BRICSが多極型世界の準備完了
2024年10月29日 田中宇(たなか さかい)の国際ニュース解説
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概要
...世界経済は、米国側の既存システム(米覇権体制)と、非米側の新システムがしばらく併存する。いずれ、米政府の財政赤字急増の結果として米国側の金融バブルが大崩壊し、世界経済の中心が非米側に移っていく。
...米国は、中露を不必要に敵視制裁し、ウクライナの露系住民を殺して戦争を誘発する極悪だが自滅的な策をやり、中露BRICSが非米システムを作りたくなるように仕向けた。
米諜報界は、覇権維持派(英国系・帝国の側)と、隠れ多極派(国連P5を作ったロックフェラー系・資本の側)が騙し合って暗闘しており、多極派は覇権維持っぽい策を稚拙に過激にやって失敗させ、覇権自滅と多極化を招いてきた。
...米国債は過剰発行になり、長期金利や金相場がじりじり上がっている。これは、ドル崩壊の兆候だ。たぶん米国は、次期政権(多分トランプ)の間に金融崩壊して覇権衰退する。それで、イラク侵攻やリーマン倒産から続いてきた覇権の多極化・非米化が完成する。この流れを作ったのも隠れ多極派だ。
...BRICSは、温暖化対策をやるふりだけして、表向き優等生であり続ける(判定役のIPCCや国連は中国が握る)。BRICSは、米欧の温暖化対策が不十分だと非難し続け、米欧に石油ガス利権の追加放棄や、エネルギー利用を減らす経済自滅策を強要できる。それでも米欧経済が潰れなければ、中国主導のWHOが新たなパンデミックをでっち上げ、米欧に都市閉鎖の経済自滅策を強制する。
...日本では、選挙で自民党が負けた。しかし今回の選挙で、米覇権が衰退してBRICSが台頭し、非米化や多極化が進んでいる世界の中で日本がどうすべきかという外交安保の話は、争点にも話題にもなっていない。これが今後の日本にとって最重要なことなのに。与野党とも馬鹿みたいに中露敵視・米覇権衰退無視だ。
日本人のほとんどがマスコミ権威筋のインチキ話を軽信するだけなので、このような事態になっている。
出典:https://tanakanews.com/241029brics.htm
所感
先日のZeroHedge記事に続いて今回もBRICSサミットの話。相変わらずの田中節がおもしろい。意外に石破首相を買ってるところもある。
衆院選で私も投票した。消去法でとある政党に入れたが、本当に応援したい政党はない。安保・外交問題など、日本の将来に向けた戦略が国会でまともに議論されないのは、与党も野党もアメリカの手の上でプロレスやっているからだろう。
関連記事(ロイター)
https://www.reuters.com/world/factobox-main-points-brics-declaration-2024-10-23/
ロイター記事転載
BRICS首脳会議:カザン宣言の重要なポイント
ウクライナについて:
「我々は、すべての国が国連憲章の目的と原則を全体として、また相互に関連して遵守して行動すべきであることを強調する。我々は、対話と外交を通じて紛争の平和的解決を目指す、調停と斡旋に関する適切な提案を高く評価する。」
中東について:
「我々は、パレスチナ占領地の状況悪化と人道危機、特にガザ地区とヨルダン川西岸地区における前例のない暴力の激化に対する重大な懸念を改めて表明する。
イスラエル軍の攻撃により、民間人の大量殺戮と負傷、強制的な避難、民間インフラの広範囲にわたる破壊が引き起こされた。」
「我々は南レバノンの状況に懸念を表明する。レバノンの住宅地に対するイスラエルの攻撃によって民間人の命が失われ、民間インフラに甚大な被害が生じたことを非難し、軍事行動の即時停止を求める。」
西側諸国の制裁について:
「我々は、違法な制裁を含む違法な一方的強制措置が世界経済、国際貿易、そして持続可能な開発目標の達成に及ぼす破壊的な影響について深く懸念している。」
国際金融システムの改革について:
「我々は、国際金融構造をより包括的かつ公正なものにするために、世界経済のガバナンスを含む世界金融の課題に対応するために、現在の国際金融構造を改革する必要性を強調する。」
BRICS穀物交換について:
「我々はロシア側のイニシアチブを歓迎する
BRICS内に穀物(商品)取引プラットフォーム(BRICS穀物取引所)を設立し、その後、他の農業分野への拡大を含めて発展させること。」
BRICS越境決済システムについて:
「我々は、貿易障壁の最小化と無差別アクセスの原則に基づいて構築された、より迅速で低コスト、より効率的、透明、安全かつ包括的な国境を越えた決済手段の広範な利点を認識している。我々は、BRICS諸国とその貿易相手国間の金融取引における現地通貨の使用を歓迎する。」
BRICS CLEAR 保管所について:
「我々は、既存の金融市場インフラを補完するイニシアチブである独立した国境を越えた決済および預託インフラ、BRICS Clearの設立の実現可能性、およびBRICSを含むBRICSの独立した再保険能力について議論し、検討することに合意した。
金融イノベーションについて:
「我々は、現地通貨での受け入れ可能な資金調達メカニズムの発見を含む、プロジェクトやプログラムのための革新的な金融慣行とアプローチの促進と拡大に焦点を当てたBRICS銀行間協力メカニズム(ICM)を歓迎する。」
IMFについて:
「我々は、クォータ制に基づき十分な資金を有するIMFを中心とする強力かつ効果的な国際金融セーフティネットを維持するというコミットメントを再確認する。」
G20について:
「我々は、結果重視の成果に重点を置いた合意に基づき、G20が継続的かつ生産的に機能することの重要性を認識している。」
将来のパンデミックの予防について:
「我々はBRICS研究開発ワクチンセンターの取り組み、大規模な感染症リスクを防ぐためのBRICS統合早期警戒システムのさらなる開発を支持する。」
大型ネコ科動物について:
「希少種を保護するための各国の努力を評価し、大型ネコ科動物の大きな脆弱性を認識するとともに、国際大型ネコ科動物同盟を創設するというインド共和国の取り組みに留意し、BRICS諸国が協力して大型ネコ科動物の保護にさらに貢献するよう奨励する。」
...世界経済は、米国側の既存システム(米覇権体制)と、非米側の新システムがしばらく併存する。いずれ、米政府の財政赤字急増の結果として米国側の金融バブルが大崩壊し、世界経済の中心が非米側に移っていく。
...米国は、中露を不必要に敵視制裁し、ウクライナの露系住民を殺して戦争を誘発する極悪だが自滅的な策をやり、中露BRICSが非米システムを作りたくなるように仕向けた。
米諜報界は、覇権維持派(英国系・帝国の側)と、隠れ多極派(国連P5を作ったロックフェラー系・資本の側)が騙し合って暗闘しており、多極派は覇権維持っぽい策を稚拙に過激にやって失敗させ、覇権自滅と多極化を招いてきた。
...米国債は過剰発行になり、長期金利や金相場がじりじり上がっている。これは、ドル崩壊の兆候だ。たぶん米国は、次期政権(多分トランプ)の間に金融崩壊して覇権衰退する。それで、イラク侵攻やリーマン倒産から続いてきた覇権の多極化・非米化が完成する。この流れを作ったのも隠れ多極派だ。
...BRICSは、温暖化対策をやるふりだけして、表向き優等生であり続ける(判定役のIPCCや国連は中国が握る)。BRICSは、米欧の温暖化対策が不十分だと非難し続け、米欧に石油ガス利権の追加放棄や、エネルギー利用を減らす経済自滅策を強要できる。それでも米欧経済が潰れなければ、中国主導のWHOが新たなパンデミックをでっち上げ、米欧に都市閉鎖の経済自滅策を強制する。
...日本では、選挙で自民党が負けた。しかし今回の選挙で、米覇権が衰退してBRICSが台頭し、非米化や多極化が進んでいる世界の中で日本がどうすべきかという外交安保の話は、争点にも話題にもなっていない。これが今後の日本にとって最重要なことなのに。与野党とも馬鹿みたいに中露敵視・米覇権衰退無視だ。
日本人のほとんどがマスコミ権威筋のインチキ話を軽信するだけなので、このような事態になっている。
出典:https://tanakanews.com/241029brics.htm
所感
先日のZeroHedge記事に続いて今回もBRICSサミットの話。相変わらずの田中節がおもしろい。意外に石破首相を買ってるところもある。
衆院選で私も投票した。消去法でとある政党に入れたが、本当に応援したい政党はない。安保・外交問題など、日本の将来に向けた戦略が国会でまともに議論されないのは、与党も野党もアメリカの手の上でプロレスやっているからだろう。
関連記事(ロイター)
https://www.reuters.com/world/factobox-main-points-brics-declaration-2024-10-23/
ロイター記事転載
BRICS首脳会議:カザン宣言の重要なポイント
ウクライナについて:
「我々は、すべての国が国連憲章の目的と原則を全体として、また相互に関連して遵守して行動すべきであることを強調する。我々は、対話と外交を通じて紛争の平和的解決を目指す、調停と斡旋に関する適切な提案を高く評価する。」
中東について:
「我々は、パレスチナ占領地の状況悪化と人道危機、特にガザ地区とヨルダン川西岸地区における前例のない暴力の激化に対する重大な懸念を改めて表明する。
イスラエル軍の攻撃により、民間人の大量殺戮と負傷、強制的な避難、民間インフラの広範囲にわたる破壊が引き起こされた。」
「我々は南レバノンの状況に懸念を表明する。レバノンの住宅地に対するイスラエルの攻撃によって民間人の命が失われ、民間インフラに甚大な被害が生じたことを非難し、軍事行動の即時停止を求める。」
西側諸国の制裁について:
「我々は、違法な制裁を含む違法な一方的強制措置が世界経済、国際貿易、そして持続可能な開発目標の達成に及ぼす破壊的な影響について深く懸念している。」
国際金融システムの改革について:
「我々は、国際金融構造をより包括的かつ公正なものにするために、世界経済のガバナンスを含む世界金融の課題に対応するために、現在の国際金融構造を改革する必要性を強調する。」
BRICS穀物交換について:
「我々はロシア側のイニシアチブを歓迎する
BRICS内に穀物(商品)取引プラットフォーム(BRICS穀物取引所)を設立し、その後、他の農業分野への拡大を含めて発展させること。」
BRICS越境決済システムについて:
「我々は、貿易障壁の最小化と無差別アクセスの原則に基づいて構築された、より迅速で低コスト、より効率的、透明、安全かつ包括的な国境を越えた決済手段の広範な利点を認識している。我々は、BRICS諸国とその貿易相手国間の金融取引における現地通貨の使用を歓迎する。」
BRICS CLEAR 保管所について:
「我々は、既存の金融市場インフラを補完するイニシアチブである独立した国境を越えた決済および預託インフラ、BRICS Clearの設立の実現可能性、およびBRICSを含むBRICSの独立した再保険能力について議論し、検討することに合意した。
金融イノベーションについて:
「我々は、現地通貨での受け入れ可能な資金調達メカニズムの発見を含む、プロジェクトやプログラムのための革新的な金融慣行とアプローチの促進と拡大に焦点を当てたBRICS銀行間協力メカニズム(ICM)を歓迎する。」
IMFについて:
「我々は、クォータ制に基づき十分な資金を有するIMFを中心とする強力かつ効果的な国際金融セーフティネットを維持するというコミットメントを再確認する。」
G20について:
「我々は、結果重視の成果に重点を置いた合意に基づき、G20が継続的かつ生産的に機能することの重要性を認識している。」
将来のパンデミックの予防について:
「我々はBRICS研究開発ワクチンセンターの取り組み、大規模な感染症リスクを防ぐためのBRICS統合早期警戒システムのさらなる開発を支持する。」
大型ネコ科動物について:
「希少種を保護するための各国の努力を評価し、大型ネコ科動物の大きな脆弱性を認識するとともに、国際大型ネコ科動物同盟を創設するというインド共和国の取り組みに留意し、BRICS諸国が協力して大型ネコ科動物の保護にさらに貢献するよう奨励する。」