「和男さん」の忘れられないことば
実行委員会を運営、主宰する大学教員の札埜和男です。私は高校教員だった2002年から、国語の授業で模擬裁判を実践してきましたが、模擬裁判のイロハもわからない私に、基本を教えて下さった方は、同じ「和男」という名前の大阪の弁護士さんでした。和男弁護士は、いろいろと苦労を重ねて弁護士になられた方で、本当に優しい、とりわけ生徒に優しい方でした。和男弁護士からはたくさんのことを学びました。教員ではないですが、恐らく当時日本で一番学校現場で授業された弁護士さんだったと思います。
和男さん弁護士の忘れられないことばを記しておきます。
○教師は生徒を馬鹿にし過ぎです。教師の模擬裁判を一度指導しましたが、もう二度としたくないと思いました。発想が固くて全然面白くない。高校生の方が発想が豊かで、ずっと優秀です。
○生徒から出てくる疑問は全て教材になります。出てくる疑問に教師はいちいち答える必要はありません。教師は何でも教え込もうとする。もっと生徒を信じないとだめです。
○模擬裁判では教師も生徒も同じ素人です。同じ地平に立っています。だから、同じように一緒に悩んで考えていけばいいんです。
模擬裁判に取り組むようになってから、わからないことは同じ人間として、生徒と一緒に悩み考えたらいいんだ、と素直に思え、肩の力が抜けて授業をするようになった気がします。新年度から高校では「総合的な探究の時間」が本格実施となり、現場での悩みが尽きないようですが、和男先生が教えて下さったことは、教師が「探究」の授業にどんな姿勢で向き合うか、示唆を与えてくれます。同時に「探究」以前に、学ぶことや教育の本質に迫ることばではないかと思います。
最近「総合的な探究の時間」で先進的な取組みをしている学校の授業を見学したり、教員仲間と近々「探究」本を出版する予定もあり、和男先生のことを思い出した次第です。