シャッツキステ閉館に寄せて 最後の開館日と記録と追憶
シャッツキステが閉館(閉店)した。
正直、まだ信じることができずにいる。信じたくない。明日も館内には美味しい紅茶と焼きたてのスコーンの香りが漂い、旅人さまが談笑する傍らでメイドさんは編み物に勤しんでいるのではないか。扉の張り紙を見ても尚、そう想像せずにはいられない程、シャッツキステは私の日常に溶け込んでいたし、文字通り生活に寄り添ってくれていた。
数日経っても尚、今この瞬間もつらくて、寂しくて、悲しくて、悔しくてたまらない。シャッツキステが閉館してから酒量が増えたし、どうしたわけか食欲もない。シャッツキステに対しては感謝の気持ちでいっぱいだが、今はまだつらい気持ちの方が勝ってしまう。この文章を書いている今も涙で前が見えなくなりそうだ。
「まだまだシャッツ楽しみましょう!」8月末にもらったポイントにはそう添えられていた。そのメッセージを読んで、まだまだ、まだまだなのだと自分に言い聞かせていた。それからあっという間に2ヶ月が経ち、11月になった。
11月8日、閉館の1週間前、シャッツキステに行った。この日もらったポイントにも「まだまだシャッツ頑張りましょう!」と添えられていたが、「まだまだ」という言葉にはどのような思いが込められていたのだろうか。
そして11月15日。幸いなことに私は最後の開館日にご招待いただくことができた。私とシャッツキステの関係はたった3年間と短い期間だったが、それでもシャッツキステを3年間愛し続け、シャッツキステ第2章の最後を見届けたいち旅人として、伝えておかなければならないことがある。そのような使命感に駆られ、筆を執ることにした。いち旅人としてシャッツキステの魅力を伝えたいと強く思うし、いちお嬢様として、シャッツキステという場所が存在したという事実を語り継がなければならないと思うからだ。
だが、いくら筆を進めようとしても上手くいかなかった。気持ちの整理ができていない今、シャッツキステでの大切な思い出を消化し、言語化することはあまりにも難しい。
それでも、どうしても今伝えたいことがある。私は最後の開館日の出来事について、シャッツキステでの数々の思い出を添えながらツイキャスで語ることにした。以下はそのツイキャス配信を文字起こししたものである。いささか読みづらい部分はあると思うが、シャッツキステ第2章がどのように終わりを迎えたのか。その欠片を感じていただければ幸いである。
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一体どこから話せばいいやらですが、一人で話すというのは緊張しますね。私はどういう人間かといいますと、ただのメイドカフェオタクなんですけれども、秋葉原にあったシャッツキステというお店に通っていました。通っていたとはいっても、実際通っていた期間は3年間ぐらいですね。屋根裏から来ていた旅人さまとか、本当に毎日来ていた旅人さまもいるので、そういう方々と比べたら思い入れは深くないのかもしれないとは思うんですけど、そうは言っても3年間ぐらいにわたってシャッツキステは大好きな場所でした。
そんなシャッツキステが先週の日曜日に閉館するということになりまして、通っていたお店だったので、正直すごくつらいです。つらいんですよ。めちゃくちゃつらくて、この瞬間もどうしたらいいかわからないという感じです。何がつらいのかというと、大切な場所がなくなったのがつらい、寂しいというのが一つ。シャッツキステそのものが好きだったので、シャッツキステという場所がなくなっちゃったことがまず寂しい、悲しい、つらい。
それだけじゃなくて、メイドカフェオタクの私から見ても、シャッツキステって秋葉原になきゃいけない場所だったんですよね。本当に長年秋葉原を見ている方からすれば私なんてまだまだ通い始めって感じなんですけど、僭越ながらお話しさせていただくと、秋葉原ってシャッツキステみたいメイドカフェがたくさんあるわけではなくて、最近はガールズバーみたいなお店が増えてきてるんですよね。そのこと自体を否定しようとは思わないんですけど、やっぱり、古き良きという表現が正しいかはわかりませんが、コンセプトが本当にちゃんと色々な人に理解されて、共有されて、コンセプトが本当に世界を作っちゃったみたいな、そういう場所がシャッツキステだと思っているんですよね。そんなシャッツキステがなくなるっていうことは、コンセプトをコンセプトではなく、世界観を作るというところまで繋げていったような、そういった場所がなくなってしまうということなので、秋葉原が失われていくようで、寂しく思っています。
シャッツキステがなくなって、なんだろう、悲しい、めちゃくちゃ悲しいし、つらいし、寂しいんですけど、それと同時に悔しいんですよね。私は秋葉原やメイドカフェやメイドさんの文化が大好きで秋葉原に住んでるんですけど、私の好きな秋葉原の一部だったんですよ、シャッツキステって。例えば同僚とか友達とかにメイドカフェおすすめどこ?とかメイドカフェってぶっちゃけどうなの?とか聞かれることがあるんですけど、そんな時に「おれたちの好きなメイドカフェはこれだ!」みたいな、そういう位置づけで名前を出していたのがシャッツキステなんですよね。だから、シャッツキステの経営に関わっていたわけでも何でもなくてただのいち旅人なんですけど、シャッツキステの存在が私にとって自慢だったんですよね。シャッツキステがあるんだぞ!というのが誇りだったし、自慢だったし、「私の好きな秋葉原はこれ!」というのがシャッツキステだったなぁと。
私の中で、メイドさんとかメイド文化といえばシャッツキステという感じで。私の自慢なんですよね。なんだろうな、同僚にも秋葉原のこととかメイドカフェのこととか平気で話してしまっているんですけど、必ず出す話題の一つがシャッツキステなんですよね。シャッツキステについてどんな語り方をしているかというと、とにかく素敵な場所だということを伝えていたかな。「もえもえきゅん」のような一般的なメディアのイメージのメイドカフェとは違って、メイドさんが館内でスコーンを焼いていて、美味しいスコーンの香りが漂っていて、メイドさんは気持ちに寄り添ってくれるというか、仕えてくれるというか、そういう場所で、行く目的としても可愛いメイドさんを見たいとかじゃなくて、本当に心から落ち着きに行くような場所なんだよということを伝えていたかと思います。
幸いなことに、私は最後の開館日に招待していただくことができたんですね。畏れ多かったので、本当の最後の枠じゃなくて、その一個前の枠に申し込んだんですよ。その一個前の枠でシャッツキステに最後に行けたんですけど、その日の話をしよう。その日を話をします。シャッツキステの最後の開館日にご招待いただいたということで、一週間、二週間ぐらい前から正直ずっと緊張してたんですね。「シャッツキステ第2章の最後」を見守る一人になるわけで。立会人というか、見届ける人になるわけで、すごく緊張していました。
そんな状態で11月になって、閉館まであと2週間になりました。11月の来館は2回までにしてくださいとアナウンスされていて、私は最後の開館日に招待されていたので、最後の1回が決まっていたので、11月はそれを除いたらあと1回しか行けなかったんですね。それで11月の8日にシャッツキステに行ったわけなんですけど、なんかもう館内では、思い出を形にする行為というか、チェキを撮っている旅人さまがけっこうたくさんいたんですよね。シャッツキステでチェキを撮るなんていうことは普段ないわけで、完全にみんな思い出を形にしようという行動をとっていたわけです。私も例に漏れず、周りの旅人さまと同じように、思い出を形にしてどうしてもしまっておきたくて、チェキを撮ったんですよね。大好きだったシズクさんと。そのチェキにね、なんて書いてあったと思います?「約3年間ありがとうございました!ずっとシャッツを大切に思って下さって本当に嬉しかったです」って書いてあったんですよ。私はシャッツのことを心から本当に大事に思っていたんですけど、その気持ちがちゃんと伝わっているとは思っていなかったので、驚きの感情とともに、そうなんだありがとうという気持ちが溢れてきそうになってしまって、その日はその大切な気持ちをそのまま自宅まで持って帰りたくて、どこにも寄る気になれず、まっすぐ自宅に帰ったんですよね。まっすぐ自宅に帰って、シズクさんと撮ったチェキを眺めていたら、なんだろう、泣いちゃって。大切に思ってたんだよっていうのを言葉にしては伝えてはいなかったのに、わかってくれてたんだなと。言葉にしてくれたことに驚いたし、嬉しくて、すごく温かい気持ちになったのと同時に、シャッツキステ本当に終わっちゃうんだなと実感して。そんなことを伝えてくれるのって終わっちゃうからじゃないですか。そう実感してすごく寂しくなりましたね。それが閉館の1週間前の出来事です。
それからもちろん仕事があったので、一生懸命仕事をしていたわけなんですけど、日に日に緊張感が高まってくるわけなんですよね。シャッツキステの最後を見届けないといけないし。それで当日の朝を迎えるわけなんですけど、シャッツキステの夢を見たんですよ。どんな夢だったかというと、やっぱり夢の中でもシャッツキステは最後の開館日で、これは現実とは違うんですけど、ノバラさんがいたんですよね。で、私はシャッツキステの最後の開館日に招待されているというのは同じなんですけど、入る部を間違えてめちゃくちゃ恐縮しているという、謎の内容でした。謎の夢だったんですけど、シャッツキステの夢を見ちゃったのが閉館当日ですよ。こんなにシャッツキステのことを大切に思ってたんだなとか、こんなにシャッツキステのことを考えてたんだなってすっごい思って、起き抜けから涙していました。それからベッドで寝ながらシズクさんのブログを読んで、また涙してしまいました。シズクさんのブログに何が書いてあったかというと、メイドさんと旅人さまの関係性というのはすごく特別な愛なんだよという話ですね。私はメイドオタクなので、メイドさんとご主人様・お嬢様の間に築かれる関係性というものをすごく尊く思っているんですね。なのでシズクさんがブログでああいう風に表現してくれたことにものすごく感動したし、特に一番感動したのが「メイドは旅人さまが思っているより寄り添っていますよ」という言葉で。普段メイドさんは言葉に出さないですけど、思い返すとメイドさんは一生懸命お給仕してくださっていて、行動で示してくれていたんですよね。表現が適切かわからないですけど、尊いなと思って涙したわけです。
そんな朝を過ごして、いよいよ招待されている時間が近づいてきて、身支度をしました。なんですけど、緊張しすぎちゃって、準備するのが早すぎたんですよね。準備が終わったのが早すぎて、どうしようと思って、一人でいるのもつらくて、どういう風に時間を過ごしたらいいのかわからなくて、橙幻郷に行きました。それで橙幻郷のメイドさんと「この後シャッツキステに行くんだ」という話をしていたら、もう既に感情が溢れてきてしまって、目が赤くなってしまいました。こんなことを語ってもしょうがないかな、でも最後の開館日にいち旅人がどういう風だったかを伝えることには意義があるのかなぁ。
その後、友人と待ち合わせていたのでシャッツキステに向かって友人と合流しました。その時のシャッツキステの様子なんですけど、旅人さまのマナーがいいんですよね。シャッツキステの扉の前で溜まったりせずにちゃんと散ってるんですよね。それを見て微笑ましいなと思ってしまいました。しばらく待っているとだんだん招待されている時間が近づいてきて、招待されている時間が近づいてきたということは前の部の旅人さまが出てくるということなんですよ。それで前の部の旅人さまが出てきたんですけど、メイドさんに対して「長い間ありがとうございました」と深々とお辞儀をしていてですね、旅人さま一人ひとりが、ちょっと押したら壊れちゃいそうな素敵な時間を過ごされていて、直視できなかったですね。本当にね、長い間人生の一部だったんだろうなという感じで、みんな。メイドさんにお礼を言ってるんですよね。直視できなくて目を逸らしちゃったんですけど、そんな感じで前の部の旅人さまを見送りました。
その後16時45分にメイドさんに館内に案内されたんですけど、館内に入ったら、部ごとの入れ替え制なので、館内に誰もいないわけなんですよね。どう表現したらいいかわからないですし、最終日だからというのはあるかもしれないんですけど、厳かな雰囲気だと私は感じました。それこそ結婚式のバージンロードを花嫁さんが歩く直前みたいなね、それくらいの厳かさがありました。当日は席自由だったので、奥から詰めていったというのもあるんですけど、奥の大テーブルを選びました。そこって私の大好きなキッチンのシズクさんを眺めていた席だったんですよね。そこに座りました。
続々と旅人さまが館内に入ってきて、いよいよ開始となりました。で、「紅茶は温かいものと冷たいものどちらになさいますか?」と聞かれて、いつものシャッツですね。本当にね、徹底的にいつものシャッツキステなんですよね。なんだろう、シャッツキステのメイドさんってシャッツキステのメイドさんなんですよね。シャッツキステのメイドさんであることを絶対に崩さないというか、最早覚悟なのか、ポリシーなのか、そういった振る舞いをするメイドさんが多くて、それは最後の開館日でもそうでした。シャッツのメイドさんは最後までシャッツのメイドさんで、いつも通りでした。
しばらく待っていると紅茶とその日のお菓子、クッキーが出てきたんですけど、美味しい匂いが漂ってくるわけなんですよね。紅茶とクッキーから。そんな香りを嗅いでいたら、色々溢れてきちゃって、思い出しちゃったというか、紅茶を見た瞬間にわんわん泣いちゃったんですよね。わんわん泣いてしまいました。止まらなかったな。シャッツのメイドさんは最後の開館日もシャッツのメイドさんだっていうことはわかっていたので、私もいつも通り落ち着きに行って、またねってしようと思ってたんですけど、どうしてもそれができなくて、わんわん泣いてしまいました。ちょっと涙したとかじゃなくて号泣レベルの泣き方をしてしまって、色々なことを思い出していましたね。紅茶を持ってきてくれたのはシャッツ0年生のツグミさんだったんですけど、私はシズクさんとの思い出が多くて、というのもシズクさんが好きだったからなんですけど、紅茶の香りを嗅いだ瞬間に、館内で色んなことを話したなーとか、それから一番の思い出が、シズクさんと編み物をしたことだったんですよね。私は元々編み物をしていたわけでは全然なかったんですけど、シャッツキステに通って館内で編み物をするメイドさんの姿を見ていたら編み物がしたくなってですね、「編み物の道具ってどこで売ってるんですか?」って聞いたらアオイさんが「御徒町にユザワヤありますよ」って答えてくれて、その足でユザワヤに行って、レース編みのかぎ針とか一式揃えて練習したことがあったんですね。かぎ針もパターンもシャッツと全く同じセット。それで家でも練習していたんですけど、私は館内でも編み物をしていました。で、シズクさんとライゼさんが私の編み物の師匠みたいな感じになったんですよね。編み物をする時って最初に輪っかを作るんですけど、その輪っかを作るところから、基本の鎖編みとか、長編みとか、長長編みとか、色々教えてもらって、いつしかシズクさんが編み物をしている横で私も編み物をしているという感じになりました。その編み物は今もう少し上手くなっているんですけど、編み物を一緒にしたこととか、新たな大切な趣味を見つけられたというのもシャッツキステでの思い出で、そんなことを紅茶の香りと共に思い出しちゃって、もうぐっちゃぐちゃになっちゃいましたね。涙が止まらなかったです。
そんな話はさておき、最後の開館日は、皆さん思い思いの過ごされ方をしていました。とある人はすごくいいカメラを持ってきて館内を撮影されていたり、とある方は60枚ぐらいポイントカードを持っていて、メイドさん4人と一緒にチェキを撮ったりしていて、思い思いの過ごされ方を皆さんしていて、思い出を残すということをしていたと思います。最後の開館日のシャッツは、みんなが思い思いの過ごされ方をしつつも館内はわりと静かだったというか、館内の旅人さまの行動一つ一つが大きな粒々になって見える状況というか、みんなが何をしているかが周りを見ているとわかるという状況でした。
で、私めちゃくちゃ泣いていたので、メイドさんが代わる代わる来て、「大丈夫ですか?」って聞いてくれたんですよね。こちらが取り乱していてもシャッツのメイドさんっていつも通りというか、変わらない良さがあって、いつも通りシャッツのメイドさんは本当にシャッツのメイドさんで、すごいなぁと思ったと同時に優しいなとも思いましたが、代わる代わる来てくれて優しく声をかけてくれました。そんな感じだったんですけど、シズクさんだけはなかなか来なかったんですよ。他の旅人さまがチェキを撮っていたので、チェキを撮影したり落書きをしたりしていて、あとそもそもキッチンにいたりとかでこちらには来ていなかったんですけど、私はシズクさんが大好きなので、シズクさんを目で追っちゃっていました。もちろんそのことにシズクさんも気づいていて、たぶん「もえさんこっち見てるな」とか思ってたと思うんですけど、目で追っちゃっていました。それで最後シズクさんとお話ししたいなと思ってソワソワしていたんですけど、ついにね、後半シズクさんがこっちに来たんですよね。シズクさんって独特の足音がして、「コツコツ」って感じで館内の床を鳴らしながらこっちに近づいていたんですけど、「コツコツ」と足音が聞こえてきて、なんて言ったと思います?冗談交じりな感じで「はい、シズクさんが来ましたよ」って言ったんですよね。最後にね、他の旅人さまのところを回ってきて最後に来たんですよ。それで色々話しました、シズクさんと。
「はい、シズクさんが来ましたよ」なんて言って、何を話すのかと思ったら、私との馴れ初めというかですね、出会った頃の話を始めたんです。シズクさんと出会った当時の私ってまだ今の職に就いていなくて、コンサルタントをしていました。仕事がしぬほどきつい時期があって、残業を平均100時間ぐらいしていて、それだけじゃなくて色々あって、精神的にめちゃくちゃつらかった時期だったんですよね。そんな時にシズクさんと出会って、シズクさんに仕事の話なんかも話せる範囲で話していたんですけど、あの時は大変でしたよね、いつもお仕事が大変でお寿司を食べていたイメージがあります、なんて言われました。当時、実際にプロジェクトが忙しすぎて、でも癒やしが欲しくて、夜遅くまで働いた後に24時間営業のすしざんまいに行って大トロを食べて帰るというのが日課だったんです。そんな話をシズクさんにしていたので、その印象が強かったみたいで、そんな話をしてくれました。その後私は転職をしてデータ分析職となり、どっちかというとハッピーになれたんですけど、本当に色々あった数年間でしたねという話をしてくれて、その後に「でも、私も色々あったんですよ」と語ってくれました。
シズクさんって今でこそ社員さんですけれども、シャッツキステに来た時、来る前には、シズクさん曰く、安定した道を選ぶという選択肢もあったらしいです。あったけど、どうしても今しかできないメイドさんをしたくて、シャッツキステのメイド服に袖を通しましたと。色々葛藤があったらしいんですけど、「私はシャッツキステのメイド服に袖を通したことを後悔していません」と仰っていて、シャッツを大好きな気持ちや、誇りを持ってメイドさんをしていたということが伝わってきました。その時に、私と一緒にシャッツに来館していた友達がいたんですけど、シズクさんがシャッツキステ大好きだみたいな話から、その友達が「シズクさんがいるシャッツキステが好きという人もいるんですよ」みたいな話をシズクさんにして。シズクさんがなんて返したかというと、「私は食を担っていたメイドで、旅人さまの食に直接関わるということをしていたからかな」などと仰っていました。私は「それもあるけど、それだけじゃないよ」と思いながら聞いていました。
シズクさんってシャッツキステの中でも、シャッツキステのメイドさんを体現している方だと思っていて、しかもそれをナチュラルにやっていただけではなくて、すごく努力してやっていた方だと思うんですよね。言葉遣いの一つ一つが常に丁寧だし、シズクという名前に恥じないようなメイドになると本人は言っていましたが、本当にその言葉通り、有言実行しているメイドさんだと思います。有言実行、初志貫徹。シャッツキステのメイドというものが何かをしっかり理解して、それを体現することに努力を惜しまない方だと思っています。やっぱりそういうところが好きでした。もちろん他のメイドさんもシャッツのメイドさんたるために多大な努力をしていたと思うんですけど、シズクさんは人一倍そういうところがあって、私はそんなシズクさんが大好きでした。
館内の様子に戻りますが、皆さん思い思いの過ごし方をされていました。私たちも改めてシャッツのメイドさんの紹介の冊子を眺めたりとかしていたんですけど、最後の開館日はあっという間に時間が過ぎちゃったんですよ。気がついたらあと15分、10分ってなってて、ああもうあと15分とか10分しか館内にいられないんだって思って、切なくなってましたね。クッキーを食べる度に時間が消費されていくような気がして、後半までなかなかクッキー食べられなくて、後半になって急いでクッキー食べたりしたんですけど、そんな最後の開館日でした。最後の開館日ということで、シズクさんが「色々あったんですよ」みたいな話をしてくれたということ以外は本当にいつものシャッツ、いつもの素敵なシャッツキステでした。最後までシャッツキステはシャッツキステだったというのが一番伝えたいことかもしれないですね。
それから、「再会を願って別れを告げた」というのが印象的でした。これは旅人さまだけじゃなくて、メイドさんもそうでした。「ばいばい」とか「さよなら」じゃなくて、「また会える日まで」みたいな、そういう感じなんですよね。みんな。どういう思いでそれを言っていたのかはわからないんですけど、もしかしたら第3章ということがあるかもしれないし、それを予感させるような、わくわくさせるようなことを最後に言ってくれたのかなとも思うし、そう信じたかったのかなとも思うんですけど、とにかく「これで終わり」とか「さよならばいばい」じゃなくて、誰と話しても「またね」「またね」って感じだったのです。だからいち旅人の私達としても、「また会う日まで」という感じです。
この話もしないといけない。最後の開館日に同行してくれたのがメイドさんだったんですけど、シャッツが好きなメイドさんで、そのメイドさんがシズクさんになんて言われていたかというと、「託しましたよ」って言われてて。シズクさんってメイドさんに理想を持って努力されていた方なので、思いを継いでくれる人がいたら嬉しいのかな、なんて思いました。同行してくれたのはそういう思いを汲んでくれる方だったので、すごく真剣に受け止めてて。なんていうか、図書館という場所はなくなってしまうけれども、図書館にいたメイドさんの思いを汲んで継いでくれる人は、もしかしたらたくさんいるのかなと思いました。表現が正しいかはわからないですけど、「シャッツキステはみんなの心にある」じゃないけど、シャッツキステの思いだとか、ポリシーだとか、そういうものを引き継いでくれている人はいるということかなと思いました。
あっという間に時間は過ぎてしまって、本当に一瞬でしたね。一瞬で75分、80分と経って、いよいよお会計の時がきました。お会計ってなったんですけど、ポイントカードが最後まで埋まっていなかったので、埋めてもらったんですけど、最後にね、ツグミさんがポイントにメッセージを添えてくれたんですが、「たくさんシャッツキステを愛してくださりありがとうございました」って書いてあったんですよね。一般的なお礼なのかもしれないんですけど、シズクさんのチェキのメッセージの時もそうでしたけど、シャッツを愛していたこととか、大切に思っていたことが伝わってたというのがすごく嬉しくて、最後の開館日もいつも通り過ごそうと思って努力していたのに、ポイントカードを渡されてわんわん泣いてしまって、メイドさんにはご迷惑をお掛けしました。ポイントカードを渡されるということは本当に最後なんですよね。ポイントカードを渡してもらうのってお会計が終わって本当に最後の作業なわけですよ。それでポイントカードを渡してもらってメッセージを眺めていたら思いがこみ上げてしまって。シャッツでの思い出ってね、さっき編み物をした話をしましたけど、それだけじゃなくて色々あったんですよね。
シャッツで私はいつも勉強してたんですよ。私の仕事って日々勉強してなきゃいけなくって、新しい技術や基礎的な数学とかもしっかりできなきゃいけなくて、そういう勉強もいつもシャッツでしていたんですよね。毎年春には線形代数を勉強したり。数式を追っているのが珍しいのか、けっこうメイドさんに「何してるんですか?」とか言ってもらうことが多くて。「いま機械学習やってるんですよ」とか「数理最適化をがんばってるんですよ」なんて話したなという思い出が蘇ってきて。仕事がすごくつらい時でも、日曜日の午後にはシャッツに行って。シャッツのチリビーンズが大好きだったんですけど、チリビーンズ食べて、インスタとFacebookに「お茶する時間が大事なんだ」なんてことを投稿していたんですけど、そんな大事にしていたお茶の時間というのがシャッツにいた時間で、お茶するのは元々好きでしたけど、お茶する時間がこんなに大切なんだとか、お茶する時間がこんなに尊いんだとか、そういうことを教えてくれたのはシャッツだったし、素敵な場所で素敵な時間をお茶を飲みながら過ごすというのがどんなにホッとして大切な時間なのかというのを教えてくれたのはシャッツキステだったなぁって思います。そんな思い出がたくさん蘇ってくるわけなんですよね。ほんともう、こんなにたくさん色々貰った場所にもう来られないというのがもう信じられなくて、つらかったですね。
最後の開館日に関しては、話せることはもうちょっとかな。ポイントカードを渡してもらって、私は号泣しながらメイドさんに見送られたんですけど、その時もね、「ばいばい」とか「さようなら」じゃなくて「また会う日まで」とかそういう感じ。これで今生の別れというわけではなくて、希望を持たせてくれるような最後でした。物語なので、物語に終わりはないというのを忠実に再現してくれたのかなとも思うんですけど、希望を持たせてくれるようなお別れでした。その後まっすぐ帰る気にもなれず、同行してくれた子と一緒に号泣しながら湯島の方に歩いていって、とあるお店に行ったんですけど、そこでも泣きっぱなしでしたね。散々そのお店でも泣き腫らして、そのまま家に帰って翌日を迎えました。
ここからもう最後の開館日の話ではないんですけど、閉館の翌日に私は仕事で大役を任されていて、仕事がしぬほど忙しかったです。正直仕事をするという気分じゃなかったんですけど、なんとかやりきりました。やりきった後、どうしても一人でいられなくて、一人でいるとシャッツのことを考えちゃうし、どうしても誰かといたくて、あっとほぉーむカフェに行きました。推しの子がいたから会いに行ったんですけど、メイドさんと会ったらめちゃくちゃ泣いちゃって。私のあっとほぉーむカフェの推しはちあきゃんという子なんですけど、すごくご主人様・お嬢様の気持ちに寄り添ってくれる子で。
そのちあきゃんには「シャッツキステというところがあってね」という話は前々からしていたんですけど、いざシャッツキステが閉館したということで、「シャッツキステが閉館しちゃったんだ」ということをちあきゃんに話しました。どんなにシャッツキステが素敵な場所だったかとか、どういう場所だったかとか、こういう場所だったんだよということを、ちあきゃんにめちゃくちゃ泣きながら伝えたというか、ぶつけたんですよね。あっとほぉーむカフェで泣いてる人なんて滅多にいないと思うんですけど、ちあきゃんの前でめちゃくちゃ泣きながら、シャッツキステというところがあってね、あっととは方向性が違うけど、シャッツキステという物語をみんなで共有しているような場所で、すごくホッとする、大切な場所だったんだってことを話したんですけど、そしたらちあきゃんがなんて言ってくれたかというと、「そういう風に思ってくれる人がいるというのが、メイドさんという仕事のモチベーションになる」と言ってくれたんですよね。ちあきゃんもシズクさんと同じで、安定した道を選ぶこともできた中、メイドさんとしてやっていく道を選んだ子なんですよ。シズクさんと境遇が同じですね。そんな子が、シャッツの話をしたら「メイドというお仕事に更に自信を持てる日になったよ」と言ってくれたんですよね。それ聞いて、オタク冥利に尽きるというのもそうなんですけど、それだけじゃなくて、シャッツキステという場所があって良かったなぁと心から思いました。
シャッツキステという存在は色んなところに与えた影響って絶大じゃないですか。例えば橙幻郷とかもシャッツキステをリスペクトしているし、方向性は違えどシャッツのことを意識してるお店は他にもたくさんあるし、シャッツキステがなかったら生まれてこなかったようなお店もあるし。でもそういうお店単位の話だけじゃなくて、シャッツキステという場所があったことによって、メイドっていう仕事に自信を持てるようになったと言ってくれる子もいれば、福岡の方にもシャッツキステをすごくリスペクトしてメイドカフェを作った子もいて、お店単位の話だけじゃなくてメイドさん単位でも両方ね、シャッツキステという存在があったからこそソウルを受け継いでいる人や場所があるんですよね。それをね、人づてに聞くことも直接聞くこともあったんですけど、目の前でそう思わせることを言ってくれたのがちあきゃんでした。これは本当に嬉しかったなぁ。シャッツという場所があって、どんなにいい影響があって、どんなに良かったかというのが再確認できたし、シャッツの生き様のようなものを受け継いだお店・メイドさん、そういったものが存在する、受け継がれているというがすごく嬉しかったです。というのが月曜日の話です。
その後も、今週は本当に一人でいられなくて、色んなところに行きました。気絶も行ったし、あっとも行ったし、橙幻郷も行ったし、最果てにも行きました。橙幻郷にも気絶にも最果てにもシャッツ大好きなメイドさんがいたりして、メイドさんだけじゃなくてオーナーさんもですかね、シャッツの話になりましたね。なんというか、思いを汲んでくれるところに行っていたというのもあり、みんなすごく私の気持ちとか、話していることに共感してくれた一週間でした。
それから木金でフリマが終わってしまうということで、なんとか金曜日に行ってきました。整理券を貰って、他の場所で時間を潰したんですけど、その後Airウェイトで呼び出しがかかって、シャッツキステに行きました。フリマでは色々な物があってどれをお迎えしようかと考えていたんですけど、一人3点までということで、とりあえず運良くお迎えできそうだったティーカップとソーサーを選びました。3点までということだったんですけど、もうそれで満足してしまって、お迎えしたのはティーカップとソーサーだけ。あと強いて言えば、大好きだったチリビーンズをよく食べていた木製のスプーンをお迎えしました。
それから本ですね。フリマではシャッツキステの蔵書を安価でお迎えできることになっていて、本もお迎えしました。シャッツで見たことがある方もいるかと思いますが、私がお迎えしたのはCCさくらのイラスト集ですね。これはどういう気持ちでお迎えしたかというと、「いったん預かるね」なんですよね。「買う」じゃないんですよね。「いったん預かっとくね」なんですよ。CCさくらのイラスト集は何度かシャッツキステで読んだ思い出あるからお迎えしたんですけど、気持ちとしては「これを買って家に置く」とかではなくて「預かっとくね」です。私が何を考えたかというと、最後の開館日に「ばいばい」「さよなら」ではなくて、「またね」的なニュアンスだったんですよね。だったので、もし万が一なにかの間違いで第3章が始まったら、これを持って集うしかないという気持ちですね。だから責任重大ですよね。しっかり本棚に綺麗に保存しておかないといけない、そういう義務を背負ったお出迎えなわけですよね。そうしたらtwitterでも似たような感じで本をお迎えしている方がたくさんいて、びっくりしましたよね。びっくりしたけど、本当に第3章が始まったら、みんなお迎えした本を持ってくるんだろうなというのが想像できちゃいますよね。そんなフリマでした。同じような気持ちでいてくれる人がこんなにいるんだなという驚きと嬉しさがあって、本当に同じ世界観を共有していたんだろうなぁと。私はそんなに旅人さまたちと話すことはなかったですけど、それでも同じ思いを共有できてたんだろうなと思いました。
最後の開館日と後日のお話しは以上です。第2章の最後に旅人さまと気持ちを共有できて嬉しかったですし、この繋がりって大事にしたいと思いますよね。一つの物について同じ思いを共有して、おんなじ気持ちになれるって尊いですよね。その中心にシャッツがあったんだろうなと思うと胸が熱くなるし、すごいなぁって思います。シャッツキステと出会えて幸せでした。
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改めて、約3年間と短い間でしたが、ありがとうございました。メイドさんと語らったこと、辛い時に気遣ってくれたこと、嬉しいことを共有できたこと、美味しいチリビーンズやスコーンをいただいたこと、一緒に編み物をしたこと、館内の音や匂いも、私にとって宝物です。大切に宝箱にしまって、一旦鍵をかけたいと思います。またお会いできる日を心待ちにしています。
この記事の執筆から1週間後の思いはこちらに残しました。
紅茶屋さんになりたい
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