祖母と看護の心
新人看護師の時に先輩から教えてもらった言葉で、今も心に残っている言葉はいくつもある。
その中で、最近思い起こした言葉が「患者さんは自分の家族のように関わる」という言葉だった。
当時、その言葉を受け取ったわたしは、家族と同等程度に丁寧に関わるという意味で受け取っていた。
今わたしは、実の祖母の看護を通して、まさにそれの大切さを体感している。
職場で家族を看護するとは、なんとも言えない気持ちである。
看護師としてどの患者さんにも平等に接しているとき、看護師のわたしとしてここに在る。
けれども、祖母の前にいくと、なんとも非現実の中の現実に出会ったような気分になる。
その空間だけが、孫として祖母の在宅看護をしていた頃の、あの空気感になる。
懐かしく嬉しいような、寂しいような、小恥ずかしいような。なんとも言えない気持ちである。
毎日面会できていいね、と母に言われた。
出勤日は、最低でも出勤時と退勤時は受け持ちでなくても顔を出すようにしている。
声をかけると、白衣姿であっても孫であるわたしを思い出し、表情に活気がでる。
孫という立場は、看護師には出せない力を持っているらしい。
わたしを誇らしく思ってくれている元看護師の祖母は、わたしの働きっぷりを見て嬉しそうに微笑む。どこか昔の自分を思い出しているのかもしれない、と話を聞いた母がぽつりと言った。
家族を大切に想う気持ちは、それ自体が看護の心なのかもしれない、と最近気づいたが、これは看護師としての振る舞いにも深く結びつくところがあるように感じる。
新人看護師の頃に先輩が教えてくれた言葉の意味が、5年目にして今、少しわかった気がする。
祖母や新人看護師さんのおかげだ。
これから経験を積んでいっても謙虚な心で、ひとりひとりを大切に、関わりを深めていきたい。
PS.写真は病棟レクで書いてくれたわたしへの手紙。かわいい。笑
今度は娘(母親たち)に書いてあげてね、と伝えておいた。
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