ペットを飼うにあたり知っておきたいこと
5万と1万
この数字は何だとおもいますか?
察しの良い方は既にお分かりかと思います。
2022年4月1日~2023年3月31日の1年間において
5万頭:動物愛護センター(※1)に引き取られた犬猫の頭数
1万頭:動物愛護センター(※1)に引き取られたのち殺処分された犬猫の頭数
です。
5万頭ってどのくらいかイメージわきますでしょうか?
一例を挙げると、味の素スタジアムの収容人数が5万人です。
たった1年で味の素スタジアムいっぱいの犬と猫が
あらゆる理由で動物愛護センターに引き取られたということです。
さらに、引き取られた犬と猫たちのうち、
犬:12%
猫:31%
が、悲しい事に飼い主から引き取った割合です。
昨今は動物愛護法改定の影響もあり、
殺処分は大きく減少傾向にあることは事実です。
しかし、現時点でも、何の罪もない犬や猫たちが
いかなる人間側の事情があろうが、
人間の身勝手によりこんなにも殺されている、
という事実を私たちは受け止めなければなりません。
飼い主からの引き取りの背景として、以下が挙げられます。
飼育放棄
金銭的事情
飼育者の死亡、病気
転居先で飼育不可
いかがでしょうか?
どれも犬や猫からすると、人間の勝手な都合でしかないのが一目瞭然です。
特に昨今社会問題となっているが、
医療高度化による、犬猫の高齢化です。
人間の「人生100年時代」と同様、
医療が高度化したためにペットも長生きできるようになってきました。
しかし、最後まで自分で歩き、若い時のように元気なわけではありません。
高齢になると人間と同様、
寝たきり、食事や排せつの介助、痴呆による夜泣き、
など沢山の課題が出てきます。
特に飼い主がご高齢の場合は、老々介護となってしまい、
身体的にも金銭的にもペットのケアが難しくなってしまった、
という事例が非常に増えています。
飼い主のご家族やご親族で引き取ってもらえれば良いのですが、
賃貸でペット不可や、金銭的な問題等で引き取れず、
保健所(※2)や動物愛護センターに持ち込まれる、
これが飼い主からの引き取りの一例です。
また、
コロナにより、在宅勤務が増えたことでペットブームが再燃しました。
しかし、在宅勤務からの出社回帰により、
面倒が見切れなくなった、という信じられない安易な理由で
手放すケースも増えています。
それぞれ、様々な事情や葛藤、決して安易な気持ちではない苦渋の決断である場合も多くあることは理解します。
しかし、犬や猫からすると、この世界でたった一人、
100%信頼し、愛くるしい表情や仕草を向け、
飼い主が喜んでくれることを喜びながらともに苦楽を過ごしてきた
唯一の味方である家族に、
ある日突然、見知らぬところへ連れていかれ、
そのまま置いていく家族の背中を見つめる犬や猫の気持ちを
想像してみてほしいのです。
そんな悲しい現実、人間にいかなる事情があろうとも
決して許されるべきではありません。
なので、これからペットのお迎えを検討されている方、
すでに飼われている方も含め、
以下を再度、心に問うてみて頂きたいのです。
あなたは、目の前にいる犬や猫から
”幸せを貰いたい”ではなく、
”幸せにしてあげたい”、と心から思えますか?あなたは、自分がいかなる困難に直面しようとも、
目の前のペットをあなた自身が幸せにできる・すると誓えますか?あなたは、うんちやおしっこを垂れ流し、痴呆で夜中も大声で鳴き続ける
ペットの姿をも愛おしく思い、最期まで精一杯生きる彼らのお世話を
できることが幸せと思えますか?
これを自信を持って
”できる!”
と言える方が増えれば、不幸な犬や猫を減らす事が出来ると信じています。
これからお迎えを検討されている方は特に、
これらに自信を持って大丈夫!と言えない気持ちが少しでもある場合は、
一度立ち止まってみて、解決策を見つけてからお迎えを再検討して頂けると嬉しいです。
犬や猫に限らず、人間以外の動物において、
悪い子は一人もいません!
悪い子というのは、人間の定義であり、
人間の接し方が原因であるケースがほとんどです。
この世に生まれた純真無垢な小さな命を
私たち人間が、彼らをしっかり理解し、寄り添って
一生幸せにしてあげましょう。
そう思ってくださる方が一人でも増えることを
切に願っております。
※1 動物愛護センター:
厚生労働省管轄。各都道府県に設置されており、
保健所からの受入れ後、1週間を目安に
里親募集や病気のケアなども行う。
保護期間が過ぎると殺処分をする。
※2 保健所:
厚生労働省管轄。市町村に設置されており、
引き取りと里親募集を実施。
収容期間は主に1週間程度で、その期間に新たな飼い主が
見つからない場合は動物愛護センターに送られ、
殺処分となる可能性が高い。