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赤いカンパリソーダと黄色いカンパリのロックス

「食パンはやっぱりトーストだなあ そうでない人を否定はしないけれど」
「そう?私はトーストしない方が多いわ」
「アメリカンクラブハウスサンドイッチって知ってる?」
「ええ トーストのサンドイッチね 美味しいと思うわ」

カフェベローチェの2F
これから仕事に向かうソルジャー達のクッションになっている

いつもの待ち合わせ場所
ただ違っているのは、今日は二人ともオフだという事

入って左側の奥
二人のお気に入りの場所

「近くのスーパーでお買い得のイチゴを買うの もうシーズンも終わり頃に」
「うん」
「それでジャムを作るのよ うちのベランダでできた あのすっぱいイチゴの最後の何粒かを隠し味にして」
「うん なんとなく くすぐったい」
「そう なんとなくくすぐったいでしょ そのジャムはそのままの トーストしていない食パンにあうのよ」

「ああ トーストしたやつだと 何か違うような気がする」
「そうなの 隠し味の3粒は私には見分けがつくの それを避けるようにして 他の粒から食べていくのね」
「わかる気がする その3粒は  ん~ そだな その年にイチゴのシーズンが確かにあった事を保証? 思い出させてくれる? って感じ?」
「ww あのベランダにも季節があったんだって事をねw」

「確かに トーストだとだめだ イチゴの役割を邪魔してしまうもの  でもトーストなあ」

彼女が蔵出しの笑顔を見せた
目尻の優しさは誰にも負けないやつだ

「食パンの基本はトーストという考え方は否定しないわ 美味しい食べ方だと思うわよ それにあなたが私のためにクラブハウスを作ってくれたなら 私は幸せになります」
「上手な操縦方法を知っているね 君の作ってくれたイチゴサンドの隅に あのイチゴが1粒あったとしたら きっと最後の一口にするよ そして季節を楽しむだろうなあ」
「残しておきます  きっと」



幾人かのソルジャーが入れ替わりテイクオフを繰り返している



「好ましいと思う事が違っても もう一方を客観的に認められるなら それは楽しさの広がりだと思うのよ」

濃いオレンジ色のバングルがコーヒーに手を伸ばした

二人ともマグカップは嫌いで、大抵はリップルだしリッドははずして飲む

「このコーヒーみたいに一致している事は それなりに嬉しくもあるし」
「そうね ん~ 違うところを認めてもらえるのは安心感で 一緒のところは少し照れくさい嬉しさかしら  逆かしら」






「今日は なんで? かっぱ橋?」
「キッチンに欲しい物がいくつかあるの ネットでもいいんだけれど 手の平や指先にも相談したいの それにあなたの感覚も  だめ?」
「いや 興味ある それに今日はそれほど日差しも強くないし 君にちょうどいい風もある  お供しよう」

「気に入った物が見つかれば宅急便で送ります だからあのお店に行きましょう 久しぶりに あそこのカンパリが飲みたいの」

「わかった そこまでは君のスケジュールを楽しませてもらうよ」
「ありがと そこからはあなたのスケジュールでいいのよ 期待しています」

つま先をそっと合わせてきた


そして照れくさそうにしている私を見ながら飛びっきりの笑顔を見せてくれた



have fun


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