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中東ヨルダンで、ワディラム フルムーンマラソンに出場

協力隊として現地で生活するのは
想像していたよりも忙しく、
こういう記録もおろそかになる。

遅ればせながら、
5月に砂漠でのマラソン大会のことを
記録しておきたい。

ヨルダン南部にある砂漠地帯、ワディラム。
そこで満月の夜に行われる、
その名もワディラムフルムーンマラソン。
なんかロマンチックな響きのマラソン大会。
私が選んだのは10キロ。
しかし、、これは想像を絶する10キロだった。。

10キロマラソンの出場費用は150JD。
日本円では大体¥31,000。
そこそこする。
でもこれはフルパッケージになっていて、
首都アンマンからの高速バス往復代と
宿泊費と食事(ビュッフェ2食)も含まれる。
他の仲間達と同じ部屋で、女子5人部屋だった。
申込時に共通のチーム名を入れると、
部屋割りを配慮してくれる。
砂漠の中の宿とはいえ、
中には独立洗面台とトイレとシャワー付き。
アメニティーは無いけど、
簡単なホテルのような感じで特に不便はない。
至る所にウォーターサーバーがあり、
水はほぼ飲み放題。
その他には、大会デザインのTシャツや
アイスの引換券も付いてきた。

砂漠の中の宿。
この中にベッドとシャワー等が完備。



アンマンを朝出発し、昼過ぎにワディラム到着。
昔留学中にもワディラムには来たことがあるが、
2度目であってもその景色には圧巻。
自然の美しさって
やっぱりパワーが凄い!(語彙力…)
昼間は岩に登って景色を眺めたり、
部屋で休んだり各々で過ごして、
夕方にはレースの説明を受ける。

とにかく絶景が広がる。


これが全体コース。全部砂地。


夕暮れ時、日の入り直前にフルマラソン出場者達がスタート。

次にハーフ、その後私の出場する10キロ、
最後に5キロウォークという順番でスタートする。
10キロのスタートの時にはもう真っ暗だ。

フルマラソンのスタート。
国内外から集まった猛者達。
この大会を熟知している人は、
靴の上から靴下を履いて砂対策をしている模様。



スタートは前の方を陣取った。
10キロに一緒に出たのは、
ザ・体育会系の男性協力隊員達。
(どう見ても強者達。)
スタート直後はまずなだらかな下り坂。
スタートした時にはもうすでに真っ暗。
ヘッドライトが必須である。
スタートしてあっという間に、
何かやばいなこのマラソン、、と思った。
思った以上に、ふっかふかの砂のゾーンがある。
足首くらいまで砂に埋まるほどだ。
ふかふかゾーンはとにかく足が上がらない。
前に進まない。
そして視界は真っ暗。
自分のヘッドライトだけが頼り。
はぐれたら大丈夫かな?という恐怖感もあり。
スタート5分後くらいで、
あまりのしんどさに、早速歩いた。(早すぎ)

ポイントごとに水の配給があり、
そこで通過者の番号をチェックして
生存確認をしてくれている。
地面が硬いところもあり、
序盤で歩いた以外はできるだけ走り続けた。
あまりにもふかふかなところで
心が折れると少し歩いた。
私は何でお金を払ってこんな苦行をしているのか…

10キロマラソンの制限時間は1時間半。
余裕と思っていたのに、余裕は無さそうだった。

レース後半、硬めの地面でなだらかな下り坂、
しかも気持ちいい追い風。
走っていてとても気持ちよかった。
フルムーンマラソンということもあり、
空は満天の星!
ただこれは走りながら見るものではないなとは思った。
星なんて見ている余裕は全く無い。
気を抜くとまたふかふかゾーンがやってくる。
でもこれ以上ペースダウンしていると、
制限時間内にゴール出来ない。
そう思ってとにかく無心で走り続けた。

最後の最後、まさかのふっっかふかな足元に
強烈な向かい風。。
これはもう参加者泣かせすぎる。
しかも大会の説明で聞いていたコース上の
目印となるライトの色も何か違う…
コースを外れたか…?
近くを走っていたヨルダン人女子から、
ライトの色違うよね、しんどすぎだよね、
ところでYouは何しにヨルダンへ?
みたいなことを聞かれたりして
一緒にゆっくり走る。

でもこれはちゃんと走らないと
制限時間が迫っている。
私ラストスパート行くね!と別れを告げ、
遠くに見える会場の光を見て走る。
なかなか近づかない光。これもなかなか苦痛。
でも終わりが見えて頑張れた。

辛いことも、楽しいことも、
どんなことにも終わりがあるよなぁ。
このヨルダン生活も後で振り返ると、
一瞬で終わった、と思うんだろうなぁ。
なんて考えながら走り続けた。

なんとか制限時間内にゴール出来た。
記録は1時間27分。
女子の10キロ一位は1時間8分。
後日記録が公開されるのだが、
超人だらけだった。
ゴールしてみると凄い達成感があった。
しかし砂で喉がめちゃくちゃ痛い。
直後は咳も止まらなかった。

氷水のドラム缶で足を冷却し、
シャワーを浴びて、
晩ご飯を食べたのはもう深夜0時くらいだった。
足はぱんぱんだった。

真夜中、次々とフルマラソン出場者達も帰還してくる。
帰還者がいると、近くに居合わせた人は拍手でお疲れー!と出迎える。
このマラソンの苦しさが分かる分、
出迎える人達も何だか凄い暖かい感じがする。


翌日は上位入賞者の表彰式がある。

その辺にいた外人達と、
どこから来たの?何キロ出たの?
と皆各々言葉を交わす。
隣にいたグループの女性達はマラソン好きで、
世界のあらゆるマラソン大会を経験した
強者グループだった。
彼女達によると北極の氷上マラソンなんかより、
ワディラムマラソンの方がよっぽどしんどいよ!
とのこと。

距離ごとに上位3名ずつ名前が呼ばれる。
呼ばれた人は前に出てくるが、
出てくる入賞者達の体格の凄さやたるや。
無駄のない筋肉、細すぎない体のライン、
サバイバー感があって皆かっこよかった。
なんかアベンジャーズみたい。
そして女子フルマラソンの優勝者は、
なんと、私の隣にいたグループのほっそりした女性だった。

入賞者達には岩型トロフィーが授与される。


そんなこんなでワディラムフルムーンマラソンは終わった。
砂の上を走るという、無駄に厳しい条件のマラソン。
同じ距離を道路で走るのより何倍もきつい。
その分達成感も凄かった。
ただ開催場所の砂漠地帯はとにかく綺麗だ。
広大な土地。
長い年月をかけて自然と出来たいろんな形や模様の岩。
夜は満天の星。


普通のマラソンじゃ物足りないと思っている人、
ヨルダンで少し変わった経験をしたい人、
追い込んでみたい人、
10キロなら手頃でいいんじゃないでしょうか。

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