見出し画像

南のメイドがくれたもの 〜可蕾二周年パーティーの記録〜

2019年11月10日。私は台湾・台北にあるメイドカフェ、可蕾仙朵女僕咖啡館(Crescendo)の店先にいた。

まだお店は準備中だというのに、お店の前はご主人様・お嬢様方で溢れかえっている。もちろん私もその群衆の中の一人だ。外から見える店内では、二周年を機に一新したカラフルな新衣装を身に纏ったメイドさん達が忙しそうに準備を進めている。

そう、今日は待ちに待った可蕾の二周年パーティーなのだ。

時は遡り――

2019年10月某日。可蕾のFacebookのページでそれは知らされた。

スクリーンショット 2019-11-10 21.57.27

可蕾といえば、初ご帰宅当時中国語が全くわからなかった私にメイドさんのえみりが良くしてくれたことから縁が始まり、台湾を訪れる度にご帰宅しているメイドカフェ。えみり、Miruちゃん、Maiちゃん、Maoちゃんをはじめ、大好きなメイドさん達がお給仕しているお店であり、既に私にとって大切な場所でもある。

可蕾のいちファンとして、パーティーへの参加を迷う理由はない。数分後には1泊2日の往復チケットを手にし、それ以降パーティーを楽しみに仕事に精を出す日々が続いた。

2ヶ月半ぶり 今年7回目の訪台

LCCの早朝便に揺られ、2ヶ月半ぶりに台湾の地に降り立つ。久しぶりの台湾は既に涼しく、2ヶ月半という時間の重みを感じる。いつもと変わらぬ台北MRTの決済音と八角の香りが心地よい。

パーティー当日の朝。西門町のいつもの小吃店で魯肉飯と貢丸湯を貪る。

画像2

大好きな食べ物でお腹を満たした後は、いつもの美容院でいつもの美容師さんにシャンプーをしてもらう。台湾のシャンプーは非常に安価で、しっかりとブローもしれくれるのでおすすめだ。

綺麗にヘアセットをしてもらい、向かう先は……可蕾だ!

いよいよパーティーの幕開け

11月10日 午後6時。いよいよパーティーの幕が開ける。

この手のパーティーでは、メイドさんによるミニライブを中心に進行するのが可蕾式。小さいステージ、自前の音響。メイドさんのメイドさんによる、ご主人様・お嬢様方のための手作りのパーティーだ。

ミニライブのトップバッターはMiruちゃん、Maiちゃん、yomiyaさんの三人組。メイドカフェ界隈ではお馴染みの『あいこめ♡フォーエバー』でご主人様・お嬢様をお出迎え。

その後も続々とライブは続き、えみりの披露する『恋愛サーキュレーション』で観客のボルテージは一気に上がる。

私も曲中で叫んだり背面ケチャをしたり、上から友人のオタクが降ってきたり(!?)と自然と身体が動いてしまう。

なんと楽しい時間なのだろうか……!

この時がとまるといいな

楽しい時間はあっという間。パーティーの終わりが刻一刻と近づいてくる。

最後はMiruちゃん、Maiちゃん、yomiyaさんの三人組が再登場。BiSHの『プロミスザスター』など数曲を披露し、観客のボルテージは頂点に。ラストはMiruちゃんの大好きなCY8ERの『コクハクワープ』で締め括る。

「この時がとまるといいなーー」

店内のメイドさん、ご主人様、お嬢様の気持ちが一つになった瞬間だった。

そしてパーティーは幕引き

終演後、ステージ上のMiruちゃんが集まったご主人様・お嬢様方に挨拶。ここでMiruちゃんが心情を吐露する。

Miruちゃんとyomiyaさんの二人を中心に、9月から準備を進めてきたこと。
二周年記念グッズの制作など、たくさん準備をしてきたこと。
何度も投げ出したくなったこと。卒業したくなった日も何度もあったこと。
でもこんなに沢山の人が来てくれて本当に嬉しい!ということ。

そう言ったそばから泣き出し、顔を涙でくしゃくしゃにしながら感謝の気持ちを伝えてくれたMiruちゃん。

「来年も絶対来てね?」

……あぁ、本当にこのまま時が止まってしまえばいいのに。

画像5

魔法は解ける

時間はあっという間に過ぎ去り、TAKEOFFの足音が聞こえてくる。私は今回のパーティーの功労者であり、推しの一人でもあるMiruちゃんと店先で抱き合い、拙い言葉で感謝と感動の気持ちを伝えた後、チェキを撮る暇もなく足早に松山新店線に駆け込む。

そして乗り込んだ電車の中で息を整え、パーティーでの出来事を振り返る。
8泊9日だった前回の訪問にも決して劣らない、綺麗な思い出が蘇る。

気がつけば私の頬を大粒の涙が伝っていた。

大好きな人達にまた会えなくなる寂しさなのか、魔法が解けた悲しみなのか。あるいは国境を超えて気持ちが通じ合ったことへの感動なのか。

涙の理由を確かめるため、私はまたここに戻ってくるだろう。

画像4

南のメイドがくれたもの

台湾のメイドさん達と交流する日々が始まり、しばらく経つ。生まれて始めての「母国以外の人々との濃厚接触」という体験は、私に沢山のことを教えてくれた。

国は違えど、同じアニメやアイドルが好きな人がたくさんいること。
同じものを見て、同じように楽しんだり、感動したりできること。
相手の言語や文化を理解することが、とても大切なことだということ。
生まれ育った国に区別はあれども、差別はないこと。
どんなに拙い言葉でも、気持ちが通じ合うこと。

台湾での体験は、私の中に少しだけ残っていた偏見の感情を限りなくゼロに近づけてくれた。そして、言語を学び、自分の言葉を現地の言葉で伝えるための原動力と勇気をくれた。

(蛇足だが、台湾との関わりを通して自らのルーツが台湾にあるという事実を知ることができた。これについても、台湾のメイドさん達がくれたものだと言っても過言ではない。)

もちろん国と国の関係でいえば、日本と台湾の関係に限らず、まだまだ解決しなければならない課題は多い。しかし個人と個人の関係でいえば、国境など問題にならないのではないかと私は考える。皆一様に人なのだ。

台湾のメイドさんがくれた沢山のもの。私はそれらを大切にし、時には形にして発信しながら、これから先も生きていきたいと思う。

スクリーンショット 2019-11-13 1.43.09

もし記事が参考になったと感じていただけましたら、ご支援をお願いします。「スキ」だけでも構いません。次の執筆のためのモチベーションに繋がります!