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森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その7 最終回・まとめ

「きつねのはなし」に関する考察や仮説の話は今回が最後です。このような形でまとめることで、私のモヤモヤは薄まったと思います。自分で作った話で物語を勝手に補強して納得してしまっているので、原作をのままを楽しみたい方には”ナニヲカッテニ!”と怒られそうですが、これは私なりの作品の楽しみ方なのであります。

注意:これより下には小説「きつねのはなし」のネタバレがあります。

今回の考察では、まず地理・時間軸を整理した後、重要な水神・ケモノについて定義して、話から引き出せる考察をいくつかまとめました。

定義1 水神:樋口直次郎が1887年頃発見・封印した存在。この封印は100年後に解かれる
定義2 ケモノ:京都に出没する胴の長い化け物
考察1:先輩は人々を繋ぐ不思議な糸に敏感に反応するようになり、そこからホラ話を描いていた。やがて糸に囚われて実際の記憶と糸の音との区別ができなくなっていく
考察2:先生は夏尾を殺害。秋月と西田兄は少なくとも重傷を負う
考察3:花江が祖父の妻となった翌年、茂雄が事故(風呂で溺れる?)あるいは水神の怒りで死にそうになる。それを救うため、花江は自らを水神に捧げた

そして、4つの物語を繋ぐための補完的な物語を仮定というか妄想して、仮説をまとめました。ヒントは先輩からいただいて、水神を巡る龍と狐の争いが隠されたストーリーだった、としました。

仮説1:ケモノは水神の力の化身で、複数の個体が存在する
仮説2:この作品は、水神を封印した人間、それを開放したい龍、それを取り込みたい狐、の3グループの争いの物語である
仮説3:大宴会とは、樋口家、龍、狐の間の話し合い。樋口家がイニシアティブをとり、龍と狐に水神を競わせた
仮説4:大宴会に先んじる会合が、直次郎が水神を発見・封印した直後に行われた
仮説5:天城さんとナツメさんはある種のゲームで競っていた
仮説6:「魔」のケモノは曾祖父の大宴会の副産物
仮説7:祖父の大宴会は龍の勝利報告

最後に

何度読み返したか思い出せませんが、もともと曖昧に作品に織り込まれたつながりをはっきりさせるために半ばこじつけて仮説を導入しているので、通して丁寧に読み直すと矛盾している点が出てくるかもしれません。それを次回読み直すときの宿題として、今回の「きつねのはなし」考察をここでいったん終わりにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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