ピッタ?カパ?ヴァータ?
アーユルヴェーダでは、健康の定義として『ピッタ』『カパ』『ヴァーダ』の3つのドーシャ(サンスクリット語で不純なもの、増えやすいもの)のバランスがとれていることをあげています。
この3つのドーシャのバランスが崩れてしまうと身体や心の不調が出始めると言われています。またこのドーシャは、その時の環境や感情、生活様式などによって常に移り変わっていきます。
・ヴァータ
風と空の元素から構成されたエネルギーです。そのイメージの通り、軽くさせる性質、冷たくさせる性質、速くさせる性質、乾燥させる性質などをもっています。ヴァータの働きとしては、体の中の循環や運搬や、思考を担っています。
・ピッタ
火と水の元素から構成されたエネルギーです。相反するふたつの性質?と思うかもしれませんが、2つのバランスをとることで変換の能力をもつ性質です。熱する性質、鋭さの性質、軽くさせる性質、液っぽくさせる性質、油っぽくさせる性質などをもっています。身体への働きとしては、消化や代謝を担います。
・カパ
水と地の元素から成るエネルギーです。重くさせる性質、冷やす性質、遅くさせる性質、安定させる性質などをもちます。身体への働きとしては、結合のエネルギーとして筋肉や骨など組織の生成を担っています。
ちょっとここで、この3つのドーシャのバランスをイメージしやすくすると、私たちが食事をすると、変換のエネルギーである『ピッタ』が働き、消化を行います。様々な栄養素や不純物は運搬のエネルギーである『ヴァータ』によって体内の各所に運ばれ、組織の生成のエネルギーであるカパによって骨や血、肉となる。こんなイメージです。すべてが関係しあって身体を作り上げているんですね。
言い換えれば、3つのドーシャのうち、どれか一つでもバランスを崩せば心や身体に何かしらの症状が出始めます。
具体的には、
例えばヴァータが体内に増加しすぎると、風のエネルギーが強くなるので、肌が乾燥したり、身体が冷えたりします。
火のエネルギーであるピッタが増加しすぎた場合には、皮膚の炎症が起きたり下痢をしてしまうなんてことが起きます。
カパが増加しすぎた状況では、水のエネルギーが強くなるので浮腫みが気になったり、身体が重く感じたり、呼吸器系の症状が出ます。
私はアーユルヴェーダを知ったばかりのころ、「あなたはヴァータ体質」と言われ、血液型はO型と言われたかのようにヴァータについて調べていました。しかしそうではなくて、すべての人は3つのドーシャをもっていて、その時たまたま私はピッタやカパよりもヴァータが増加している状態だっただけなのです。3つのドーシャの合計が100%で、割合はその時によって様々なんだという解釈です。
このようにドーシャのバランスはその時々によって変化します。変化する原因についてもまた今度お話します。
大切なことは、自分は今、どのエネルギーが多くなっているのかな、だからこういう体調なのかな、こんな感情なのかなと自分自身に目を向けることです。
健幸とはまず、自分の今の状態をとことん知ることです。自分が何を感じているのか、どういう感情なのか、それを舐めまわすように観察することです。そのうえで、その対処法を見つけていけるのです。誰にでも当てはまるような健康法ではなく、それぞれの体質に合わせた対処法を自分自身で見つけ出すことです。
現代医学では、風邪をひいて病院へ行くと症状別の薬を処方されますね。飲むことで炎症を鎮静したり、菌を殺したり、症状を抑え込みます。アーユルヴェーダが目指すのは、病気になる前に自分の状態に目を向け、自ら対処するということです。増加しすぎたエネルギーを静めてあげることで本来の体質に戻す、そんな引き算式健康法とでも言いましょうか。
3つのドーシャについてお話しましたが、実際に自分はどんな体質なのか、現在のバランスのチェック方法を次でお話していきます。
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