中国系マッサージ店最強説

たくさん働いた週末や、長期のお休みの最終日、私はよくマッサージへ行く。

しっかりした整体で歪みを正してもらうのも、アロマ香る空間でゆったりリラックスしながら施術を受けるのもどちらも大好きだ。

いつかの金曜日、その週は本当に忙しくて、精神もすり減らしており、私はどうしてもマッサージへ行って自分を解放したかった。

第一候補の整体のお店は予約が満員、リラクゼーションのためにいつも行くところもその日はあいにく満員。

ただ、どうしても私はマッサージを受けたい。
このまま帰って眠ることは出来ない。

スマホで周辺のマッサージ屋さんを検索し、当日空きのあるところを探しまくった。

一ヶ所、予約がガラガラな割に、サイトの写真がおしゃれで女子が一人でふらっと行っても大丈夫そうな雰囲気のお店を発見。しかも値段もちょっと安い。

多少不安があるが、迷っている時間はない。早く癒しが欲しい。ピピっと予約をして1時間後にお店へ向かう。

そのお店は雑居ビルの5階に入っていて、1階に置いてある看板がまるで雀荘のようなややいかがわしいデザイン。

心がちょっとざわついたたが、もう後には引けない。エレベーターに乗り込む。

引き戸を開けると「ラッシャイマセー。スリッパドーゾー」という女性の声。

中には5人ほど従業員の方がいたが、全員中国人の女性だった。

おお、そういうことか!
(ネット上の情報では分からなかったが、店構えや看板の雰囲気に感じた違和感の答えを直感的に感じた)

ここからは、私がこの中国人オンリーマッサージ店を愛してやまない理由をご紹介する。

①スピード感
入店→先にお会計→着替え→施術開始
この流れがものの5分で終わる。特に「キガエコレドーゾー」でカーテンをシャッと閉められてから、「ダイジョウブ?(終わったか?)」の確認にくる速度がげきはや。

②会話は至極シンプル
指圧はうつ伏せから始まるのだが、施術を始めてすぐ「モウチョットシタ」と言われた。
あぁはいはいと思って下にずれながら、ふと思った。

これがいつものお店だったらきっと「〇〇さん(親しみを込めて名前で)、もう少し位置を下に下がっていただけますか?すみません、ありがとうございます〜」になる。

それはそれで上質サービスなのだが、「モウチョットシタ」のなんと簡潔で無駄のないこと。

しかも全然高圧的ではない。
命令ではなく、最適な位置を教えてくれるための「モウチョットシタ☺️」だ。基本的に言葉の語尾にはニコちゃんがつく。

③ちょっと雑
髪が長いので、いつもうつ伏せになるときは邪魔にならないように一つに縛る。
今回もしばっていたのだが、チョットシタにさがったあと、おもむろに私の髪ゴムをそーっとひっぱり髪をほどく。

「カミダイジョウブ☺️」
そして、ヘアゴムをそーっと私の右手に戻す。

これはジャパニーズ企業だと、あまり遭遇しえないシチュエーションなので、結構おもしろかった。おもしろポイント、プラス5点。

④スタッフ同士の会話が全然気にならない
顧客ごとのスペースはカーテンで仕切られているだけなので、スタッフ同士がよく色んな指示を飛ばしあっている。

これがもしいつものお店で起きていたら、「さっきのタオル洗濯回しといて〜」とかは裏で言ってほしいな〜って思ってしまう気がするが、中国語だから何一つ内容がわからない。

それがまたよい。ただのBGMになる。

⑤距離感が近い
店員とお客さんという関係性ではあるが、人間対人間として接してくる感じがある。

今日担当してくれたお姉さんは私が足ツボで痛がる姿を見て「カワイイネ、カワイイネ」と言っていた。

初対面ながら、ちょっと仲良くなれる。

施術が終わると、着替えて帰宅するのだが、出口まで見送りに来てくれる。

そこでもまだ「クツドレ?カワイイネ〜」と言ってくれるので、「また来ますね」「アリガトゴザイマス、オマチシテマス☺️」というやり取りをして店を出る。

はぁ今日も解放されたな〜と満足して一歩外に出て、エレベーターに向かおうとした瞬間、背後でバタンッッと勢いよく戸が閉められた。

あんなに友好的な別れの挨拶をしたわずか3秒後、圧倒的スピード感で、彼女は次のお客さんをお迎えする準備を始めた。

うん、悪くない。

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