ継続して模擬裁判の実践&研究に打ち込んできたわけです。国語は「人間」を考える教科ですよね。そういう点で「模擬裁判」と「国語」は繋がるわけです。
具体的に教材をひとつ紹介しましょう。たとえば「乙姫裁判」。「浦島太郎」に出てくる乙姫を傷害罪で告訴するという裁判です。(今回はここまで。続く)