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手帖(初恋を思い出す)

誕生日。あれから何年?母が私を産んだ歳も追い抜いた、私は今、フリーターをしている。
思えば長すぎる学生時代を過ごした。小学生と同じ年数大学に通った。で、辞めた。小学校は3年生の時に転校した。だから、3年以上同じ場所に通い続けたことがない。10月生まれはよく、クリスマスベイビーだと言われる。とつきとおか。愛された女。すこし調子に乗っている。
はじめて人と付き合ったのは23歳の頃だった。
正しくは22歳。はじめての恋愛は3ヶ月だった。マッチングアプリ以外の出会いで人と付き合ったことがない。恋愛や、恋愛を前提としない出会いに興味がなかった。人の弱さを許せなかった。
彼は、1個上の大学院生だった。金沢に住み、福井県の嶺南に実家を持つ人だった。当時、銭湯のキッチンでアルバイトをしていた。なぜかそのことだけはとても覚えている。
どこが好きかと言われたら、中身、だった
私が居ない間でも、私のことを思い出してくれるところ、がすきだった。同年代とする、恋愛の感情がくれる世界は当時の私にはとても刺激的だった。すぐに病みつきになった。甘くて強い刺激に触発されて彼を試した。人に愛され続けること、はじめて感じた不安感情だった。それで捨てられた。
初めからそんなに、好きじゃなかった、という言葉をもらった。
それと同時に、彼がくれた言葉の温かさや好きなもの全部同じ気がするな、というなんとも青くさい男の子の言葉の抽象性を手土産に、わたしは今まで生きてきた。付き合った期間じゃなく、一番好きだった。
振られてからの半年間は、正直辛かったし、
お別れした後はしあわせだったことも全部嘘になる気がするので、あんまり思い出さないようにしている。
はじめて他人と、触れるだけのキスをして、自分の女性を知った。
えっちなことをしてもいいし、求めることを求められていることも知った。
私の人生レベルが格段に上がった。
人と長く付き合うことは一種のスキルだと思う。私にはできない、とすらおもう
30歳になった時、私の周りには誰がいるのか。
一つの目標ではある、フリーターの私が、30歳になること、みんなで生き抜けたら、と思う
彼は今、どうしているだろうか。
わたしのことを、少しは思い出すのだろうか。

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